たくさん獲れるのに食べられない!? 毒の部位が不明な「雑種フグ」が増加中 画像(1/2) 日本の沿岸部をはじめ、世界の海には雑種のフグが数多く生息しています。
日本の沿岸部をはじめ、世界の海には雑種のフグが数多く生息しています。

今年5月、国立研究開発法人水産研究・教育機構は、フグの大規模な交雑が起きていることを発表しました。近年、異なる種類の両親から生まれた「雑種フグ」がたくさん獲れるようになり、その実態調査の結果が明らかになったのです。

「フグがたくさん獲れれば、安く食べられるかも」と思うかもしれませんが、じつは雑種のフグはすべて食べてはいけないことになっているのです。では、なぜ雑種のフグを食べてはいけないのでしょうか? また、どうやって雑種のフグを見分けたのでしょうか?

 

DNAを調べて正体を探る

今回の調査のターゲットは、2012年頃から茨城県・福島県・岩手県の沖合で多く獲れるようになった、正体不明の「雑種フグ」です。それらをつかまえてDNAを調べたところ、「ショウサイフグ」と「ゴマフグ」のあいだに生まれた雑種。もしくは、その雑種とショウサイフグ・ゴマフグの間に生まれた個体だと判明しました。今回、得られたデータは、ITを利用してフグの種類を見分ける技術を開発するために活用されるそうです。

 

「雑種排除」は安全のため!

フグは体の一部に「テトロドトキシン」という、命に関わるほどの猛毒を持っています。その毒性は、サスペンスドラマでおなじみの「青酸カリ」の数百倍! さらに、浸透性があるため、普通のビニール袋に入れると、なんと毒が染み出してしまうのです。そのため、フグ毒は専用の除毒所で管理・処分されています。

フグの毒がある部位は、じつはフグの種類によって違っているんだそうです。たとえば、トラフグは身・皮・精巣(いわゆる白子)のすべてを食べられますが、ショウサイフグは皮に毒があるため、身と精巣しか食べられません。そして、雑種のフグの場合、毒のある部位がどちらの親とも違っている場合があり、「この部分なら安全に食べられます」ということが断言できないのです。だから、雑種のフグはすべて食べてはいけないという、厳しいルールがあるのですね。

たくさん獲れるのに食べられない!? 毒の部位が不明な「雑種フグ」が増加中 画像(3/2) おいしいフグ料理を心から楽しむためには、安全を確保する必要があります。
おいしいフグ料理を心から楽しむためには、安全を確保する必要があります。

近年、地球温暖化などで海の環境が変化したことから、さまざまなフグがいままでとは違う場所に生息するようになっています。その影響で、前例のないパターンの交雑が起こり、新たな雑種フグが増えていくことも予想されます。安全にフグを食べるためには、そのような雑種フグを排除しなければなりません。今後、より正確で効率的な見分け技術が開発されれば、もしかしたらフグの値段も下がるかもしれませんね。