あなたのスマホの充電は今、何%ですか?防災士の資格を取得した著者に聞く「令和の防災」
広々とした注文住宅から、コンパクトな賃貸マンションへの“住み替え”を選択した、5人家族の実録コミックエッセイ『賃貸か持ち家か?こだわりマイホームを手放して賃貸生活でお金も貯まりました』が話題を呼んでいます。
『賃貸か持ち家か? こだわりマイホームを手放して賃貸生活でお金も貯まりました』あらすじ
エリアごとに選んだ壁紙、最新設備の水回り、吹き抜けのランドリールーム…。夫婦でこだわり抜いて建てた4LDKの注文住宅。イラストレーターのアベナオミさん一家がこのマイホームで暮らした期間はわずか数年。現在は賃貸マンションで暮らしているのです。
周囲から聞こえてくる「なぜ!?」「ローンが払えなくなったの?」という声。それもそのはず。引っ越したのはほぼ1LDKの賃貸マンションで、住居スペースは戸建時代の半分以下。それでも暮らしやすさは「劇的」に変化したといいます。
理想を詰め込んだマイホームは、予想以上にかかる光熱費や広すぎる部屋と庭のメンテナンスの苦労、どんどん増えていく荷物の片付けが追いつかない!など、さまざまな悩みを抱えることになってしまったのです。
夫婦で徹底的に話し合った結果、持ち家から賃貸への住み替えを決断することになったアベさん。当時を振り返り、「そもそも住み替えのきっかけになったのは、30代で始めた“生前整理”と、防災の知識を活かした“片づけ”だったんですよ」と語ります。
防災の知識を活かした片づけ…?それは気になります!
2011年の東日本大震災を宮城県で被災し、その後、防災士の資格を取得したアベさん。今回詳しくお話をうかがいました。
アベナオミさんインタビュー
――“賃貸か持ち家か?”は、いわゆるオトナと呼ばれる年齢になるにつれて切実さを増してくる人生テーマだと感じています。アベさん夫婦はまず、“持ち家”を選択されたんですよね。
アベさん
はい。広い家を建てて一番良かったのは、子どもたちを家の中で遊ばせられること! 真冬や真夏の公園に行かなくてもいいんです(笑)。大型の室内遊具もそろえたりしていたら、あっという間にパンパンに。家が大きいと気も大きくなり、モノを購入しがちになるんですよね。
――確かに。私の実家もそうかもしれません。
アベさん
そうそう、私たちもまさに実家がターニングポイントでした。家を建てて3年目に義父が亡くなって。実家の相続の手続きで疲れきっている夫をサポートしながら、思ったんです。
アベさん
とは言え、家は建ててしまったので、せめて将来子どもたちへの負担にならない方法を考えたい!と思っていたときに、“生前整理”という考え方があることを知り、セミナーを受講したんです。生前整理とは、人生の最期に向けて準備をする“終活”とは違い、これからも生きることを前提にモノ・情報・心を整理すること。“今”を整理することで、“未来”をプランニングしていくという考え方なんです。
アベさん
2011年の東日本大震災、私は宮城県内で被災しました。1歳だった子どもを保育園に迎えに行き、帰宅して言葉を失いました。床には照明や小物、植木鉢のカケラが散乱して、とても靴は脱げない。背の高い棚は倒れて通路をふさいでいました。
一方で、ベッドしかなかった寝室はほぼ被害がなくて。寝室が安全だったので、自宅避難ができたんです。
――モノがないと、被害もほとんどない…。その発想はなかったです!
アベさん
そうなんです!私たちに危険を及ぼすのは、地震の揺れというより、揺れで動いた“モノ”。揺れを防ぐことはできないけれど、揺れで動く“モノ”はある程度防ぐことができるんです。
――なるほど…。最近、大きな地震が続いたので、私も防災グッズをホームセンターに見に行ったんです。しかし「あれもこれもやらなきゃ!」というので頭がいっぱいになってしまい。予算の関係もあって、結局いったん帰って検討しようということになりました。
アベさん
そして結局、うやむやになるんですよね。わかります、わかりますよ~。
防災士としては「あれもこれも」とお伝えしたい知識と気持ちがわいてくるのですが、「今、この記事を読み終えた直後にできる、おうちの防災」という視点にしぼってお伝えします!
