実は前向きにも進めます! 「横歩き」とは限らず自由に歩くことのできるカニたち/すごすぎる海の生物の図鑑(3)

長い足で四方自由に歩くタカアシガニ

「海」ってどんな世界? 地球表面積の7割を占める海は、広さだけじゃなく深さもすごい!/すごすぎる海の生物の図鑑(1)
『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』 3回【全8回】


人間から見ると不思議がいっぱいな水の生き物たち。大きな海の秘密、教えます!

多様でユニークな生態が面白い、水の中を生きる生物。思わずびっくりしてしまうような生存戦略の数々は、非常に興味深く、子どもはもちろん大人の知的好奇心も満たしてくれるはずです。

水の世界のトリビアをぜひお楽しみください!

※本記事は鈴木香里武著の書籍『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』から一部抜粋・編集しました。


前向きにも進める!「カニは横歩き」とは限らない

磯や川でカニと追いかけっこをしたことがある方なら、カニの横歩きの素早さを知っていますよね。カニがなぜ横歩きをするのかというと、横長の体の側面に多くの脚が並んでいるという構造上、横向きの方が速く動けるから。前に歩こうとすると関節がうまいこと曲がらない上に、脚同士がぶつかってしまいます。それさえ克服できれば、どう歩こうがカニの自由です。

実は、克服したカニがいるんです。青い握りこぶしのような姿のミナミコメツキガニは、潮が引いた干潟を集団で前向きに歩きます。その様子が軍隊の隊列に似ていることから、英語では兵士のカニを意味する「soldier crab(ソルジャークラブ)」と呼ばれます。

高級食材のアサヒガニは、縦に伸びた独特の体型で前のめりに猛ダッシュ。ヒラコウカムリはまるで昔話に出てくる笠みたいに貝殻を背負って、身を隠しながら前進。タカアシガニは1歩1歩深海底を踏みしめながら堂々とした前歩き。生き方も歩き方も前向きなカニは、結構いるものです。

集団で前進するミナミコメツキガニ

集団で前進するミナミコメツキガニ

甲幅1cmほどの小さなカニで、特徴的なくすんだ青色をしている。敵が近づくと、体をねじのように回転させながら素早く砂に潜ります。食べると不自然な甘さが口に広がるそう。

ダッシュが得意なアサヒガニ

ダッシュが得意なアサヒガニ

ビワのような縦長の甲が特徴のアサヒガニ。後ろの脚で砂を押すようにして海底を走る。

後ろの脚で砂を押すようにして海底を走る


長い足で四方自由に歩くタカアシガニ

長い足で四方自由に歩くタカアシガニ

脚の長さが約1.5mのタカアシガニ。海底ではその長い足と可動域の広い関節を使って前後左右自由に動く。

豆知識

カニを捕まえるとき、握ったり背中とお腹をつまんだりするとハサミに挟まれて痛い思いをします。おすすめの方法は、まず人差し指で甲を上から押さえて固定し、親指と中指で甲を左右からつまむ。こうするとハサミは届きません。

【著者プロフィール】
鈴木 香里武(すずき かりぶ)
幼少期から魚に親しみ、専門家との交流や様々な体験を通して魚の知識を蓄える。学習院大学大学院で観賞魚の癒し効果を研究した後、現在は北里大学大学院にて稚魚の生活史を研究。海好きコミュニティ「海あそび塾」の塾長を務め、岸壁幼魚採集家として漁港に現れる稚・幼魚を観察する。メディア・イベント出演、執筆、資料提供等の発信活動をする傍ら、水族館のイベント・展示企画等、魚の見せ方に関するプロデュースも行う。2022年7月、静岡県に幼魚水族館をオープン、館長を務める。著書に『海でギリギリ生き残ったらこうなりました。進化のふしぎがいっぱい!海のいきもの図鑑』『海でギリギリあきらめない生きざま。知恵と工夫で生き残れ!海のいきもの図鑑』(KADOKAWA)など多数。

著=鈴木香里武/『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』

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