20代で乳がんが発覚! コロナ禍の入院・手術で一番辛かったことは? 『アラサー会社員の乳がんの備忘録』著者インタビュー

心配になった小野さんは近所の乳腺外科で検診を受けることにしました。検査の結果は、胸の内部にある組織が出てきただけで、問題ないとの診断でした。
しかし、やはり心配だった小野さんは、セカンドオピニオンを受けることに。女性のみが入れる検診クリニックで、マンモグラフィーやエコー検査などを受けます。

その病院での診断結果は「しこりはあるものの、確実に悪性とまでは言えないので、経過観察」というもの。
セカンドオピニオンを聞いてから半年、しこりの大きさに変化はなかったものの、不安な気持ちはふくらんでいた小野さん。注射針のような器具で組織の一部を採取して調べる針生検を受ける覚悟を決めました。そして検査結果を聞く当日。
緊張のなか聞いた診断結果は、「乳がん」でした。

悲しみと不安があふれて泣いてしまった小野さんでしたが、事態は急を要します。そのクリニックで専門的な病院を紹介してもらい、そこで手術を受けることに。


入院前にはやらなければならないことがたくさん。小野さんが苦手意識のあったMRI検査もそのひとつです。

そしていよいよ3泊4日の入院が開始しました。緊張と恐怖のあまり、手術前日にした検査では、涙、涙の小野さん……。

そんな彼女を検査技師は優しくはげましてくれ、そのおかげもあって検査は無事に終了します。
手術は目前に迫っていました。

手術前には、手術を担当する看護師や麻酔科医が不安そうな小野さんに声をかけてくれました。

なんとか無事に手術は終了!

小野さんは、痛み止めが効かないほどの痛みと発熱に耐えながら、術後の時間を過ごしたのでした。
病気をきっかけにキャリアチェンジ!? 著者・小野マトペさんインタビュー
――手術後は傷みと発熱でとても苦しそうでした。手術前後で、もっとも辛かったのはどんなことでしょうか?
小野さん:手術前後で辛かったことは、コロナ禍での面会謝絶ですね。とっても孤独でした。大部屋の病室もコロナ対策のためカーテンで仕切ってあって、他の患者さんともコミュニケーションが取れない状況でした。
――検査、入院・手術、放射線治療にあたり、複数の病院に通われていました。さまざまな医師や看護師と良好な関係を築くにあたって、心がけたことなどはありましたか?
小野さん:今回たくさんの病院やお医者さん、看護師さん、技師さんと出会うことができました。普通だったら、こんなに多くの異業種の方と出会うことがないので、とても新鮮でした。
私の場合は、「人 対 人」であることを意識して関係を築くようにしました。お医者さんも看護師さんも一人の人間ですから、その人の懐に入るように接しました。心細さを感じていた入院生活の中で、皆さんが心配してくれたり、温かいお声をかけてくれたことが、とてもうれしかったです。

――闘病生活を経て、小野さんが特に感謝したい方はどなたですか?
小野さん:入院中、術後に対応してくれた夜勤の看護師さんと主治医の先生です。夜勤の看護師さんは、背中までさすってくれて本当に感動しました。主治医はどんなときも丁寧に私の話を聞いてくださり、ときには面白い話などをして気分を明るくしてくれました。本当に感謝しています。
この経験から、皆さんに恩返しをしたいと思う気持ちが芽生え、現在私は病院の広報として働いています。おかげさまで、病院広報アワードで最優秀賞を取ることができました!


――がん治療は手術が終われば終了ではなく、放射線治療や投薬、注射などを通して長い付き合いになるのですね。がんという病気になった経験を通して得た気づきがあれば教えてください。
小野さん:「治療のことについて言えば、とても長い治療であること、それが見た目じゃわからないことを感じました。私の治療は10年という長期間にわたって続くものですが、見た目だけでは闘病中とは分かりません。しかし、薬の副作用が出ることがあるのでそれを周りにどう説明したらいいか、今でも戸惑うことがあります。
しかも、それは自分だけに限らないことなんですよね。見た目ではわからないだけで、大変な病気と戦っている方は世の中にたくさんいるかもしれない。そういう意味で、「人を外見で判断してはいけない」ということを学びました。
***
なかなか知る機会の少ないがんのリアルな治療現場。小野さんの描いたこの作品を読むことで、さまざまな病気と闘っている方への理解も深めていきたいですね。
取材・文=山上由利子
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