【16歳で帰らなくなった弟】衣服も身につけず身元不明のまま亡くなった弟に何が?苦しみと絶望の中で家族が見たもの【全真相(ネタバレ注意)】

警察から聞いた事故の詳細

警察が、弟・孝とその友だちの女の子の命を奪った事故の詳細を話してくれました。

事件当夜、孝の運転するバイクは、交差点を直進していました。
時を同じくして反対車線にいたのが、加害者が運転する対向車。

同乗者のアイデアで、加害者は道路の右側にあるファミリーレストランに行こうハンドルをきり、右折しました。
そこに飛び込んできたのは、直進でアクセル全開だった孝のバイクです。

孝は思いっきりブレーキを踏んだのでしょう、バイクのブレーキ痕は数メートル続いていたそうです。…しかし、残念ながらブレーキは間に合いませんでした。バイクは滑るように、50メートルは飛びました。

事故の直後、ぼうぜんとしていた加害者の青年と同乗者に代わって、ファミレスに集まっていた少年たちが救急車を呼んでくれたそうです。
その時点で孝の意識があったのかは分かりません。女の子のほうが重傷で、すでに意識がなかったと誰かが言っていたのを耳にします。

その場を直接見たわけではないきむらさん一家は、警察からの情報でしか事故の様子を知ることができません。交差点で弟が直進したのは青信号だったのか赤信号だったのか、バイクを運転していた弟に過失はなかったのかーー。

両親の前で「自分が全部悪いんです」と話していた加害者の青年が、警察の事情聴取に対し事実とはまったく違うことを言っていた、ということを知るのは、もう少し後のことでした。

「噂」が母を苦しめる

事故死の噂は一気に広がった

閉鎖的な町のなかで、弟が事故で亡くなったことは瞬く間に広がりました。
葬式が終わり、静かな日常が戻ってくるにつれて、事故直後から張りつめていた糸が切れたかのように家でぼーっとする時間が増えた母。弟が事故にあう前は、昼夜を問わず、あんなに忙しく過ごしていたのに…。
そんな母を支えてくれた友人も多くいた一方で、心ない噂を吹き込んでくる人間もいました。

噂は母を苦しめた

ただ噂に翻弄されることしかできなかった

本当の悪魔は優しい顔をしている

事故のことを知らない人などいない小さな町、出かければすぐに知った顔に出くわします。その相手から語られるのは根も葉もない噂。それを聞くのが怖いあまり、母は買い物に行くことすらできないような心理状態に追い込まれていったのです。
追い打ちをかけるように、ある出来事が起こります。

壊れていく家族

一人だけわたしを気にかけてくれたおじさん

おじさんが保険金を借りに来た

わたしの中に積もる大人への不信感

弟が亡くなったことで見えてきた、周りの大人たちの醜い部分。それに対する嫌悪感が17歳のきむらかずよさんの心にうっ積していきます。

父もまた、苦しんでいるようでした。
お酒の席が大好きだった父が、飲み会中に突然怒って帰ってきてしまうようなことがありました。仲がよかった人ともうまくいかなくなり、母ともケンカを繰り返すように。それが続いて、家族での会話もなくなり、ついには「おはよう」のあいさつさえなくなってしまったのです。

玄関に一歩入っただけで…

家族の間にぽっかり空いた穴


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