学校に行くことだけが正解じゃない。子どもが「一生モノの自信」を身につけるための親の考え方/不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方(1)

「今できること」を積み重ねよう

入学早々、様子がおかしい。娘がうめきながら母親に訴え始めたこと/娘が小1で不登校になりました(1)
『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』 1話【全9話】


不登校の児童は増え続け、令和5年度の文科省の調査によると全国で30万人を超えています。
元小学校教諭の福田遼さんは、憧れの教員となったものの「不登校の現状」に直面。その後、よりよい支援の形を模索するため教員を辞め、世界18カ国の教育現場を回りました。
その経験をもとに、不登校支援に特化した無料のオンラインフリースクール「コンコン」を設立。子どもたちが自分の進みたい方向を見つけ、一歩踏み出す自信を育めるように日々活動しています。
本記事では、福田さんが培ってきた知識と経験をもとに、子どもが自信を取り戻し、将来を前向きに生きていくためのヒントをご紹介します。
「学校に行ってほしい」と願う方、「いろいろ試しても再登校が難しい」と感じている方、登校をしぶる朝が増えて心配な方へ、不登校を新しい可能性へとつなげる視点をお伝えします。

※本記事は福田遼(著)の書籍『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』から一部抜粋・編集しました。


将来の幸せのために、「今できること」を積み重ねよう

不登校サポートの中で、もっともよく実践されているのは「子どもを見守り、再び活動するようになるのを待つ」という方針だと思います。あるいは、厳格なアプローチをとって再登校を促すという方針もあります。

僕はこれまで、さまざまな方針を学び、実践しながら、自分なりの不登校サポートのあり方を模索してきました。そして今、「子どもたちの将来を見据え、今できることに最大限取り組む」という方針をとっています。

最初に断っておきたいのですが、僕は必ずしも再登校を目指す必要はないと考えています。実際に、僕たちのフリースクールでは、再登校を希望している子には、再登校できるようにサポートを行い、再登校を望んでいない子には、学校以外で学習機会を整え、進路設計できるようサポートしています。そんなふうに、柔軟に、子どもたち一人ひとりの意志に沿ったサポートをしたいと思っています。

そのうえで、どのようなサポートをするにしても、共通して大切にしていることが、「子どもが将来幸せに生きていくため」という目的意識と、「今できることに最大限取り組む」というスタンスです。

ひとつずつ説明させてください。まず、どうして「将来の幸せ」という目的を意識するのか。

これまで子どもたちの成長を支える絶対的な基盤であり、言わば不登校サポートのゴールでもあった「学校」という存在は、今、大きく変化しています。

学校の外にも子どもたちの学びや成長の場が生まれていますし、学校に行かずとも社会で活躍している大人もたくさんいます。もう「学校に行くことだけが正解」という時代ではなくなったと言っても過言ではないでしょう。実際「学校がすべてではない」と考える親御さんも増えていると思います。

そうなった今、不登校の子どもたちと向き合ううえで、絶対的な指針となることはなにか。それは、「子どもが将来幸せに生きていく」という長期的なゴールではないでしょうか。社会に出る前に、「幸せに生きる未来」を掴む力を養うこと。それは、学校に行く選択をする子にも、学校に行かない道を選ぶ子にも、すべての子どもたちにとって重要なことです。

だからといって、「将来のためを思って……」の大義があれば、「今」を軽視していいわけでもありません。

たとえば、学校に対して強いトラウマを持つ子を、「将来のためだから!」と無理やり学校に行かせたとします。きっと「今」のお子さんは、言いようのないつらさを味わうはずです。すると、学びや社会復帰へのモチベーションはどんどん下がっていきます。しまいには、なにをするにも無気力になってしまう場合もあるでしょう。これでは結局、「将来のため」という目的も達成できません。

反対に、「今」のお子さんが安心できる環境があったなら、お子さんは今できることに取り組んで、すこしずつ自信をつけていくことができます。

「私にはこれができる」
「僕なら乗り越えられる」

そんなふうに小さく芽生えた自信は、次の行動を促し、さらに大きな自信を生み出します。いつしかそれは「一生モノの自信」となって、幸せいっぱいの人生を送る未来につながっていくはずです。だから僕は、「将来の幸せのため」という長期的な視点を見失わずに、今目の前にいる子どもたちに寄り添い、彼らが今できることを手助けしていきたいと思っているんです。


著=福田遼/『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』

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