彼は激昂して握りしめたフォークで私の鼻を…SNSで話題沸騰『鼻にフォークを刺された話』作者に聞いた「あの日起きていたこと」と命の恩人への想い

衝撃の実話をもとにした漫画「メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話」。前田シェリーかりんこさん(以下かりんこさん)が、実際に体験した事件を漫画化した作品です。
書籍は、発売開始前からSNSで話題となり、Amazonのレビューでも5つ星中4.8と高評価を得ています。
20代前半の頃は「メンヘラ製造機」という異名を持っていたというかりんこさん。
当時つきあっていた彼氏(『彼ピッピ』)からの連絡に気づかなかったことから、相手が勝手にヒートアップ。「浮気してんだろ」などと意味不明な言いがかりをつけてきたため「サクッと謝ろう」と彼のマンションに出向いたところ事件は起こります。
彼はかりんこさんを突き飛ばしたあげく握りしめたフォークを鼻に刺したのです…。
命からがら、マンションの隣人に助けを求めたかりんこさんですが、彼がすぐに追ってきて…。
というのがこの漫画のテーマとなった事件のあらましです。その後の気になるストーリーをご紹介しましょう。
鼻にフォークを刺してきた彼から逃げた先で


鼻にフォークを刺されたかりんこさんはマンションの部屋から飛び出し、隣人であるナツさんとぴょんすさんの部屋に逃げ込みました。たまたまやりとりを聞いていた隣人はすでに警察に連絡をしてくれていたのです。
後頭部からも出血し、呂律も回っていなかったというかりんこさん。
警察が到着し、ほっとしたのもつかの間。彼は一瞬の隙をついて、かりんこさんたちのいる部屋に入り込んできたではありませんか!


彼は警察が入ってこないように、部屋の鍵をかけてしまいました。あまりのことに、かりんこさんは固まったように動けません。身じろぎもせずにいるかりんこさんの前で、彼はぺらぺらと自己弁護を続けます。…静寂を破ったのは、ナツさんでした。


かりんこさんを守るため、ナツさんが反撃したのです。
その後、警察に取り押さえられ連行されていく彼でしたが、「俺だけのせいじゃないです!!!」「彼女に俺が本当に捕まってもいいのか聞いてください!!それだけ確認させてください!!」などと身勝手な発言ばかり。最後の最後までかりんこさんへの暴言も…。


疲労困憊だったかりんこさんはそこで意識を失いました。
そして目覚めた時、病院のベッドにいました…。

前田シェリーかりんこさんインタビュー
――後頭部を強打したり鼻を刺されたりでかなりの出血もあったようですが、ご自身は「こんな痴話げんかで救急車呼んでいいの?」「こんなことくらいで仕事休むとか」などと考えてらっしゃるエピソードがありましたね。

かりんこさん
「実は後頭部を打った直後は出血に気付いていなくて、鼻にフォークを刺された時も、アドレナリンが大量に出て興奮状態だったからでしょうか、痛みがまったくなかったんです。鼻からの血の量が多かったので『刺さりどころが悪かったのかも』としか考えてませんでした」
――被害を受けたご本人にはことの重大さが分かりづらいということだと思うのですが、このときの心情をお教えいただけますか?

かりんこさん
「突き飛ばされて刺されたきっかけが、ちょっとしたケンカだったこともあり、経緯説明を色々な人にしなくてはいけない気恥ずかしさと、いい歳した人間がこんなことくらいで大袈裟と思われたくないという体裁を気にする意識の比重が大きかったです。
もしこれで痛みさえあればすぐに救急車!と思ったかもしれませんが、私の場合は痛みが麻痺していた影響も手伝ってか、社会的な体裁や怪我をしたという事実を恥ずかしいものとしてとらえていました」
――加害者のマンションの隣の住人であり、かりんこさんの命の恩人であるナツさんとぴょんすさんとのエピソードで、思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
かりんこさん
「ナツさんが追ってきた『彼ピッピ』に反撃したシーンや、病院でぴょんすさんと久々に再会した時に会話した内容は鮮明に覚えていますし、思い浮かべるだけで色んな思いがあふれてきて、いまだに目頭が熱くなります」

