舞妓さんはスマホ禁止、コンビニも入店NG!? 花街での知られざる苦労の日々を描いた『舞妓をやめたそのあとで』

舞妓さんの知られざる日常を描いた 『舞妓をやめたそのあとで』

舞妓さんの存在は知っていても、「どうやったら舞妓さんになれるの?」「舞妓さんってどんな生活をしているの?」「芸妓さんとの違いは?」など、知らないことばかりですよね。

京都の花街に居た経験から、舞妓さんになるまで、舞妓さんの日常、そして舞妓さんをやめた後のことを描いているのが、松原彩さん著作の『舞妓をやめたそのあとで』です。
周囲とは少し違った進路を選び、その道を突き進んだ松原さん。作品の中では、花街で得た経験や、普段は知ることが舞妓さんの世界について教えてくれています。

【マンガ】『舞妓をやめたそのあとで』を最初から読む

舞妓さんたちのリアルなエピソードが満載


松乃という芸名で舞妓をしていました

主人公の松原彩さんは、25歳の現役高校生。22歳から公立の定時制高校に通い、年下の同級生に囲まれながら授業を受けています。というのも、彼女はそれまで、京都で「松乃」という芸名で舞妓をしていたのです。

小学生の頃から舞妓になることを夢見ていた松原さんは、15歳で地元を離れて京都の花街へ。「仕込みさん(=舞妓になる前の見習い)」として、「置屋(=舞妓たちの衣食住を世話してくれるプロダクションのような所)」に住み込み、厳しい修行の日々を送ります。

仕込みさんとして修行の日々が始まりました

掃除や洗濯など、仕込みさんにはやることがたくさん

寝るのはいつも2〜3時

無事、舞妓さんとなり、お座敷や舞台、様々な行事で経験を積んでやりがいを感じる松原さん。一方で、お客様の心ない言葉や自由の少ない生活に、何度も「やめたい…」と思ったことも。
そんなときに自分を奮い立たせていたのは、「私はこれが好きだ」という熱量。そして、同じ置屋で暮らす仲間たちでした。

『舞妓をやめたそのあとで』より

華やかなイメージのある舞妓さんたちですが、厳しいしきたりや、日常生活には制限されていることもたくさんあるそうです。結った髪は一週間は洗えず、外出は着物のみ。一人一人の個室もない共同生活、スマホは禁止、舞妓の姿でコンビニやファストフードに立ち寄ることもNG…。家族との連絡も手紙のやりとりなんだそうです。

『舞妓をやめたそのあとで』より

そんな、制限の多い暮らしの中で仲間たちと青春を謳歌する様子や、休日の過ごし方など、一人ひとりが「普通の女の子」である一面も垣間見ることができます。

アンタがJK!?

さらには、22歳で芸妓を引退することを決意し、高校生としてスタートした新たな人生も描かれています。年代も事情も様々な同級生とともに過ごす高校生活も、彩さんにとってたくさん得るものがあったようで…。


舞妓になったきっかけは、テレビのドキュメンタリー


私も舞妓さんになる!!

――小学生の頃から舞妓さんに憧れていた松原さん。現実的に叶えたい夢となったきっかけは何ですか?

松原彩さん:私は母の影響で、3歳から日本舞踊を習っていました。日本舞踊自体は好きだったのですが、友人に「舞台があるから見に来て!」と言っても「日本舞踊って何?」と興味を持ってもらえず、なんだかなーという気持ちでした。そんな時に、テレビで普通の女の子が舞妓さんになるというドキュメンタリーが放送されていて、「こんなにもたくさんの人に芸を求められていて、表現することができる仕事があるんだ!」と感動し、自分も舞妓さんになりたいと思ったことがきっかけです。

両親に「舞妓になりたい」と話したのは中2の春

そこまで本気なら頑張りなさい

――舞妓さんになりたいと決意したことは、とても大きな決断だったと思います。ご両親に舞妓さんになりたいと伝えるまでに、葛藤はありましたか?

松原彩さん:はじめて舞妓さんを知った時から「私は舞妓さんになる!」と公言していたので、両親に伝えるまでの葛藤はあまりありませんでした。ただ、両親は半分冗談だと思っていたようで、中学生になり「本気で舞妓さんになりたいので京都に行かせてください」と言ったときは、さすがに「え、本気だったの⁉︎」と驚かれました。


ルールが厳しい世界でも、全力で青春しました!


――松原さんは15歳で、舞妓さんの見習いの立場である「仕込みさん」となりましたね。同年代の子の場合、多くは親がやってくれているであろう掃除や洗濯、お買い物などをされていました。ツラいことも多かったと思いますが、最も大変だったことは何ですか?

松原彩さん:舞妓さんになるには、まず「花街言葉」を使えるようにならないといけません。言葉は日常生活の中でなおされるので、仕込みさんのころは何か話せば「そんな言葉遣いしはらへん!」と怒られて、話すことが怖くなってしまった時がありました。

間違った言葉遣いは、都度直されます


――言葉遣い以外にも、舞妓さんの世界に飛び込んでから驚いたルールなどはありますか?

松原彩さん:挨拶や礼儀については特に厳しい世界で、どんなに大人数の集会などでも姉さん(=自分より芸歴の長い芸舞妓)方には、一人ひとりに挨拶をしなければならないというルールがあります。大きな声で「おはようさんどす」と言って済ませるのではなく、全員のところへ行って「おはようさんどす姉さん」「おはようさんどす姉さん」と挨拶してまわるというのは、独特だなぁと思いました。

――推し活をしたり、ハンバーガーを食べて喜んだり、休日を満喫したりと、舞妓さんも「普通の女の子」の一面があると知り、とても親近感が湧きました。舞妓時代で、最も印象に残っているエピソードを教えてください。

松原彩さん:舞妓さんは自由の少ない生活をしていますが、みんな普通の女の子です。高校生に比べたらできないことはたくさんありましたが、それでもその中で楽しみ方を模索して、全力で青春しました。

マックやないか!!

オタ活が生きがい

うちらしか体験できひん「青春」

特に、同じ置屋の後輩とは毎日話してたくさん笑って、同居人を超えた家族になれたのではないかと思います。話が盛り上がりすぎてお母さんに怒られたこともいい思い出です(笑) 。

   *      *      *

松原さんが強い意志を持って舞妓の世界に飛び込んだことや、舞妓たちの日常生活が赤裸々に描かれている本作。厳しいルールを守りながらも、ルールの中で楽しもうと工夫する年相応の姿に親しみを覚えます。知られざる花街の世界について、多くのことを教えてくれる作品です。

取材・文=松田支信

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