【積み立て投資の魅力】暴落相場が怖くなくなる
一括投資であれば、投資した直後に暴落相場がやってくると目もあてられない惨事になってしまいますが、積み立て投資ならまったく心配いりません。高値で買ってしまったのは最初の数か月だけで、目の前の暴落相場は願ってもないバーゲン価格で投資できるボーナスステージです。この暴落相場は長いほど、また下落幅が大きいほど、回復した時の利益を大きくできます。
なぜ暴落相場がボーナスステージなのか、価格が変動するトマトを6か月の間、毎月100円分買い続けると考えてみましょう。
最初の月のトマト価格は100円なので1個、翌月は50円に値下がりしたので2個、というふうに、どんどん値下がりするトマトを毎月100円分買い続けていく投資をイメージしてください。4か月目には10分の1にまで値下がりしましたが、ここで底打ちし、最後の6か月目には50円にまで回復しました。それでも投資を始めた時の半値までしか戻っていません。
6か月間で投じた合計600円の資金を、もし最初の月で全額投資していたら、最終的に買えたトマトは6個。この時点では価格は半減しているので、保有しているトマトの価値は300円にしかなりません。
一方、積み立て投資の場合、買えたトマトの数はなんと25個です。6か月後の価値は1250円で、投資した元本は倍以上に増えた計算になります。投資を始めてすぐに暴落に見舞われたうえ、投資期間が終わった時のトマトの価値はスタート時の半分まで下落しているにもかかわらず、最終的に資産は倍以上に増えているのです。
いったいどうして、こんなことが起こるのでしょうか。
それは、途中の暴落相場を経験したからにほかなりません。暴落相場では安く買うことができるので、この間にたっぷりと仕込んでおけば、最終的にはスタート時まで価格を戻すことができなくても、少し回復するだけで利益が出るのです。
この例ではトマト価格が50円に回復した時点で投資をやめていますが、100円に戻るまで待つことができれば、600円の投資を2500円まで増やせる計算になります。
一括投資で100円に戻るのを待った場合、投資した額に戻っただけでプラスマイナスゼロです。それなのに、積み立て投資ならその時点で資産は4倍を超えるのですから、すごいことだと思いませんか。
もちろん、暴落の真っただ中では、すでに買ってある資産は元本割れして含み損が出ます。トマトの例でも、10円まで下落した4か月目には前月まで300円投資したトマトの価値はわずか80円です。
これまでに投じた資産が3分の1以下になっている状態で、精神的にとても苦しい局面です。ここで耐えきれずに投資をやめて損失を確定してしまう人もいるかもしれませんが、なんとか歯を食いしばって投資を続けることができれば、相場が回復した時には大きな利益を出すことができるのです。
価格が変動する対象を定額で買い付けていくことで、高い時には少なめに買い、安い時にはたっぷり仕込むことができます。こうすることで自然に高値づかみを防ぎ、投資価格を低めに抑えていくことができます。積み立て投資のこのしくみは「ドルコスト平均法」ともいわれ、昔から実践されているオーソドックスなリスクコントロール法です。暴落相場は決して敵ではなく積み立て投資家の強い味方なのです。
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著者:投資塾ゆう
証券会社の営業として7年働いた後、独立して現在は投資アドバイザー。組織のノルマから解放され、お客様のサポートに集中できるようになったことで、「直接アドバイスができない人たちにも正しい投資知識を身に付けてもらいたい」と思い、YouTubeチャンネルを開設。多くの視聴者から信頼を集める。登録者数は15.8万人。
・本書の内容の多くは、2023年12月時点の情報に基づいています。
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著=投資塾ゆう/『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』