獲れる海産物を見れば、その海域の海底地形がわかる!/すごすぎる地理の図鑑(5)

駿河湾より富士山を望む

あらゆる地図の「もとになる正確な地図」は、一体どうやってつくられる?
『地理がわかれば世界がわかる! すごすぎる地理の図鑑』5話【全10話】


普段ニュースで見聞きする政治や経済、観光地にグルメ。実はこうした様々な情報がすべて「地理」につながっているって、知っていましたか? 地理の勉強は、地名を暗記したり地図を眺めるだけじゃないんです!

地図からわかる地域の自然環境や歴史、暮らしぶりなどは、地理を学ぶとその背景や理由、意外な事実が見えてきて、ぐっと理解が深まります。地理は「地域の謎を解くカギ」と言える、とても身近で面白い学問なのです。

世界のことが今よりもっとわかるようになる、地理のネタあれこれをお届けします。

※記事の情報は2023年3月現在のものです。

※本記事は日本地理学会著の書籍『地理がわかれば世界がわかる! すごすぎる地理の図鑑』から一部抜粋・編集しました。


地形の特徴は海産物からわかる!

海に囲まれた日本では、昔から海産物をたくさん利用してきました。これらの海産物の種類は、じつは地形と密接に関係しています。

日本はプレートの境界付近に位置しているため、プレートが沈み込む周辺などでは水深がとても深くなっています。例えば、静岡の駿河湾や高知の室戸岬沖には深海魚のキンメダイが生息していて、新鮮なキンメダイを朝獲ってその日のうちに食べることができます。駿河湾には深海性のタカアシガニも生息しています。

一方、内海内湾は、比較的波が穏やかで、水深が浅くイカダ養殖に向いています。瀬戸内海や伊勢湾のカキ養殖、三重県の英虞湾の真珠の養殖なども内湾で行われるイカダ養殖です。九州の有明海や伊勢湾ではノリ養殖が盛んに行われています。東京湾もかつてはノリ養殖が盛んでした。このような湾では、川から流入してきた土砂が海流に流されることなく溜まるので、泥地を好むキスやハゼ、アナゴも獲れます。

さまざまな海の地形によって、獲れる海産物の多様性が生まれるのです。

さまざまな海底地形が生み出す海産物

アオサノリ養殖

アオサノリ養殖

伊勢湾

深さ:平均水深16.8m
主な漁法:ノリ養殖業、船びき網漁業など
獲れる魚名:イカナゴ、カタクチイワシ、マアナゴ、マコガレイ、シロギスなど

アオサノリ

アオサノリ

室戸岬

室戸岬

室戸岬沖

深さ:東部海岸から2,200m沖で一気に水深1,000mに。太平洋の深海の水が陸棚にぶつかり湧き上がる海域がある
主な漁法:定置網漁、サンゴ漁、キンメダイ漁、一本釣りが盛ん
獲れる魚名:キンメダイ、ブリ、ハガツオ、アコウダイなど

キンメダイ

キンメダイ

駿河湾より富士山を望む

駿河湾より富士山を望む

駿河湾

深さ:最深部は2,500mで、日本一深い湾
主な漁法:トロール網を沈める底引き網漁が有名
獲れる魚名:シラス、アジ、サバ、ムツなど。カサゴ、ゴソなどの深海魚も。サクラエビは、日本で駿河湾などに生息

タカアシガニ

タカアシガニ

有明海のノリ漁

有明海のノリ漁

有明海

深さ:平均水深約20m
主な漁法:一本釣り、延縄漁、曳き網漁、定置網漁、巻き網漁など
獲れる魚名:クチゾコ、コノシロ、スズキ、シバエビ、ワラスボなど

ムツゴロウ

ムツゴロウ

東京湾から東京方面を望む

東京湾から東京方面を望む

東京湾

深さ:最深部は700m、平均水深約15m
主な漁法:藻類養殖、採貝漁業、漁船漁業
獲れる魚名:マアナゴ、コノシロ、サヨリ、ボラ、カサゴ、メバル、アイナメなど

アナゴ

アナゴ

豆知識

富山湾は急峻な地形で、ホタルイカやシロエビはこの地域で獲れる海産物です。有明海は干潮と満潮の海水位の差が大きい内湾で、泥地を好むムツゴロウやワラスボが生息しています。

著=日本地理学会/『地理がわかれば世界がわかる! すごすぎる地理の図鑑』

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