クリームティーと楽しみたい、秋色のスプレーマム【花と素敵な週末を Vol.16】

こんにちは!「ウィークエンドフラワー」プロデューサーの小川典子です。こちらでは、旬の季節に楽しみたい花の、“長もちさせるハウツー”や“簡単おしゃれなコーディネイトのコツ”をお伝えしていきます。花瓶がなくても大丈夫。少しの花材と身近な雑貨を組み合わせて、家のなかに自分のお気に入りの花コーナーを作ってみませんか?
11月第1週のおすすめは「キク」(スプレータイプ)
11月のウィークエンドフラワー.その1/キク(和名:菊、家菊、英名:Chrysanthemum、通称:マム)
●原産国: 中国、北半球各地
●主な生産地: 愛知県、栃木県、静岡県 他
11月になりました。今年も残すところあと2か月…! なんだかやり残したことがいろいろある感じがして、気が焦ってしまいますね。そんな時こそ、ゆったりとティータイム。今年のクリスマスはどんなふうに部屋を飾ろうか…思いを巡らす時間にしてはいかがでしょうか?
毎年秋になると、都内の百貨店では「英国展」が開催され、紅茶やお菓子、食器など、イギリスの伝統文化と最新トレンドが紹介され、大変な人気を博しています。イギリスといえば、英国上流階級のお茶文化「アフタヌーンティー」を思い浮かべますね。一方で、決まり事やマナーが多いアフターヌーンティーに比べ、ずっとカジュアルにティータイムを楽しめるとして、日本でも広く知られるようになってきたスタイルが「クリームティー」。
「クリームティー」とはもともと、とあるティーハウスが「紅茶とスコーンふたつ、クロテッドクリーム、ジャムのセット」を提供する際のメニューの名前だったとか。今ではスコーンと紅茶を楽しむ時間そのものを、クリームティーと呼ぶようになりました。家庭で気軽に楽しむのが英国流だそうです。
そして、イギリスといえばガーデニング。美しい庭もまた、英国が誇る文化のひとつです。ロンドンの街中で、自宅にデイリーに飾る花として、まっ先に思い浮かぶのが、スプレータイプのキク、通称スプレーマムです。ロンドンのスーパーの入り口には花コーナーがあり、買い物カートには花束を挿すリングがついていて、週末ともなれば食材の買い出しついでにサッと花束をカートに載せる光景が印象的です。なかでも、このスプレータイプのキクは大人気! かわいらしい花姿と素晴らしいボリューム、そして花もちが抜群な点が愛される理由でしょう。
今回のウィークエンドフラワーは、クリームティーにあわせて、スプレータイプのキクを。キッチンジャーを器にした、カジュアルな花飾りの紹介です。お手頃価格でできちゃいます!
カシス色の小さなキクを、ティータイムのテーブルに
深まりゆく秋にぴったりな、シックな色のキクをチョイスしました。カシスのようなベリー系の色合いと、ぽこぽこと愛らしいポンポン咲きのキクを楽しみましょう♪ 寒色系のキクなら、ユーカリのようなシルバーグリーンとも相性よし! 秋と冬の間の季節にぴったりの組み合わせです。

■材料(花材費合計=1000円前後)
●花材(画像下・左から)
*ユーカリピッコロ/1本を小分けに
*スプレーギク「ロリポップパープル」/2本
*ワックスフラワー「バーバラウィルソン」/1本を小分けに

●器について
キッチンジャーは、カジュアルな花をちょっとおしゃれに見せてくれる、魔法アイテムのひとつです。今回はクリームティーにあわせて、イギリス製の「KILNER」のジャーをチョイスしました。

●コーディネイトについて
カジュアルといえど上品な雰囲気にしたいと思い、冬を予感させるような淡いグレートーンを基調にまとめました。細かい話ですが、キッチンジャーのワイヤーと、ジャムの蓋やラベル、カトラリーの色をシルバー×黒で統一することで、洗練された印象になります。
こだわり出すとキリがないのですが…(笑)。今回は、スコーンを載せるプレートも、イギリスの陶器ブランド「バーレイ」、スコーンをカットするナイフは「コンランショップ」、ブラックカラントのジャムもイギリスのメーカーのもの。そして、英国陶磁器スペシャリストの友人から譲ってもらったリンゴジャムは、イギリスで加工用のリンゴとして昔から愛されている青リンゴ「ブラムリーアップル」のジャムです! 今年のジャムのブラムリーアップルは、北海道産だそう。これがまた絶品で、スコーンにぴったりなのです!。
スコーンはその歴史のなかで「王座を象徴するもの」とされていたとか。縦に切るのは無礼だそう。ナイフで横にカットするか、手で横に割るのがよいそうですよ♪

