
「スマートフォンの充電を忘れたことをどんなに悔やんだか…」
「地震のショックで食べ慣れたものしかのどを通らないんです」
「隣家からもらったクラッカーに助けられました」
「やらなければいけないことが山積みで、ラジオを手回ししているヒマなんてない」

「ラジオから聞こえてきた「一緒にがんばりましょう」ということばに「一人じゃない!」と思えたんです」
被災時、切実に欲しかったもの&あって助かったもの
地震の被害に遭ったとき、リアルに役立ったもの、これがあれば…と痛感したものを、震災経験者にリサーチしました。役立つものは防災グッズだけではないようです。
カセットこんろ&カセットボンベ

「避難所の食事はカップ麺やコンビニ弁当が多く、ありがたいと思いながらも毎日はさすがにつらくて。カセットこんろがあれば、料理をしたり、レトルト食品を温めることができたのにと、何度も思いました」(Sさん)
電池式ラジオ
「手回し充電のラジオを持っていたのですが、被災直後は家の中を片づけたり、とにかくやらなければいけないことが多いんです。そんな中、ラジオを手回ししているヒマなどなく、結局一度しか使いませんでした」(yuccowさん)
食べ慣れたビスケット菓子

「火が使えず、水も限られた被災直後、お隣さんからいただいたクラッカーに本当に助けられたんです。被災時は食べ慣れたものしか体が受けつけないことも分かったので、被災以降は『ビスコ』などを常備」(yuccowさん)
カッターと油性ペン
「支援物資の入った段ボールを開封したりと、避難所ではカッターが何かと役立ちました。欲しかったのは油性ペン。支給された支援物資に名前を書くとき、いちいち借りていたので、あれば便利だったなと思います」(Sさん)
パックご飯
「停電時、鍋でご飯を炊いたら大失敗。パックご飯は湯せんもOKなので常備するように」(しのあやさん)
「パックご飯の容器って、お皿代わりにもなるんです。レトルトのおかずを食べるときも食器いらず」(Sさん)
水 (給水袋)

「地震発生の翌日、近くの公民館で水がもらえることに。でも家には水を入れる容器がペットボトルしかなくて、1時間半並んで手に入れたのはペットボトル2本分の水だけ。とても悔しい思いをしました」(yuccowさん)
常備薬
「避難所での生活中は4日に1回しか入浴できなくて、子どものアトピーが悪化。とはいえすぐに病院に行くこともできず、皮膚科を受診できたのは地震から2週間後のことでした。常備薬の備えは必須だと痛感」(Sさん)
私も、電池不要の方が便利に思えて手回し式のラジオを用意していましたが、「手回ししているヒマなどない」にハッとしました。
被災後にどのような生活が待っているか、想像することは難しいもの。被災された方の経験をしっかり聞いて、防災グッズの準備に役立てましょう。
イラスト/oyasmur 取材・文/恩田貴子