【介護のピンチ、解決します!】ぴったり合う施設ってあるの? 「ここしかない」と思わないで

最初からぴったり合う施設に出会うことのほうが珍しいかも?

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『介護の大ピンチ解決します』 8回【全10回】


予約のとれない介護施設『くろまめさん』をご存知ですか?
「介護×田舎暮らし」をコンセプトに、高齢者が昔ながらの生活を取り戻し、心身ともに健やかに過ごせる環境を提供しているとして注目を集めるデイサービスなんです。

そんなくろまめさんを運営する稲葉耕太さんが、介護で起こるさまざまな困りごと、大ピンチの対処法を紹介。稲葉さんの提案する「めっちゃ笑える介護!」を参考に、介護のピンチを解決していってみませんか?

デイサービスが合わなかった

最初からぴったり合う施設に出会うことのほうが珍しいかも?いろいろ見に行ってみたらいいんです

介護サービスは「ここがぴったり!」と思っても、合わないこともあるんですよね。その一例を紹介します。

脳梗塞の影響で目が見えにくくなった嵩たかしさん(81歳)は、最近は一日中、家で横になっています。動かないから足腰も弱ってきて、お風呂場で転びそうになりました。心配した妻のユミさんの勧めで、デイサービスに通いはじめたのですが、どこの施設にもなじめません。
そこで最後の駆け込み場所(?)として、くろまめさんにやってきました。

いろいろなデイサービスになじめなかったと聞いていたので、どんな気難しい人かと思いきや、嵩さんはおっとりとして、かわいらしいおじいさんでした。かなり大柄で体重もあったので、小柄なユミさんがお風呂を手伝うのは大変だったことでしょう。
「必ずお風呂に入れてやってください」と頼まれました。

嵩さんが来た初日、さっそくうちの自慢のヒバの木のお風呂に入ってもらいました。山のように大きな背中を僕が流していると、
「ああ~、やっぱり普通の風呂はいいなあ~」
しみじみした口調で嵩さんは呟きます。どうやらほかの施設でのお風呂は機械による入浴(通称、機械浴)だったらしく、それがどうにもつらかったのだと言います。それと、いろんなレクリエーションをやらされるのも嫌だったと。

「僕ぁね、ただ、家にいるみたいに、のんびりしたいだけなんです」
「わかります」
僕はうなずき、こう続けました。
「ここではご自宅みたいに過ごしてくださいね」
家にいるのと同じようにくつろげる場所をつくること。まさにそれが僕の目指す介護施設だったので、嵩さんの言葉に励まされた気持ちになりました。

ピンチを分解

嵩さんの場合「機械浴ではなく普通のお風呂に入りたい」「自宅と同じ過ごし方をしたい」、この2点をデイサービスに求めていたことがわかりました。

人によってデイサービスに求めるものはさまざまです。病院のように機能的なつくりの施設を望む人もいれば、くろまめさんのように普通の家みたいなところがいいという人も。通いはじめたら「なんか違う」と思うこともあるでしょう。それでいいんです。最初から100%合う施設を見つけられることのほうが珍しいんです。一度決めたからといって「ここしかない」と思わずに、合わなければまた見学に行ってみることをおすすめします。

※本記事に掲載されている情報は2025年4月時点のものです。掲載の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一本記事の内容で不測の事故等が起こった場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

【著者プロフィール】
稲葉 耕太(くろまめさん)
1983年生まれ、京都府出身。株式会社ひだまり介護代表取締役。京都府船井郡京丹波町で介護施設『くろまめさん』(デイサービス)を運営。「介護×田舎暮らし」をコンセプトに、高齢者が昔ながらの生活を取り戻し、心身ともに健やかに過ごせる環境を提供している。介護技術を教える『介護の寺子屋くろまめさん』も開講、年16回ほどある講座はすぐに予約が埋まる。また、くろまめさんに通うおばあちゃんの料理と田舎ピザを提供する『おピザはん』を運営するなど、地域と介護をつなげる活動もしている。

※本記事は稲葉耕太(くろまめさん) 著の書籍『介護の大ピンチ解決します』から一部抜粋・編集しました。

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