■3ステップでアレンジ
1、 キッチンジャーに水を入れ、切り花鮮度保持剤を入れます。スプレーギクの葉は、できるだけ取り除き、ワックスフラワーやユーカリも水に浸かる部分の葉を取り除きます。
2、 中心にスプレーギクを2本あしらいます。この際、少し高低差をつけて、器の口元にもキクの花が見えるようにいけると、アレンジ全体がまとまります。
3、 小分けにしたユーカリをキクの左右、背後を囲むようにいけ、最後に小分けにしたワックスフラワーをアクセントにあしらえば、できあがり!
※深いグリーンの色のキクの葉は、洋風のアレンジの際には極力見せないほうが、軽やかな印象になり、おすすめです。
■キクを長く楽しむコツ
*花散りしていない、葉がフレッシュなものを選びましょう。
*切り花鮮度保持剤を使うと、色鮮やかに大きく咲き、寒い季節なら1か月間以上楽しめます!
*キクの水揚げ方法として、茎を手で折る方法があります。手で折ると茎が細かく裂けることで、断面積が大きくなり、水をよく吸います。
*葉が水に浸かっていると、水がすぐに汚れて茎が腐りやすくなります。小さな葉を含め、水に浸かる部分の葉は、丁寧に取り除きましょう。水替えのたびに、茶色くなった茎の部分は、切り戻すとよいでしょう。
新しい花の記念日です。11月6日「いいマムの日」
栽培技術の発展で1年中手に入る身近なキクは、秋が深まる今の季節が最旬。9月9日の重陽の節句にはじまり、お月見や全国各地で開催される菊花展など、古来より日本の秋を彩る伝統文化に欠かせない花です。
そんなキクの魅力を、よりたくさんの方に伝えようと、生産者たちの発案で花業界が取り組み始めた新しい記念日があります。これが「いいマムの日」。キクがもっとも美しい季節、11月6日を1106の語呂合わせで「いいマムの日」(マムはキクの愛称です)としたのです。
江戸時代後期、日本に古来からある「キク」が海を渡り、イギリス、そしてヨーロッパへと広がり、19世紀後半には盛んに栽培されるようになりました。さらにアメリカに渡り、革新的な品種改良が行われたのち、従来とは異なる姿と万国共通の「マム」という愛称を得て、1974年に日本に再上陸。逆輸入され、本格的な国内栽培が始まったのです。

当初はひと重咲きのスプレーギクが一般的でしたが、その後、スプーン咲き、アネモネ咲きの生産が盛んとなりました。現在では、ポンポン咲き、デコラ咲きなど、和洋さまざまな花に合わせやすい品種が多数流通しています。キクの魅力は、花形のバラエティと花色がじつに豊富なこと。フォーマルからカジュアルまで用途は幅広く、まさにオールマイティな花なのです。和装ブームからブライダルシーンでも人気急上昇、仏花のイメージを超えて、ギフトでも用いられるようになりました。消費者やフローリストの意識が、ここ数年で随分と変化しています。
キクの品種開発は、現在主にオランダで行われています。前職時代は、オランダのキク育種会社が系列会社だったため、日本の生産者たちと一緒に、国内向けの新品種を選抜しに頻繁にオランダに出向いていました。毎年ワクワクするような新品種との出会いがあったり、秋冬は曇天が多いオランダと日本では好まれるカラー傾向が全く異なったり…。キクの世界は飽きることがなく、以来、私自身もキクの虜なのです!

和モダンがかっこいい!「ディスバッドマム」とは?!
“ディスバッド”とは聞きなれない言葉ですよね。1輪に仕立てたキク(マム)を総称して、「ディスバッド(Disbud)マム」と呼びます。おなじみのポンポン咲きのキクは、そのひとつです。下の写真のように、キクはもともとすべて、スプレータイプなのですが、茎の脇から出てくる脇芽(bud )を取り除き(dis)、いちばん上の「頂花」だけを残して、大きく咲かせる栽培手法のことをいいます。

昨今は、ダリアと見まごうゴージャスなデコラ咲きやポンポン咲きのディスバッドマムに加え、糸菊や江戸菊の血を引く粋な古典菊もリバイバル。華やかかりし日本の古典園芸の世界に触れることができます。
来週6日は「いいマムの日」。晩秋から年末にかけて、和洋折衷の艶やかなキクが花店に出回ります。ぜひこの季節に、キク=マムを思いっきり楽しんでくださいね!
ではでは皆さま、花と素敵な週末を。


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