自然界にほとんど存在しない⁉次世代エネルギー「水素」の課題

じつは自然界には分子レベルで使える純粋な水素(H2)はほとんど存在しない

地球と太陽、誕生のひみつ。地球はいつ、どうやってできたのか?
『人類なら知っておきたい 地球の雑学』148話【全149話】


地球上で起きていること、どれだけ知っている?

この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね。例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」

そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません。

※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。


次世代エネルギー「水素」は自然界にほとんど存在しない⁉


地球環境の保護と、エネルギーの安定供給という表裏一体の重要課題を解決するため、現在、化石エネルギーに代わる新たなエネルギーが求められている。なかでも、燃やしてもほとんど有害物質を排出することなく、二酸化炭素も発生しない「水素(元素記号はH)」は次世代エネルギーとして大きく注目されており、水素燃料電池自動車などの開発が急がれている。

では、そもそも水素とはどんな物質なのか。水素を最初に発見したのはイギリスの化学者ヘンリー・キャベンディッシュで、1766年のことであった。地球上でいちばん軽い気体で、無色、無臭、無害。宇宙全体で見るともっとも多く存在する元素で、宇宙の質量全体の約7割を占めるといわれている。

このように大量に存在しているイメージの水素だが、じつは自然界には分子レベルで使える純粋な水素(H2)はほとんど存在しない。なぜなら、水素は酸素(O)と結びつきやすいことから、次々と酸素と一緒になって、より安定した形態の水(H2O)に変化してしまうからだ。

つまり、ほとんどの水素が水やメタン(CH4)などの形で存在することから、これをエネルギーとして利用するためには、何らかの方法で分離しなければならない。具体的な方法としては、水の電気分解、石炭燃焼の副産物(副生水素)として取り出す方法、天然ガスなど化石燃料の改質などが挙げられるが、水の電気分解以外の方法では、作業の段階で二酸化炭素が発生してしまう。

そうした意味では、水素が完全にクリーンなエネルギーとはいえないことから、今後、さらなる技術の改良が求められている。

著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』

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