背中が黒っぽくてお腹が銀色なお魚の秘密。身を守るための戦略「カウンターシェーディング」/すごすぎる海の生物の図鑑(5)

人間から見ると不思議がいっぱいな水の生き物たち。大きな海の秘密、教えます!
多様でユニークな生態が面白い、水の中を生きる生物。思わずびっくりしてしまうような生存戦略の数々は、非常に興味深く、子どもはもちろん大人の知的好奇心も満たしてくれるはずです。
水の世界のトリビアをぜひお楽しみください!
※本記事は鈴木香里武著の書籍『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
光を操り環境に溶け込め!カウンターシェーディング
アジやイワシ、サバなど海面付近を泳ぐ魚には、背中が黒っぽくてお腹が銀色、という配色のものが多いですよね。これには身を守るための意味があるんです。
まずはカモメの視点。空から見下ろす海は黒っぽく見えます。背中を濃い色にしておけば、海の色に紛れて鳥に見つかりにくくなるのです。今度は水中から狙う魚の視点。見上げる海面は太陽の光を浴びてキラキラ輝いています。お腹を銀ピカにしているのは、海面のきらめきに紛れるため。上下どちらから狙われても気配を消すことができる、考え抜かれたデザインなのです。こうした戦略はカウンターシェーディングと呼ばれます。
これを発展させた技がカウンターイルミネーション。ハダカイワシは身を守るためのスゴい能力を持っています。深い海でもうっすらと日光が届くので、真っ暗というわけではありません。下から狙う捕食者に影で気付かれないよう、たくさんの発光器を備えてお腹をぼんやり光らせることで、光の中に溶け込むことができるのです。
マサバのカウンターシェーディング
背中側が黒っぽくてお腹側が銀色に輝くお手本のようなデザイン。サバの仲間は背中に独特の縞模様を備えて、海面のさざ波まで再現している。

カウンターシェーディングを活用した軍用機
カウンターシェーディングは戦闘機などにも活用。敵に見つからないように上部を暗い色に、下部を明るい色にしている。

ハダカイワシの仲間の発光
真っ暗な深海で光ると目立ちそうだが、影を消すために絶妙な明るさに調整している。

お腹側に並ぶ発光器は、真下方向にだけ光を届ける構造になっている。

どうやって光るの?
化学反応による自力発光
体の中でルシフェラーゼという酵素によって、ルシフェリンが酸化して光る。

バクテリアによる共生発光
マツカサウオは下顎に発光器があり、そこに発光バクテリアを住まわせる。

光で影を飛ばすなんて、正義のヒーローみたいでカッコイイね!
豆知識
深海生物の8割以上が発光すると言われています。ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応という化学反応で光る自力発光と、発光バクテリアという微生物を体内に住まわせることで光る共生発光、主にこの2つになります。
【著者プロフィール】
鈴木 香里武(すずき かりぶ)
幼少期から魚に親しみ、専門家との交流や様々な体験を通して魚の知識を蓄える。学習院大学大学院で観賞魚の癒し効果を研究した後、現在は北里大学大学院にて稚魚の生活史を研究。海好きコミュニティ「海あそび塾」の塾長を務め、岸壁幼魚採集家として漁港に現れる稚・幼魚を観察する。メディア・イベント出演、執筆、資料提供等の発信活動をする傍ら、水族館のイベント・展示企画等、魚の見せ方に関するプロデュースも行う。2022年7月、静岡県に幼魚水族館をオープン、館長を務める。著書に『海でギリギリ生き残ったらこうなりました。進化のふしぎがいっぱい!海のいきもの図鑑』、『海でギリギリあきらめない生きざま。知恵と工夫で生き残れ!海のいきもの図鑑』(KADOKAWA)など多数。
著=鈴木香里武/『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』
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