
福井県の港で水揚げされた雄のズワイガニは「越前がに」と呼ばれています。福井県のカニ漁は国内で最も古い歴史があるといわれていて、室町時代に書かれた日記には「越前がに」の名前が既に登場しています。地元の漁師たちは長い年月をかけて漁法を工夫し、漁獲量を増加させてきました。
福井県沖の日本海は暖流と寒流がぶつかるエリアで、カニのえさとなるプランクトンや小魚が豊富。栄養が豊かな海域で育ったカニは身がギュッと詰まっています。船上で冷温保管され生きたまま港に運ばれるため、鮮度が良いのが特徴です。
全体のわずか0.02%! 希少性の高い「越前がに・極」

「越前がに」の産地証明として付けられているのが黄色いタグです。平成30年9月27日には、国が農林水産物や食品を地域特産品として保護する「地理的表示(GI)保護制度」に登録され、黄色いタグにGIマークが付きました。
そんな越前がにの中でも特に厳しい基準を満たした最上級ブランドが「極(きわみ)」です。茹でた後の重さ1.3kg以上、甲羅の幅14.5cm以上、爪の幅3cm以上など、厳しい基準をクリアしたもののみが「極」に認定されます。
2022年度の認定数は45杯で、その漁獲量は全体のわずか0.02%! 今年の初セリでは1匹260万円の最高値を付けるなど、値段も味も格別で話題となっています。

試食会の会場には越前がに「極」の実物大レプリカが用意されていました。実際の「極」の重さを再現しているということで、持ち上げてみると…見た目以上にずっしりとした重量感! これは身がしっかり詰まっている「極」だからこそですね。
ズワイガニのさばき方とおいしい食べ方は?

ではここで、地元の方にレクチャーしていただいた、ズワイガニのさばき方とおいしい食べ方をご紹介します。
1) 甲羅ごと裏返す。
2) カニのお腹の部分「フンドシ」(前かけ)をとる。
3) 両足を折って甲羅から外す。
4) 甲羅についている「口」をとる。
5) カニミソは甲羅に入れる。
6) 甲羅の周りについている「ガニ」(えら)を取る。
7) 足の胴体側についている「ガニ」(えら)を取る。
8) 足を一本ずつ切り離す。
9) 足の真ん中から分け、ハサミでカットする。
10) 足から身を取り出して食べる。
11) 銅から身を取り出し、カニミソと一緒に食べる。
カニミソが入った甲羅に身を入れて、混ぜながら食べるとより一層おいしいそうですよ!
鮮度抜群! ほどよい弾力の「かに刺し」

こちらは越前がにの「かに刺し」です。みずみずしくてジューシーで、口の中でプルンと逃げてしまいそうなほどしっかりとした弾力があります。弾力のあるかに刺しは鮮度がいい証拠なんですって。

生のカニは、氷水で身を引き締めることで花が咲いたように広がります。この花が開いた状態の舌触りもたまりません…!
ほのかな甘みが感じられる身をまずは何もつけずにそのままパクッ! その後、カニミソにつけながらいただくと、よりコクと深みのある味わいに。
良質な生息環境で立派に育つ福井県の「越前がに」。茹でて食べても刺身で食べてもおいしい特別なカニをぜひ一度ご賞味あれ!
取材・文=宇都宮薫