舞妓を引退、22歳で高校生に! 新たな人生をスタートして得たものとは?『舞妓をやめたそのあとで』著者インタビュー

新しい人生のスタートです!

「舞妓さんって何歳くらいなの?」「いつまで続けられるの?」「引退したらどうなるの…?」舞妓さんの世界って、知らないことばかりですよね。

15歳で花街の世界に飛び込んだ松原彩さんのコミックエッセイ『舞妓をやめたそのあとで』では、そんな気になる舞妓さんの世界について知ることができる作品です。さらに、舞妓(芸妓)さんを引退したその後まで描かれています。

いわゆる「普通」と言われる進路とは、少し違った道を歩んできた松原さん。本作に描かれているエピソードは、新しいことに挑戦しようしている人や、周りの目が気になって一歩踏み出せなかった人、「普通」とは違う道を選ぶことを迷っている人など、多くの人の背中を押してくれるはずです。

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挑戦し続ける主人公に、背中を押してもらえる作品


私も舞妓さんになる!!

小学生の頃に舞妓を取材したTV番組を見て以来、舞妓になることを夢見ていた松原さん。15歳から地元を離れて京都の花街に飛び込み、見習いの日々を送ります。

待ち受けていたのは雑用とお稽古の毎日で…

やめたいと思ったら、「夢が叶った自分」を想像

雑用とお稽古ばかりの日々に、舞妓になっても制限の多い生活…。松原さんは何度も「やめたい」と思ったそうですが、「私はこれが好きだ」という気持ち、同じ置屋に暮らす仲間、手紙で応援してくれる両親の存在で自分を奮い立たせます。

高校に行くねん!!

そして、15歳から22歳までを過ごした舞妓・芸妓の世界にピリオドを打ち、新たに進んだのは高校生という道。

私は今の人生がとても好きなのです

定時制高校に通い、幅広い年代の、様々な事情を抱える人たちと交流しながら、舞妓時代にはできなかった勉強に打ち込みます。そこにあったのは、「日本文化の良さを、少しでも多くの人に知ってほしい」という思いでした。

松原さんが、舞妓や高校生として様々な経験を積んで得たものとは…?


舞妓・芸妓時代に学んだのは、芯の強さと気遣い


私もいつか、人の心を動かせるような舞妓さんになりたい!

――舞妓時代には多くの人と関わりがあったと思います。出会った人の中で、最も影響を受けたのは誰ですか?その理由も教えてください。

松原彩さん:たくさんいますが、特に影響を受けた姉さん(=自分より芸歴の長い芸舞妓)が1人います。とても芸達者でお座敷でも盛り上げ上手で、本当になんでもできる完璧超人だったのですが、普段は物静かで目立つこともなく、とても謙虚な方でした。売れっ子さんだったので、上の姉さん方にあらぬ噂を立てられたりすることもありましたが、否定も肯定もせずただ無心にお稽古に励む方でした。その芯の強さは静かに燃える青い炎のようで、私も自分の決めた進路を進む上でこういう姿勢を持ちたいと今も思っています。

――舞妓さん・芸妓さんとしての経験を通して得られたことや、ご自身が成長したなと思うことは何ですか。

松原彩さん:私は舞妓さんになるまであまり人に気を使う方ではなく、思ったことをすぐ言葉にしてしまう性格でした。今でもゼロになったとは言えませんが、人に気を使うことやそれによって円滑な人間関係を築けることを学びました

仲間との心地よい関係性を学んだ定時制高校


引退して高校行くのもありちゃいます?

今年いっぱいで花街を引退させてもらいます

――22歳で引退することを決めた松原さん。小学生の頃からの夢にピリオドを打つという決断は簡単ではなかったと思います。葛藤する中で、引退を決めた最も大きな理由、決断したきっかけを教えてください。

松原彩さん:ずっと追いかけてきた夢を終わらせることに葛藤はありましたが、「考えすぎてもしょうがない!一度やめて、やっぱりこの世界がいいと思ったら戻ればいいじゃない!」という気持ちで次のステップに進みました。舞妓さんをしていく中で自分自身の無知さを痛感し、学び直したいと思っていたので、「高校に行く」という選択肢ができたときに引退することを決断できました。

――そして引退後、地元に戻って定時制高校に通い始めますね。高校生活で最も印象的なエピソードがあれば教えてください。

松原彩さん:人見知りで、大勢の前で話したことが一度もなかったクラスメイトの田中くんが文化祭の司会に挑戦した時は、とても感動しました。結果としては、セリフが何度か飛んでしまいお世辞にも大成功とはいかなかったのですが、「挑戦できたことが嬉しかった」と言っていて、苦手なことに挑戦しても、一生懸命やれば人は何倍も成長できるんだと田中くんを見て感じました。

私が無理に誘ったりしなければ…

初めて挑戦に頑張れたことが嬉しかったです!


――年代を問わず、様々な事情を抱える生徒たちが集まっていたとありますが、そこで得られたことは?

松原彩さん:年齢や生まれ育った国もバラバラだった定時制高校。仲良くなるということは、必ずしも「全てを知り、距離を詰める」ことが良いわけではないのだなと、彼らを見て学びました。日々一緒に過ごしていく中で、「相手のことを多くは知らないけれどなんか心地いい」という関係性がそれはそれで素敵だなあと感じました。

   *      *      *

一つの夢にピリオドを打ち、新たな夢へと進んだ松原さん。舞妓の世界だけでなく、定時制高校でのエピソードも、リアルに、丁寧に描かれています。現状に満足せず、周りの人からたくさんのことを学び、どんどん次のステージに進んでいく松原さんの姿に、活力をもらいました。

取材・文=松田支信

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