苦みは流出させると栄養ロスに
ピーマンはビタミンCやβ-カロテン、ビタミンEを含む栄養価の高い野菜。そしてピーマン独自の栄養素といえば香り成分のピラジン。このピラジンがポリフェノールのクエルシトリンと結びつくことで独特の苦みに変身するのです。ピーマンの繊維は縦に並んでおり、この繊維を断つように切ると成分が流出して苦みを抑えられます。しかしピラジンは血液をサラサラにし、脳梗塞や心筋梗塞の予防に役立つと考えられる成分。失くしてしまうのはもったいない!
ピラジンは果皮の10倍
「種とワタが苦みのもと」と思われがちですが、実は苦みのもとは実の部分。食べても問題ないどころか、これらの箇所にはピラジンが果皮の10倍量含まれています。実や皮と一緒に調理しましょう。
苦み成分はポリフェノール
ピラジンと結びつき苦みを発生させるクエルシトリンですが、これは野菜を守るポリフェノールの一種。血圧を下げる効果や抗炎症作用が期待できる成分なのです。クエルシトリンは脂溶性のため、油と合わせた調理が◎。
切り方で栄養丸ごと!ワタごとロスなしの切り方
横切りよりも縦切りに!
ピーマンは横切りにすると繊維を断ち切るため、やわらかくなり苦みも抑えられますが、ピラジンが減ってしまいます。繊維に沿って縦切りにすれば、ピラジンの流出を抑えられて、食感もシャキシャキになります。
【1】ピーマンの上部をヘタごと切り落とす。ヘタだけを取り除き、その周辺はほかの部位と一緒に調理する。
【2】ピーマンの実に包丁を入れ、ワタごと切り込みを入れる。
【3】切れ目から手でピーマンを開き、平らな状態にする。
【4】端から種とワタごと縦切りにする。
【保存法】お湯に浸けてから保存すれば栄養価をキープ!
ピーマンは常温保存が可能な野菜ですが、冷蔵保存する場合には「お湯漬け」がおすすめ。50℃のお湯(沸騰したお湯に同量の水を足す)に1 〜3 分浸してから水分をよく拭いてラップなどに包んでから冷蔵庫へ。ビタミンの減少を抑えることができます。
※本記事は東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部、濱裕宣、赤石定典監修の書籍『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます! 調理科学×栄養がとれる食べ方のコツ』から一部抜粋・編集しました。
監修=東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部、濱裕宣、赤石定典/『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます! 調理科学×栄養がとれる食べ方のコツ』(世界文化社)