かりんこさん
「また結末部分に触れてしまうので濁して言いますが、書籍6章に該当する部分はもう本当にラフの段階から力が入りまくっていた部分で、『この話を締める際には誰に何と言われようとこれは書く、それが無理ってなったら残念だけど書籍化はお断りしよう』とさえ決意していたシーンですね。
読んでいただければお分かりになるかと思いますが、ナツさんとぴょんすさんに関しての事を多く描いております。最後にこの話を持ってきたのは、お二人がいなかったら、あの時ドアを開けてかくまってくれなかったら、私はいま恐らくこの世にいなかったでしょうし、いたとしても何かしら後遺症に苦しんでいた可能性が高いでしょう。単純に『命の恩人』と称するにはあまりにも言葉が陳腐すぎて嫌だったので、せめてもの感謝の気持ちを込めて大切に描き切った感じです」
――突き飛ばされて後頭部を強打したこと、鼻をフォークで刺されたこと、隣人の部屋に逃げ込んだ後に警官の目の前で彼が隣人の部屋に侵入してきて鍵をかけたことなど、恐ろしいエピソードが続きますが、この作中で「一番ショックを受けたこと、精神的なダメージを負ったこと」として描いたのはどのシーンでしょうか。
かりんこさん
「1番ショックだったことでいうと、ナツさんが私を守るために『彼ピッピ』に反撃した影響で、彼女が足を負傷した点ですかね。自分自身が傷付くのは問題なかったのですが、助けてくれた恩人に怪我をさせてしまったことが本当にショックでした」

かりんこさん
「その原因が『助けてほしい』と逃げ込んだ自分のせいだというのことが本当にしんどくて、当時いくら必死だったからとはいえナツさんたちのことを全く考えることができていなかった自分自身が、しばらくの間許せませんでした。
このシーンは結末にもつながる、意外と重要な部分なのですが、この時のナツさんの行動は私にとって大変感動的であったのと同時に、いまだに心に残り続ける悲しい出来事ともなってしまったので自戒の念も込めて今後一生忘れないで過ごそうと思っています」
――病院で刺されたケガを治療している間も、事件のショックで記憶障害になったり、彼との記憶を呼び起こすような事象に出会うと吐き気を催されたりと、困難は続きましたね。治療中の出来事で、特に記憶に残っていること、印象に残っていることはありますか?
かりんこさん
「主治医として親切に慎重に治療を進めて下さった先生に関することですかね。本当に良い人でした」

かりんこさん
「書籍には含まれていないのですが、ブログで公開していた先生とのエピソードがあります。
入院期間中のある日の消灯後、病院食にも飽きてきてなかなか眠れずにいた私のところへ、自分の顔の下にペンライトを当てた先生が、カーテンの隙間からこちらを覗きながらのっそりと現れたんです。大声を出すほど驚きました…(笑)。先生は『病院食や治療にも飽きてきたんじゃないかと思いまして、これ持ってきました!』と海老の塩辛の瓶詰めを私に買ってきてくれたんですよね。
あとで聞いたんですが、病院側から、しかも先生という立場で差し入れや贈り物をすることは本当はNGだったらしく『これ内緒でお願いします~!』と夜の病院の闇に消えていく先生のニヤニヤ顔を見ながら『この先生のおかげで卑屈になり過ぎず入院期間を過ごせている』と改めて感謝をし、残りの治療も頑張れました」

――作品を読まれる方、読まれた方へのメッセージをお願いします。
かりんこさん
「百聞は一見にしかず! タイトルで『⁉』と少しでも反応して下さった方はぜひ非お手に取っていただきたいです! そして既にゲットして読んでくださった方々、本当にありがとうございます! 笑って泣けましたでしょうか…⁉ 今回このように作品を出せたのも、日頃の皆さまからの応援あってこそです。重ね重ねにはなりますが本当にありがとうございます」
* * *
凄惨な暴力を受けても屈せず、前に進むことを決意したかりんこさん。入院し治療に専念する彼女を、さらなる悲劇が襲います。現在は心身とも平穏に暮らしているかりんこさんは、どのようにこの事件を乗り越えたのか。ページをめくる手が止まらなくなるほどスリリングで勢いのある作品です。
取材・文=山上由利子
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