今すぐできるおうち防災のポイント 最優先はスマホの充電!
アベさん
「令和の防災は、まずスマホ防災から!」ハイ、ご一緒に~!
――「令和の防災は、まずスマホ防災から~!」
アベさん
スマホは情報収集には欠かせませんし、家族や学校・園への連絡先、銀行・クレジットカードアプリ、子ども用のゲームや娯楽アプリと、もはや生活には欠かせません。今、そのへんに置いてあるスマホ、タブレットはすぐ充電しましょう。ちなみに今、スマホの充電は何%ですか?
――ええと……充電28%です。この状態で災害が起きたらと思うと…。こまめに充電しておくクセをつけておきたいですね。
アベさん
外出時、充電バッテリーをバッグにしのばせるのも立派な防災です。私は東日本大震災の被災後しばらくは、たくさんの防災グッズを持って外出していたのですが、荷物が多いと続かないんですよ。試行錯誤して、今は近場ならハンカチ・ティッシュ。電車やバスで遠出するなら、プラス充電バッテリー・キャンディ・小さい水筒(飲料水)・携帯トイレ1つです。
最優先で確認しておきたいのが①スマホの充電。これ以外にも、地震に強い部屋作りについてアベさんが力説してくださったポイントがこちら。
②自宅のモノを減らすこと(とくにワレモノ)
防災グッズを買い足す前に、まず自宅のモノを減らしましょう
・まず寝室のワレモノからチェック…就寝中の大地震は、ほとんどの場合、寝具の中にくるまって揺れをやり過ごすしかありません。そのとき危険なのが、照明器具・写真フレームなどワレモノ系インテリア。必需品の場合は固定したり、割れにくい素材に替え、背の高い棚も倒れた場合を想定して、ベッドを直撃しない位置に移動させましょう。寝室が終わったらリビング→キッチンと見ていき、「揺れたら危険なモノ」を減らしていきましょう。
ストックの目安量「未開封の1パック」で、自宅の在庫管理をスッキリと!
・食品をはじめ生活・衛生用品も、ストックの目安量は「未開封の1パック」。開封したらすぐに未開封の1パックを補充するよう心がけましょう。おむつ(ベビー用・大人用)などは、もう少しストックが多いと安心。
・レトルト食品やお菓子など、お気に入りの味を普段から1ストック。災害直後の不安な時期だからこそ、非常食より「いつも食べ慣れている味」がおすすめです。普段あまり自炊をしない場合は、自宅に食料が少ないので、非常食ストックがおすすめ。災害時、食事がままならなかったのは発生直後の約3日間だったので、3日分を目安にしても。そこを乗り越えれば、徐々に支援が届き始めます。
③災害時に役立つモノを知っておくこと
アベさんが実際に利用したアイテム
・おしり拭き(ウエットティッシュ)…断水生活中でも、全身を拭いて清潔を保てた。テーブルや床を拭いたり、水道の代わりとして活躍
・おむつ処理袋・生ごみ処理袋…災害後のゴミ収集がストップしてしまった期間の対策として
生活の土台を支えるモノを、おうち防災グッズとして備えておこう
・水
・火力
・非常時用トイレ
この3つさえあれば、水分補給、食事、清潔、排泄を守ることができます。火力はカセットコンロが一番おすすめですが、アウトドア用のバーベキューコンロでも、逆にキャンドルタイプのチョコフォンデュセットでも!小さいけれど、お湯を作ったり、目玉焼きを作るくらいのことはできます。
* * *
お片づけでモノを減らしたことが転機となり、地震がきても安全な空間へ、さらに家計にもプラスの変化があったアベさん夫婦。自然と将来のお金について話し合うようになり、最終的に住み替えを決意することになります。マイホームを持つことが夢や目標になっている日本で、なぜ「手放す」という選択をしたのか。アベさん夫婦の着眼点や行動力はもはや爽快!読んでいる途中から自宅や家計を見直したくなる一冊です。
取材・文=maco
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