濃い茶色の1種「セピア」はイカ墨の色!? 偉大な画家も愛した色のお話/すごすぎる海の生物の図鑑(7)
人間から見ると不思議がいっぱいな水の生き物たち。大きな海の秘密、教えます!
多様でユニークな生態が面白い、水の中を生きる生物。思わずびっくりしてしまうような生存戦略の数々は、非常に興味深く、子どもはもちろん大人の知的好奇心も満たしてくれるはずです。
水の世界のトリビアをぜひお楽しみください!
※本記事は鈴木香里武著の書籍『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』から一部抜粋・編集しました。
偉大な画家も愛したセピアはイカ墨色
濃い茶色の1種にセピアという色があります。インテリアやファッション、ヘアカラーにも使われる人気の色。茶色っぽく変色した古いモノクロ写真はセピア調と呼ばれ、見る者を一気に昔へとトリップさせます。そんなノスタルジックな雰囲気から、遠い故郷や懐かしい人を想う切ない歌詞などにもよく登場しますよね。
このセピア、実はコウイカのことなんです。コウイカの学名は「Sepia esculenta(セピア エスクレンタ)」。イカの中でも特に墨をたくさん吐くことから、「スミイカ」とも呼ばれます。このイカ墨が昔はインクや絵の具として使われていました。レオナルド・ダ・ヴィンチやレンブラントといった偉大な画家も愛用していたというコウイカの墨。その人気が広まるにつれ、セピアという言葉はいつしかイカ墨を指すようになり、さらには色自体の名前としても定着していきました。
イカが敵に襲われた時に身代わりの術として使う墨が、人間の芸術作品の中でも輝きを放っているなんて、素敵ですね。
墨を吐き出すコウイカの仲間
背中の内側に炭酸カルシウムから成る大きな貝殻(甲)を持つことから、「甲イカ」。イカが貝と同じ軟体動物に属していることを感じさせる存在。コウイカの仲間はこの甲の中のガスを出し入れすることで浮力を調整している。
コウイカの大きな墨袋
水深100mまでの海底で、砂にカモフラージュしている様子がよく見られる。天ぷらやお寿司のネタとして流通しているよ。
世界的な芸術家も愛したイカ墨
ダ・ヴィンチが描いた自画像や、有名な『レダの頭部』なども、イカ墨を固めたチョークで描かれた。もともとは黒かったのが、酸化して赤く変色して、今のような色に。
レンブラントの素描『木に囲まれた干草の山と一軒の農家』もイカ墨で描かれたもの。好んで使用したことから「レンブラント・インク」とも言われる。
豆知識
イカ墨パスタはあるのに、タコ墨パスタは見かけませんよね。入手しにくいため高くなるという理由に加え、自分の分身として吐くため粘り気があるイカ墨に対し、タコは煙幕として使うのでサラサラしていて料理に絡みにくいのです。
【著者プロフィール】
鈴木 香里武(すずき かりぶ)
幼少期から魚に親しみ、専門家との交流や様々な体験を通して魚の知識を蓄える。学習院大学大学院で観賞魚の癒し効果を研究した後、現在は北里大学大学院にて稚魚の生活史を研究。海好きコミュニティ「海あそび塾」の塾長を務め、岸壁幼魚採集家として漁港に現れる稚・幼魚を観察する。メディア・イベント出演、執筆、資料提供等の発信活動をする傍ら、水族館のイベント・展示企画等、魚の見せ方に関するプロデュースも行う。2022年7月、静岡県に幼魚水族館をオープン、館長を務める。著書に『海でギリギリ生き残ったらこうなりました。進化のふしぎがいっぱい!海のいきもの図鑑』、『海でギリギリあきらめない生きざま。知恵と工夫で生き残れ!海のいきもの図鑑』(KADOKAWA)など多数。
著=鈴木香里武/『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』
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