日常的なお金の管理が難しくなったら
「日常生活自立支援事業」のサポートを利用する
お笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつさんと、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんの会話形式でわかりやすく「介護」のリアルと乗り切るコツをお送りします。
CHECK!
・お金の管理だけでなく日常の困った! を助けてくれるサービス
・社会福祉協議会の窓口で手続き。相談してから申し込む
安藤なつ(以下、安藤):たとえば、通帳の管理や公共料金の支払いなど普段のお金の管理が難しくなってきた場合、どうしたらいいですか? ホームヘルパーには頼めませんよね。
太田差惠子(以下、太田):そうですね。特に遠方に暮らしているとサポートが難しく悩むところだと思います。そんな方に使って欲しいサービスがあります。
安藤:どんなサービスですか? 具体的に教えてください!
太田:「日常生活自立支援事業」というもので、日常的なお金の管理だけでなく、生活の困りごともサポートしてくれます。「生活支援員」が定期的に親の自宅へ訪問して、福祉サービスの利用の仕方の説明や介護サービスの利用申し込み代行から苦情の相談、郵便物の内容の確認、行政の手続きなど、あらゆるサポートを受けられます。
安藤:それは心強い! たとえば軽い認知症の人でも大丈夫ですか?
太田:はい、もともと認知症などで判断能力が十分ではない方へのサービスなんです。ただし、この事業はご本人との「契約」により行うため、契約内容を理解できる一定の判断能力が必要です。また、通帳や実印など大事な書類を貸金庫で預かるサービスもありますよ。
■日常生活自立支援事業で受けられる主な援助
1 福祉サービス利用の援助
・福祉サービスの利用の情報提供、相談
・サービス利用の申請や契約の代行
・苦情解決の相談 など
2 日常的なお金の管理
・金銭管理の相談や助言、預金の出し入れ
・公共料金、家賃、医療費等の支払い代行
・年金や福祉手当の受領手続き など
3 日常的な事務手続き
・郵便物の内容確認
・行政等への必要な手続きのサポート
・商品購入に関する苦情処理
4 通帳・証書等の預かり
・保管を希望する通帳、印鑑、証書等を保管(年金証書、預金通帳、実印、保険証など)
安藤:どこで申し込んだらいいのでしょうか?
太田:「社会福祉協議会」が対応してくれます。窓口へ連絡すると、専門の職員が自宅へ訪問します。親が困っていることを相談すると、内容に合わせた支援計画を作成してくれ、その内容に納得がいけば、契約してサービスを利用する流れです。手続きは、親自身の署名が必要ですので、親がご自身で契約します。子どもは、窓口への連絡やどんなサービスがあるのか一緒に聞いてあげるのもいいかもしれませんね。
安藤:利用料金はどのくらいかかるのですか?
太田:東京都の場合は、1回(1時間まで)1500円。通帳を預けてお金を管理してもらうサービスの場合は、1回3000円です。どちらも1 時間を超えると30分ごとに600円の追加料金がかかります。また、通帳や実印を貸金庫で預かる場合は、1カ月あたり1000円です。どんなサービスを利用するかを決める相談は無料ですので、困りごとはどんどん相談してみてください。
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介護については「自分が何とかしなければ」と孤独になってしまいがち。
でも実はプロに頼ったり、悩みをシェアすることで最新の情報が得られたり、心や金銭的な負担が軽くなることも。ひとりで抱えこまず、できるだけ周りを頼りたいものですね。
安藤なつ(メイプル超合金)
1981年1月31日生まれ。東京都出身。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。2015年M-1グランプリ決勝進出後、バラエティを中心に女優としても活躍中。介護職に携わっていた年数はボランティアも含めると約20年。ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を持つ。2023年介護福祉士の国家試験に合格。厚生労働省の補助事業『GO!GO!KAI-GO プロジェクト』の副団長を務める。
太田差惠子(介護・暮らしジャーナリスト)
京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材 。「遠距離介護」「高齢者施設 」「仕事と介護の両立」などをテーマに執筆や講演を行っている。AFP(日本FP協会認定)資格を持ち、「介護とお金」についても詳しい。「Yahoo! ニュース エキスパート」オーサーなどでも活躍中。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと第3版』(翔泳社)など著書多数。
※本記事の情報は2024年6月現在のものです。法令や条例等の改正などにより、内容が変更になる場合があります。
著=安藤なつ(メイプル超合金)、太田差惠子/『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』