
態度は最悪ながらもユウコは、ナオキとの馴れ初めを話してくれました。
ユウコはヒナと同じキャバクラでバイトをしており、そこに客としてやってきたナオキと恋に落ちました。それをユウコがヒナに話したことがきっかけで、ヒナとナオキは再会し不倫関係に。するとナオキはユウコからの連絡は無視するようになり、ユウコとナオキの仲は自然消滅したそうです。.

ユウコの望みは「ヒナを再起不能にする」こと。そうすればユウコは、リナと離婚した後のナオキとよりを戻せると思っているのです。
あまりにも荒唐無稽なユウコの要望に、呆れて何も言えなくなったリナでしたが、ユウコと別れた後にすぐナオキに連絡を入れ、ユウコ、ナオキ、リナの3人で話し合うことに。
リナは、話し合いを通してユウコとナオキの不貞行為の証拠を手に入れ、ユウコに慰謝料を請求するつもりだったのです。
「ユウコと付き合った覚えはない」

キャバクラに同行した上司にあおられてキスをしたことはあったけれど、それ以上のことはなかったと断言するナオキに、ユウコは号泣。どうやらナオキとユウコの間には、本当に不貞行為はなかったようです。こうしてリナは、ユウコへの慰謝料請求をあきらめたのでした。
泣いているユウコを帰らせた後、ナオキには離婚届に判を押すよう詰め寄りましたが、印鑑がなかったため一旦は保留になりました。
それからのリナは、娘のお世話とさまざまな手続きに追われる日々を送りました。
久しぶりに鏡を見ると、そこに写っていたのはストレスによる円形脱毛症でところどころはげてしまった頭と、ボロボロの肌にやせこけた頬の自分。食欲がわかなかったため瘦せこけていて、目の周りには大きなクマが…。


夫の不倫問題に頭を悩ませながらも休む暇などない毎日に、リナの心は追い詰められていたのです。そして限界を迎え、大量の睡眠薬を飲んで自殺を図りました。
しかし彼女は自宅で倒れているところを母親に発見され、救急車で病院に運ばれたことで、一命を取り留めることができました。

自分のしたことを心底後悔したリナは、心配してくれる母親や娘のためにも、ヒナとナオキから慰謝料を受け取り、前に進むことを決意します。
家探しと職探しに奮闘中のある日、ヒナからの慰謝料の減額交渉が届きました。金額に納得したわけではありませんでしたが、疲れきっていたリナは、それを受け入れることにしました。

【ネタバレ】傷ついたリナは幸せになれるのか…!?
娘の保育園も決定し、リナは働き始めました。
しかし新しい職場は、リナの痩せた見た目を侮辱してくる同僚や上司ばかりでした。話の通じない人間と付き合うと自分が消耗するだけ――。ナオキとヒナとの一件を通してそう学んだリナは、すぐさま退職しました。

その後求職活動を続けたリナは、自分に合う職場に就職できました。これから前向きに頑張ろうと思いを新たにしたリナには、やらなければならないことがありました。
そう、決着のついていなかった夫ナオキとの離婚です。
意を決してナオキの実家を訪ねたリナは、ごねるナオキを説き伏せ、なんとか離婚届に記入させることに成功しました。その場で、慰謝料や養育費の額、娘との交流の頻度など離婚後の取り決めをし、ようやくほっとしたリナ。

その足で役所に届けを出しに行き、ナオキとの結婚生活は終わりを告げました。
娘と新居に引っ越し、これでようやく落ち着いた生活ができると思ったのもつかの間、なんとナオキから着信が!
ナオキからは「娘に会いたい」「引っ越し先の住所を教えてほしい」という図々しいお願いをされます。もちろんリナは、娘を会わせる必要はないとバッサリ。なぜなら、離婚してから養育費は一度も支払われず、催促してもはぐらかされるばかりだったのです。
しかし後日、娘の通う保育園にナオキらしき人物が現れたと、保育士からの報告が…。

すぐさまリナはナオキに電話し、今後同じようなことをしたら警察に通報すると警告します。
すると後日、今度はヒナから着信が! 彼女の用件は「ナオキとリン、ヒナの3人で暮らしたいので、娘の親権をナオキに渡してほしい」というもの。元義母もナオキとヒナが結婚することに賛成だそうで、ヒナの妊娠も喜んでいるそうです。

ヒナはもっと話すことがあったようですが、リナは何も言わずに電話を切りました。そのまま、ナオキ、ヒナ、元義母の電話を着信拒否をして、養育費も諦めることにしました。
数か月後、ナオキの同僚から、リナに電話がかかってきました。ナオキと同僚が勤務する会社に、差出人不明のFAXが届いたそう。

そこに書かれていたのは、FAXの送り主はナオキと結婚の約束をしていたのに、ナオキに浮気され、自分は流産してしまったこと。そしてナオキは、それが分かった途端に逃げ出してしまったこと。ナオキとは連絡が取れない状態らしく、文面の最後は「今すぐ私に連絡するよう伝えてください」という言葉で結ばれていました。同僚いわく、ナオキは無断欠勤を続けているので困っているそう。
送り主はヒナだ、と直感したリナでしたが、とりあえず同僚にナオキの実家の電話番号を伝えることにしました。するとまた後日同僚から電話が。
同僚は、ナオキと連絡をとるため彼の実家に電話をしたそうなのですが、電話に出た元義母とはまったく話が成立しませんでした。連絡も取れずじまいだったため、ナオキは退職扱いに。
しかし、その後ナオキは手紙を置いて実家から立ち去っていたそうで、そのことに怒った元義母が会社にやって来て「ナオキの連絡先を教えろ」と喚き散らしたんだとか。

結局、ナオキには連絡がつかず、行方は分からないまま。一方のヒナは、噂によると、懲りずに別の既婚男性と不倫して、それが妻にバレてボコボコにされたそう…。

壮絶な体験を乗り越えたリナ。ヒナやナオキ、元義母とも縁が切れた彼女は、娘とともに新たな人生を歩んでいくのでした。
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息つく間もないほどすさまじい展開が続く本作。サイコパスな不倫相手のヒナはもちろんですが、そんな相手と不倫する夫への嫌悪感が湧き上がるにつれて、主人公リナを応援したい気持ちが募ってきます。
ドロドロの復讐劇を通して学びと強さを手に入れたリナですが、本作には続編があり、そこで新たなトラブルに巻き込まれてしまうようです…。人生山あり谷ありとは言いますが、この先リナにはどんな運命が待ち受けているのでしょうか!? 続編の展開にも期待が高まります。
文=山上由利子
著=リナ、釈氏とおる/『娘が初めて「ママ」と呼んだのは、夫の不倫相手でした』