高知の県民食「ミレー」は名古屋の味⁉

#くらし 

「マツコさん!鋭い!!」と思った、5月8日放送の『マツコの知らない世界』。名古屋の駄菓子ということで紹介された「ビスくん」を試食後、マツコさんが放った言葉は「美味しいこれ! ちょっとミレービスケット系ですよね? ミレーを細長くしたような」。

左: ミレービスケット/野村煎豆加工店 右:ビスくん/三ツ矢製菓


放送ではそのあとの説明がありませんでしたが、マツコさんの舌はとても正しい。「ビスくん」を製造する三ツ矢製菓は、創業大正7年の名古屋の菓子メーカーですが、全国のミレー加工メーカーでフライにする前の「素焼きのミレービスケット」を製造している国内唯一の会社なのです。

総務部部長・水谷さん(56歳)によれば、「ミレービスケットとビスくんの生地の原料は大きく違いがない」とのこと。つまり、マツコさんがビスくんを食べて「ミレー系」と感じたのは当然と言えそう。

同社はキャンディメーカーとして創業し、昭和38年ごろからビスケット製造に移行。のちに名古屋っ子のおやつの定番となる「ビスくん」は昭和45年の誕生で、遠足のほか、名古屋ならではの風習“嫁入りの菓子まき”などに利用されて人気を獲得、今も地域のロングセラー品となっています。

一方で、ビスくん誕生の3年前、同社は明治製菓(現・明治)からミレービスケット製造業務を引き継ぎました。詳しいことを知る人はもはや明治にも三ツ矢にもいないので撤退や譲渡の理由ははっきりしていませんが、明治が撤退後、素焼きのミレーが名古屋発でつくられているのは事実です。

「ミレービスケット」または「ミレーフライ」などの名前のフライビスケットは、じつは現在全国6社で製造販売されています。各社、三ツ矢製菓が納品した素焼きのミレーを独自に油で揚げて塩味をつけるので、風味は各社それぞれ。しかも平成の初頭までは東海地区に7社ほどあったそうで、名実ともにミレービスケットは東海地方のお菓子でした。そして今も高知の野村煎豆加工店を除いた5社は、愛知県は平野製菓、渡由製菓、伊藤製菓、岐阜県は菊花堂、静岡県は東海農産と、すべて東海地方のメーカーです。

左:素焼きのミレー 右:フライ調味後のミレー


さて、現在ミレーの人気を牽引しているのは、高知の野村煎豆加工店。こちらも大正12年創業の老舗です。社名の通りに主に豆菓子を製造していましたが、昭和30年ごろからミレービスケットの加工を開始。フライビーンズ(そら豆)を揚げた油を使ってフライにしたミレーは、香ばしさと強めに仕上げた塩味があと引く美味しさと評判になり、地元高知の“県民食”となっていったのです。そして、今や「ミレー」は“高知県のご当地お菓子”として全国にその名を知られるようになりました。販売量もダントツの多さ。60年ほど前に明治製菓製から仕入れて始めたミレー加工でしたが、今では三ツ矢製菓とのお付き合いも50年を越えています。

豊富なミレーの品揃えの高知県内のスーパー


高知県のご当地菓子として有名になったミレービスケットですが、愛知県にとってもご当地菓子。今後は、ミレーの兄弟とも言えるビスくんの活躍にもどうぞご注目を。

文=菅原佳己

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三ツ矢製菓
野村煎豆加工店  


■菅原 佳己
スーパーマーケット研究家。1965年東京生まれ。名古屋在住、一児の母。夫の転勤で国内外の転居を繰り返し、スーパーの研究を続ける。ご当地スーパーブームの火付け役として、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで活躍中。著書『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品、見~つけた!』(講談社)。「みなさんも日頃から疑問に思っていることありましたら、ご連絡ください。あなたに代わって、お調べいたしますよ〜」
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