【介護のピンチ、解決します!】車椅子生活の長い男性の、「再び歩きたい」という思いを叶えたい!
「オレはまた、歩きたいんや」
生活リハビリを考えてみませんか。機能訓練ではなく生活の中で、必要なことを繰り返し練習することです
突然のケガや病気、障害を抱えると、深く落ち込んでしまうのは当然ですよね。以前の自分ならできたことが、思うようにできなくなるのです。そこから介護ははじまります。まずは生活を再構築していかなければなりません。僕たちのような介護のプロなら腕の見せどころではないでしょうか。
今回は吉次さん(80歳)の復活エピソードです。吉次さんは肩のケガの治療のため、入院しました。ケガは治ったのですが、長い入院生活で筋力が低下し、歩けなくなってしまいました。それから車イス生活がはじまりましたが、自由に動けないので、家では家族にイライラ。くろまめさんに来ても浮かない顔。吉次さんが楽しめること、なにかないかなと、スタッフも悩んでいた頃でした。なにげない世間話の中で、吉次さんがスタッフのサブローくんに呟いたそうです。
「オレはまた、歩きたいんや」
サブローくんはびっくりしました。吉次さん、なんだか投げやりになっているように見えたけど「歩きたい!」という思い、諦めてなかったんです。「また歩きましょうよ!僕、協力します!」と、サブローくんはすぐに賛成しました。
早速、花子ちゃんとふたりで「吉次さん歩行応援チーム」を結成。まずは家のベッドからトイレまで。次はベッドから玄関まで。送迎のたびにちょっとずつ練習しはじめました。玄関から車に乗って、くろまめさんの玄関からリビングまで。ゆっくりと無理せず少しずつ距離は伸びていき、ついには吉次さん、以前のように歩けるようになったんです。
「勝手に元気になったわけやないで。元気になろうって自分に言い聞かせたんや!」
と、吉次さん。今では、自信に満ちたお顔をされています。
ピンチを分解
これは生活リハビリといって、いわゆる機能訓練ではありません。生活の中で、必要なことを繰り返し練習し、不自由なくできるようになる。今回の成功は、吉次さんの強い思いのたまものですね。でも、このようにうまくいくケースばかりではありません。そんなとき、生活を作り直していくことはとても大事です。
例えば、買い物はどうする?ごはんはどうする?移動は?お風呂は?
介護のプロを迷わず頼ってください。ご本人にとって心地よく暮らせる生活を一緒に作っていきます。でも、ご家族の思いも不可欠です。
介護で最も大切なのは、「身体じゃなくて心を起こす」こと。あそこに行きたい!あの人に会いたい!もう一度〇〇したい!そんな思いをサポートすることが、介護の醍醐味だと思うのです。そして、それはどんな立場の人にも共通してもっておいてほしい考え方です。
※本記事に掲載されている情報は2025年4月時点のものです。掲載の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一本記事の内容で不測の事故等が起こった場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。
【著者プロフィール】
稲葉 耕太(くろまめさん)
1983年生まれ、京都府出身。株式会社ひだまり介護代表取締役。京都府船井郡京丹波町で介護施設『くろまめさん』(デイサービス)を運営。「介護×田舎暮らし」をコンセプトに、高齢者が昔ながらの生活を取り戻し、心身ともに健やかに過ごせる環境を提供している。介護技術を教える『介護の寺子屋くろまめさん』も開講、年16回ほどある講座はすぐに予約が埋まる。また、くろまめさんに通うおばあちゃんの料理と田舎ピザを提供する『おピザはん』を運営するなど、地域と介護をつなげる活動もしている。
※本記事は稲葉耕太(くろまめさん) 著の書籍『介護の大ピンチ解決します』から一部抜粋・編集しました。
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