「猫はもう飼わない…」旦那さんの元にやってきたちゃーにゃん
ちゃーにゃんは、クールでおおらかなイケメン猫。 旦那さんが独身時代に飼い始めた猫です。
子どものころから大の猫好きだった旦那さんは、何度か猫を保護した経験があるそうですが、すでに弱っていることが多く、病院に連れて行っても元気になることはなく、悲しい別れを経験していたのだそう。
「自分はきっと縁起が悪い…。拾わない方がいい…。」
以降、猫を飼うことをあきらめるようになったという旦那さん。
もう猫は飼わない…と諦めていた旦那さんですが、新聞配達員さんが突然連れてきた子猫は、やわらかくて、あたたかい、それでいて手足もしっぽも長くて立派な猫でした。
「丈夫に元気に育てたい。」 ちゃーにゃんとの縁を感じ、旦那さんは家族として迎え入れたのでした。
旦那さんがちゃーにゃんを飼い始めたころにねこゆうこさんは旦那さんと知り合い、ちゃーにゃんと初対面を果たします。 初対面でも全く動じず、ねこゆうこさんに懐くちゃーにゃんの姿に、ねこゆうこさんはすっかり虜に!
すくすくと元気でおおらかに育ったちゃーにゃんはふたりの縁をつなぎ、ねこゆうこさんと旦那さんは晴れて夫婦になりました。
夫婦ふたりと一匹の猫の生活は、毎日楽しく幸せに過ぎていきました。 たまに夫婦ゲンカをしたときは、ごめんなさいのかわりにどちらかがちゃーにゃんを連れてきて、一緒にちゃーにゃんをなでるのが仲直りの印だったそうです。
時が流れ、ちゃーにゃんはガン宣告を受けます。ねこゆうこさん夫婦は、瞬く間に悲しみと不安の渦中を彷徨うことになってしまうのです。
ねこゆうこさんに聞く愛猫と過ごした15年間
―――はじめてちゃーにゃんと対面したときの気持ちを教えてください。
ねこゆうこさん:もう25年も前のことになりますが、ちゃーにゃんはまだ子猫で、ぴょんぴょん跳ね回っていて、初対面の私にもまったく動じず元気いっぱいでした。 白い部分の毛皮がまぶしいくらい真っ白で、キラキラして見えました。 膝から崩れ落ちるくらいかわいかったです。
―――ちゃーにゃんに助けられた・支えられた…というエピソードはありますか?
ねこゆうこさん:会社でどんないやなことがあっても、家に帰ってちゃーにゃんの顔をみればホッとしました。 働く気力をもらっていました。
2011年の震災のときはちょうど旦那さんが単身赴任で不在だったのですが、ちゃーにゃんは初めの地震こそびっくりしていましたが、すぐにいつも通りのんびりどっしりしていて、ああ、自分もしっかりしないと、と平常心に戻れたような気がします。
―――旦那さん、ちゃーにゃんとの2人1匹家族。家族が一番大切にしていた時間はどんなときでしょうか?
ねこゆうこさん:なんでもない時間です。 ごはんを食べたあとにソファーでちゃーにゃんを抱っこしながらテレビを見たり、日向で寝ているちゃーにゃんのおなかにふがふがしたり。 何気ない日々の中にいるちゃーにゃんの写真を撮ったり…。 ちゃーにゃんが膝に乗ったまま寝てしまって足がしびれても、ちゃーにゃんの重さとしびれた足が幸せでした。
―――すべてが大切な時間だったと思うのですが、特に心に残っているエピソードを教えてください。
ねこゆうこさん:たくさん考えたのですが、どうしてもこれが一番!というものはなくて…。 毎日が幸せでした。 強いて言うなら、出会えたことと、最後の日ですね。
—――ちゃーにゃんと暮らした15年間、ねこゆうこさんご自身が変化したこと、あるいはご夫婦の関係に影響したことはどんなことでしょうか?
ねこゆうこさん:まるで同級生のようにちゃーにゃんと共にゆっくり歳をとっていけた感じがします。
結婚したころは、人間ふたりともまだ若く、ちゃーにゃんも若かった。
ちゃーにゃんはとてもおおらかで頼りがいのある猫だったので、ふつつかな人間たちをサポートしてくれる存在でした。 夫婦と猫というよりも、ちゃーにゃんがいなくては成り立たない、3人チームのような感じだったと思います。
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なにげない日常に幸せを感じながら過ごしていた、ねこゆうこさん夫婦とちゃーにゃん。
夫婦ふたりと猫一匹の家族が共に歩んできた15年は、特別な思い出よりも『毎日が幸せだった』と話す、ねこゆうこさんの言葉がとても印象的でした。
家族と過ごすなにげない日常を改めて見つめ直してみませんか?
文=畠山麻美