教育のプロに聞いた!子どもの才能を伸ばす「家の中・家庭環境・住環境」とは?

#くらし   

子どものために親ができることとは? 
才能を伸ばす住まいや環境について、学校心理学に基づく著書を出している田村節子さん、日本保育学会理事などを務める大豆生田啓友さん、育児漫画家として活躍する高野優さんにお話を伺いました。

※本記事は8月3日発売の「ウォーカームック 教育環境で選ぶ首都圏で家を買って住みたい街」(角川アスキー総合研究所)の一部を抜粋、再編集したものです

才能を伸ばす住まいや環境について、お話を伺いました。

子ども一人ひとりの個性×環境で人格形成は決まっていくもの。環境とは家庭だけではなく家庭や地域なども含まれます。そこで、家の中、家庭環境、住環境についてと3つ分けて大切にするといいことを教えてもらいました。

「家の中」

子どもの才能を育むために心の“安全基地”を作る


「子どもが心地よく居られる場所、つまり居場所の数が多いほど、自己肯定感が上がるというのは、研究でも知られていることです。例えば押し入れの天袋を開放するなど、子供たちが自由に遊べるサードプレイスを家の中でも作っていくことが大事です」と田村さん。
サードプレイスとは、自宅や職場、学校とは別の居心地がよくリラックスできる第3の場所のことで、教育の場でもその必要性が協議されています。

また、外から帰ってきたらリビングを通らないと自分の部屋に行けないリビング階段が注目を集めていますが、高野さんはあえて玄関からリビングを通らないで自室に直行できる間取りにしたとのこと。「思春期になれば、親の顔を見たくない日もあると思います。話がしたくなったらリビングに来れば温かく迎えてあげる、シェアハウスみたいな家が心地いいかなと思いました」とのこと。

リビングは家族の拠点になる場所なので、お互いの存在を感じながら思い思いに過ごせる場所にすることが、子どもにとっても親にとってもいい間取りと言えるかもしれません。

「家庭環境」

子どもが成長するプロセスをアートにする余裕が必要


リビングの在り方も大きなポイント。大豆生田さんは、「子どもが小さいときは、リビングをきれいに保つという発想はやめること。一箇所、子どもが思いっきり遊べるコーナーを作り、そこは散らかっていても気にしない、自治区のようなスペースを確保するといいです」と提案。田村さんも「黒板壁紙を使うなど、子どもが自由に発散できる場所があると、親も叱ってばかりにならないので精神的にもいいと思います」とのこと。

ちなみに乳幼児期に自分をどれだけ出すことができるかが成長する上で大事で、安心してやりたいことに夢中になれる場所を作ることが、子どものやり抜く力達成感を育むことにつながります。懐の大きなリビングを作って、子どもの健やかな成長を促しましょう。

親が手足・頭となると子どもは自立できない!


愛情をたっぷり感じさせて子どもの自己肯定感をあげることが親の大切な役目。「とにかく子どもは身体が小さいだけで大人と代わらない存在だと思って接してきている」という高野さんですが、やはり子どもが今考えていることや学校のことなどどうしても気になってしまうとのこと。

田村さんは「子どもに対して過保護、過干渉にならないことが大事。子供たちの自立をサポートするのが本来の親の役目。それを先回りして、子どもの手足となるのが過保護、子どもの頭になって代わりに考えてしまうのが過干渉です。それをすると子どもが主体性や社会性を身につけて成長していくのを阻害していきます」と断言。
親は子どもに対して愛情を持ちつつ見守ることが大事です。

未来を生きる子どもにとって親の価値観は時代遅れ


子どもに対して親があれこれ口を挟みたくなりますが、現代は不確実性の時代。これまでの常識が覆され、社会が急激に変化しています。
「親の価値観は子どもにはもう当てはまらないです」と田村さん。大豆生田さんも「子どもは親の顔色を見て、どうしてほしいかすごく観察しています。子どもがイヤ!と言える環境を作ることが大事」と言います。

親も子もワクワクできるかを最優先にしよう


習い事をする際、どうしても子どもに足りないことをあれこれ習わせようとしますが、それは子どもにとっていいことではありません。「本人が望まないなら習い事をしなくてもいいし、させるなら、ぜひ、子どもが本当にワクワクできるものを選んであげてください。子どもも大人も好きなことに夢中になっているときが、成長します」と大豆生田さん。

