苦手意識のあるものには絶対手を出さない中2娘。挑戦するマインドを育むには?【小川大介先生の子育てよろず相談室セレクション】

小川先生の回答

取り組みにくく感じているストレス要因を取り除く


モチベーションの掻き立て方にもいろいろあり、娘さんはストレスや負荷をかけてのモチベーションが向いていないタイプ。できる自分のイメージを埋めていく形で積み上げていくのが好きな子なので、そもそも「がんばる」という言葉は向いていません。英単語を覚えるのに自信がついたら、自分からやるようになったように、「できそう」「やりたい」と思ったことは、周りが言わなくてもやるはずです。だから、「これならやってもいいかな」をいかに作るかに力を注いであげればいいだけです。

例えばハードルですが、「歩いてまたぐだけでもいい」と言われても、正直な話、中2女子がそんな姿を友達に見せるなんてものすごいストレスなはず。それに比べたら、やらずに見られないほうを選ぶのが普通だと思います。その点に関しては、先生が中2女子の心理を全くわかっていないですね。みんなの前でさらし者にするのではなく、後で補習として個別にやらせる機会を作ってあげたほうが、やれたのではないでしょうか。そういった本人にとってのストレス要因を減らしていき、本人が「やってもいいかな」と思える状況を作ってあげることです。

細かく段階を設定して「やれそう感」を作り出す


「やってもいい」と思えるための具体的な方法としては、まずこの段階までやってみて、それができたら次のステップへというように、目標までのステップを細かく設定してあげることです。おそらく英単語を覚えられたのも、まずは例文で読んで確認して、単語帳に書いて、覚えてというように、段階的に進めていったから、できたのだと思います。たくさんの単語が羅列されているのを見て一気に覚えようとすると、どうしても「大変そう」「無理そう」という不安が勝ってしまいがち。細かく分割してやれることを積み上げていったことで、本人の中でも「やれそう感」が持てたのだと思います。

本人の面目が保てる環境作りをする


また、娘さんは「周囲からどう見られるか」を、かなり気にするタイプ。一言でいうと、カッコつけです。自分のイケてない部分を人に見せるのが恥ずかしく、ポーズを決めたがる傾向にあるので、そこを「努力によって超えていくことに価値がある」という正論をぶつけても、ちょっと難しいでしょう。教育的には努力の価値を語りたいところですが、娘さんの場合はやはり本人の面目が立つように、体裁が整うように、「恥ずかしい」と感じるリスクを減らす工夫をしてあげるのがコツになります。恥ずかしくないような、嫌だなと思わないような環境を整えてあげたほうが、本人も挑戦しやすいと思います。

実行できた記録を残し、努力の積み重ねを実感させる


やり始めてできたら、とたんにやる気をみせて取り組めるはずなので、実行できた記録だけ残しておきましょう。そして、ふとした時に「今週は結構がんばったね」など、行動量や学習量が増えた事実を見せてあげます。そのようにして、やった事実を貯めていくと、そのひとつひとつの小さなステップの積み重ねで、目標に到達できることが実感できるはず。そしてそれは、努力することの価値というものへの理解にも繋がります。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『既にやれている事実もあるから大丈夫』
なんでもかんでも無気力な訳ではなく、「やれそう」なことはすごくがんばれることは、既に証明済み。且つ、「人から見て恥ずかしくない時はがんばりそう」という糸口も見えてきたので、打つ手はいくらでもあります。本人が取り組みやすい環境を整えてあげれば、スムーズに進むと思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介先生
教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。
京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

漫画=きたがわなつみ/文=酒詰明子

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