【介護のピンチ、解決します!】認知機能の衰えを防ぐ! できることはやってもらおう

頼って教えてもらって、やってもらったほうが得ですよ

【マンガ】『48歳で認知症になった母』
『介護の大ピンチ解決します』 10回【全10回】


予約のとれない介護施設『くろまめさん』をご存知ですか?
「介護×田舎暮らし」をコンセプトに、高齢者が昔ながらの生活を取り戻し、心身ともに健やかに過ごせる環境を提供しているとして注目を集めるデイサービスなんです。

そんなくろまめさんを運営する稲葉耕太さんが、介護で起こるさまざまな困りごと、大ピンチの対処法を紹介。稲葉さんの提案する「めっちゃ笑える介護!」を参考に、介護のピンチを解決していってみませんか?

お母さんは座ってて

僕らより圧倒的に人生経験が豊富なんです。頼って教えてもらって、やってもらったほうが得ですよ

一般に、介護する側がされる側より圧倒的に足りていないものがあります。それは、人生経験。お年寄りはたしかに僕ら若い者と比べると体力や、生活全般での機能は衰えているかもしれない。だけど人生経験に裏打ちされた知識には、かなわないものがあります

うちのスタッフのサブローくんは、お年寄りの力を引き出す介護の仕方がとても上手なんです。
くろまめさんには食事作り専門のスタッフはいません。僕ら介護者とお年寄りが一緒にごはんを作っています。サブローくんはうちで働くまで自炊した経験がなかったそうで、あまり料理は得意ではないとのこと。だけど(だから?)、どんどん質問をしていきます。
「だし汁ってなんのことですか?」
「みりんって、どんなふうに使うんですか?」
おばあさんたちに尋ねては、「じゃあ、やってみてくださいよー」と食事作りに引っ張り込んじゃう。すると向こうは、仕方ないねえという感じでサブローくんに料理の基本を教えています。

畑で野菜を収穫するときも、そう。農業をやっていた方に「この大根、もう引っこ抜いていいですかねー」と尋ねては「いやまだ早い」とか「葉っぱの色がこうなったら収穫どき」と教えられています。

みなさん、どこか嬉しそうにサブローくんにアドバイスしながら、料理や畑仕事を共にやっています。
もしかしてサブローくんは「教えてください」という形をとって、お年寄りの方々とコミュニケーションをとっているのではないか? 僕はある日、サブローくんにそれとなく聞いてみたら、
「いや、そういうのぜんぜん考えてないんで」
という返事が来ました。そうか、天然だったのか……と思った次第でした。やはり天然は強いですね。

ピンチを分解

誰だって人から頼りにされたり、相談されるのは嬉しいものです。なのに、「お母さん、私がやるから座ってて」など、よかれと思って仕事をとり上げてしまったなんて経験はありませんか? たしかに体力の低下は心配ですよね。

でも、生活の中でやれることはやってもらう。それが認知機能の衰えを防ぐことにつながります。サブローくんのように料理や農作業でもいいですし、趣味に関することでも。相手が得意とする分野で「教えてください」と切り出したら、きっと喜んでのってくれるはず。お年寄りの人生経験を踏まえつつ、自分のほうが若くて未熟であることを活用してみてください。

※本記事に掲載されている情報は2025年4月時点のものです。掲載の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一本記事の内容で不測の事故等が起こった場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

【著者プロフィール】
稲葉 耕太(くろまめさん)
1983年生まれ、京都府出身。株式会社ひだまり介護代表取締役。京都府船井郡京丹波町で介護施設『くろまめさん』(デイサービス)を運営。「介護×田舎暮らし」をコンセプトに、高齢者が昔ながらの生活を取り戻し、心身ともに健やかに過ごせる環境を提供している。介護技術を教える『介護の寺子屋くろまめさん』も開講、年16回ほどある講座はすぐに予約が埋まる。また、くろまめさんに通うおばあちゃんの料理と田舎ピザを提供する『おピザはん』を運営するなど、地域と介護をつなげる活動もしている。

※本記事は稲葉耕太(くろまめさん) 著の書籍『介護の大ピンチ解決します』から一部抜粋・編集しました。

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