どんな過酷な環境でも生きる地球最強の生物「クマムシ」 眠れないほど面白い地球の雑学(38)【連載】

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 地球の雑学 その38


地球はどうやって生まれたのか。気になりませんか? 人間の身体の知られざる秘密など、思わずだれかに話したくなる理系のウンチクで、あなたの雑談を‟スケールアップ"!

『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から、第38回目をお送りします。

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どんな過酷な環境でも生きる地球最強の生物「クマムシ」


「地球最強」と聞いてどのような生物を思い浮かべるだろうか。ゾウやライオンなどの大型動物、あるいは生命力の強いネズミやゴキブリを挙げる人がいるかもしれない。だが、地球最強の呼び声が高いのは、「クマムシ」である。

クマムシは体長1ミリメートルにも満たない、植物の汁などを食べている目立たない生物で、ゆっくり歩くという意味の緩歩(かんぽ)動物の仲間。ずんぐりした体に4対の短い足があり、クマムシという名もクマのようにのそのそ歩くことからつけられた。

特別な武器も、速い逃げ足もないクマムシだが、その生命力は驚異的。150℃以上の高温、マイナス270℃以下の低温、7万5000気圧もの高圧の中でも生きていけるのだ。これは、クマムシが生命の危機につながる状況になると、一時的に活動を停止して「クリプトビオシス」という冬眠に近い状態になるため。さらに、乾燥すると体内の水分をぎりぎりまで減らし、干からびた樽(たる)のような形になる。

そして周囲の環境が活動に適してくると、クマムシは再びもとの状態に戻る。水のない状況では9年、凍結された場合は20年も耐えて復活した例があるという。

クマムシをロケットに乗せ、宇宙空間に置く実験もなされた。人間ならば宇宙服なしではとても生きていけない空間で、しかも有害な放射線や太陽光を直接浴びたにもかかわらず、一部のクマムシは生き残っていたという。

この強靱(きょうじん)さゆえ、クマムシは世界中に1000種以上も生存していることが確認されている。南極や高山はおろか、泳げないのに深海の底にもいるし、そのへんにあるコケの中にもいる。現在、クマムシの遺伝情報を解読する研究も続けられており、いずれ人間はクマムシ並みの生命力を得る日が来るかもしれない。

著=雑学総研/「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)

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人類なら知っておきたい 地球の雑学


人類なら知っておきたい 地球の雑学
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著者:雑学総研
珍談奇談の類から、学術的に検証された知識まで、種々雑多な話題をわかりやすい形で世に発表する集団。江戸時代に編まれた『耳袋』のごとく、はたまた松浦静山の『甲子夜話』のごとく、あらゆるジャンルを網羅すべく、日々情報収集に取り組んでいる。

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