荻原博子の「3分でわかるお金の話」【3】2018年は、景気回復に期待していい?

#くらし   
2018年の家計も覚悟が必要!?


今年もあと2カ月。2018年こそ景気が回復して、私たちの生活も良くなって欲しいものです。日経平均株価と呼ばれる株価指数が節目となる2万円を回復したことで、株式市場はにぎわっています。企業の業績も悪くないどころか、過去最高の利益を上げたというニュースをよく見ます。私たちのお財布事情は楽になっていないため実感がわかないのですが、2018年は、景気回復に期待が持てるのでしょうか?

景気はさらに悪化の一途をたどる!?


それを知るために、まず日本銀行の金融政策を見てみます。過去に例を見ない金融緩和策を実施している日銀は7月、目標としている「2%の物価安定目標」の達成時期を2019年度頃と発表しました。2%の物価安定目標とは、「インフレ率2%程度の安定的な経済成長を続ける」という意味です。「黒田バズーカ」という流行語まで生んだ異次元規模の金融緩和策を始めたのが2013年。当初は2015年頃には目標を達成するはずでしたが、その後6回先送りして、今回は2019年頃とになりました。

さらに9月に開催された日銀の金融政策決定会合の記者会見で黒田東彦総裁は、現在の金融緩和策を継続し、状況によってはさらなる金融緩和を行う可能性があることを明らかにしています。つまり日銀は、景気は回復に向かっておらず、さらに悪くなるかも知れないと言っているのです。

世界的に見ても2018年は、景気が悪化するのではないかとも言われています。日本を含めて世界中で行われてきた金融緩和のツケで膨れあがった負債がバブル化し、弾けるのではないかと危惧されているためです。

きっかけは、10月18日開催の中国共産党大会になるかも知れません。中国にとっては政治を動かす共産党の人事を決める5年に1度の重要な大会のため、好景気を演出するため金融緩和を始めとするあらゆる施策が打たれてきました。それに乗って日本や先進国、新興国の景気がなんとか維持されてきました。でも大会が終われば、中国は金融引き締めに転換するでしょう。いつまでも金融緩和を続けていると、中国経済ががたがたになってしまうからです。

不況を乗り切るために私たちにできることは?


中国の金融政策が転換すると、中国バブルが弾けて、世界的な不況に突入するかも知れません。もしそうなると、最も悪影響を受けるのは日本です。なぜなら、アメリカはすでに金融引き締め策に転じていて、今年は2回の利上げを行っています。ヨーロッパも金融引き締めを検討する段階に入っています。ところが日本はまだ利下げなどの追加緩和の可能性があると言っています。世界の先進国とは逆の動きをしているのです。アメリカは不況になれば、2回利上げをしたおかげで金融緩和というカードが切れますが、日本には切るカードがありません。

もし2018年を無事に乗り切ったとしても、2020年の「東京オリンピックバブルの崩壊」が待っています。オリンピック開催に向けて巨額の投資が行われるため、どの国でもオリンピック前は景気が良くなるのですが、それはバブルに過ぎません。近年では、オリンピック後に不況に陥ることが当たり前になっています。前回のブラジルも、2012年のイギリスも、2008年の中国もそうでした。日本も例外ではないでしょう。2018年から2020年に向けて、景気は悪くなることはあっても、良くなることはなさそうです。

自衛策はひとつ! まずはローンを返済して


そこで私たちがやるべきことはただ一つ。「現金増やして、借金減らせ」です。借金が住宅ローンだけなら、繰上返済を行いましょう。もしまとまった額の預貯金があるのなら、手元に万が一に備えた現金を100万円ほど残し、繰上返済に充てることを考えてください。自動車ローン、教育ローン、カードローンなどがある人は、借金リストを作り、金利の高いものから早足で返済するようにしましょう。不況の時代は現金を持っている人が一番強く、借金を抱えている人が最も弱い立場に追い込まれます。「現金増やして、借金減らせ」を実践してください。

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荻原博子

教えてくれたのは:荻原博子さん
経済ジャーナリスト。雑誌・テレビなど多方面で活躍中。著書に『荻原博子式 年金家計簿2016』(小社刊)、近著に『投資なんか、おやめなさい』(新潮新書)など。

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編集協力/矢井田あひる

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