豆腐売り場にバケツ!? その裏に隠された、島人の熱い団結と熱い豆腐
全国のスーパーを行脚する中で出会った不思議な風景の一つが、沖縄の豆腐売り場。普通は食品売り場にあってはならない「バケツ」がドド〜ンと真ん中に置かれています。でも、このバケツ、何に使うの?

沖縄県豆腐油揚商工組合の事務局長・平良恵美子さんによれば「沖縄では定番の風景で、豆腐から出た水分を捨てるためのバケツ」とのこと。ポリ袋に入って売られている沖縄の豆腐は熱々なので、置いているうちに水分が袋の中に溜まりますが、この水を放置すると嫌な匂いを出すそうです。衛生的には問題がないものですが、この匂いを防止するためと、持ち帰りに水分が邪魔になるため、バケツに捨ててからお客さんが自分で袋の口を閉じて買っていきます。
そうです! 沖縄の豆腐は熱々で売られているんです!!
でも過去に、この熱々の豆腐が消滅する危機がありました。
昔は各家庭でつくるものだった沖縄の豆腐。大きくて硬いためチャンプルーづくりにちょうど良い「島豆腐」と、枠で固める前のおぼろ状のものを水分ごとスープのようにいただく「ゆし豆腐」。家庭では海水をそのまま使っていたことから、にがりを使っているメーカー商品にも、塩味がついています。

沖縄の豆腐はできたての「あちこーこー」(熱々)が、美味しい豆腐の必須条件。そのため、沖縄ではお豆腐屋さんでも熱々を売るのが当たり前でした。
ところが、1972年(昭和47年)の本土復帰の際、日本の食品衛生法に従い「豆腐は水さらしにして、冷蔵で販売すること」を義務づけられると、豆腐はまったく売れなくなりました。
この時、沖縄の食文化を守るべく立ち上がったのが、沖縄県豆腐油揚商工組合と消費者。一致団結して国に陳情し、2年後、熱々のまま豆腐を売ることが特例として認められたのです。
現在、大きなスーパーなら冷蔵の豆腐のほかに、近隣の豆腐店3〜4店から毎日各3便程度、熱々の豆腐が届きます。つまり1日じゅう、熱々の豆腐を買うことができるのです。

もしも、沖縄のスーパーで熱々の豆腐に出会ったら思い出してください。水分を捨てることと、島人の熱い団結がその熱々の中に込められていることを。
文=菅原佳己
Information
スーパーマーケット研究家。1965年東京生まれ。名古屋在住、一児の母。夫の転勤で国内外の転居を繰り返し、スーパーの研究を続ける。ご当地スーパーブームの火付け役として、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで活躍中。著書『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品、見~つけた!』(講談社)。「みなさんも日頃から疑問に思っていることありましたら、ご連絡ください。あなたに代わって、お調べいたしますよ〜」
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