好きな事に夢中になっていくと、苦手なことにまで意欲が湧いてくることも。子どもも親も一緒にハッピーになれることを考えて行動していくことが大事です。

「住環境」

住民のつながりが豊かな街は子育てもしやすい


子どもにとって本当に合う環境を用意したい、という方も多いのではないでしょうか。
「住民のコミュニケーションが豊かな地域は孤立化しにくく、子育てもしやすいはず」と田村さん。大豆生田さんも「自分たちにフィットする園や学校があるかどうかで住みやすさは変わってきます。今はリモートなど働き方も変わってきているので、地方に移住するという選択肢を持っている方もいらっしゃいます」と提案。

地域によっては子育て支援センターなどを介して親同士が自然につながれる仕組みがあるなど、子育ての支援が手厚いところもあります。

気になる街には出かけていき雰囲気を肌で感じてみよう


気になる支援があるエリアが見つかれば、引っ越しをする前に実際にその場所に行ってみるのも一つの手です。
「各市町村によって子育てに対してどういう方針を出しているのか異なりますし、市民の意識が高くてネットワークに力を入れている場所もあります。どの街が子育てしやすいかと見極めるのは専門家でも苦労します。官民問わず多様な支援メニューが用意されているか? 親子で過ごしやすい場所があちこちにあるか? など事前に情報収集することが大切です」と大豆生田さん。

足を運んでみたり、SNSで住んでいる人の発信をチェックすると、リアルな声が見えてきます。事前に調べて自分たち家族に合った街を見つけることが大事です。


「いい学校=OK」の時代は終了! 子どもの好きを伸ばそう


保育園や学校を選ぶときも、その子らしさが受け入れられるのかを見極める必要があります。「幼少期だけではなく小中高でも、主体的で対話的で深い学び、探求型学習を重視するようになってきています。21世紀型スキルを身につけるのに、従来の"いい学校"に入れればOKという価値観はもう通用しなくなってきています」と大豆生田さん。

時代によって学校教育そのものが変化。平均的に何でもできることを目指すのではなく、個性を発見し、好きな事、得意なことを伸ばしていくという教育方針は2022年に国が改定した『生徒指導提要』にも示されています。

田村さんも「これからの日本教育はどんどん変化します。適性が合えば、子どもが伸びる機会もいろいろ増えていきます」と予想。選択肢が増え、より家族に合った環境が求められてくる現代。子どもが自分らしく居られて、親もハッピーで居られる街、学校、住居をじっくり吟味することが大事ですね。

プロフィール

(写真左から)高野 優さん、大豆生田啓友(おおまめうだひろとも)さん、田村節子さん

(写真左から)
高野 優さん
育児漫画家・イラストレーター。三姉妹の母。著者は40冊以上あり、台湾や韓国でも翻訳本が発売中だ。最新刊は『HSP! 最高のトリセツ』(1万年堂出版)。漫画を描きながら話をする独特なスタイルの講演や、教育番組などでも引っ張りだこ

大豆生田啓友(おおまめうだひろとも)さん
玉川大学 教育学部 乳幼児発達学科・教授。日本保育学会理事なども務める。最新刊『0~5歳児 子どもの姿からつくる・これからの指導計画』(チャイルド本社)をはじめ著書多数。NHK Eテレ「すくすく子育て」などテレビ出演も好評だ

田村節子さん
東京成徳大学 応用心理学部 臨床心理学科・教授。学校心理学に基づく著書や論文も多数 。現在、子どもたちのための発達支援アプリ『ぷりん』を開発中!「親と子が幸せになるXとYの法則」はN H Kの番組にも取り上げられ全国に拡散中


教育のプロが語る子どもの才能を伸ばす住まい・環境など、8月3日発売の「ウォーカームック 教育環境で選ぶ首都圏で家を買って住みたい街」には街選びに役立つ情報が満載!


【「ウォーカームック 教育環境で選ぶ首都圏で家を買って住みたい街」編集部】

文=徳永陽子

この記事に共感したら

おすすめ読みもの(PR)

プレゼント企画

プレゼント応募

\\ メルマガ登録で毎週プレゼント情報が届く //