日本から2500キロも離れて産卵するウナギの不思議 眠れないほど面白い地球の雑学(57)【連載】

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地球の雑学 その57


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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から、第57回目をお送りします。

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日本から 2500キロも離れて 産卵するウナギの不思議


古代ギリシャの哲学者で、科学の基礎をつくったアリストテレスは「ウナギは泥から生まれる」と考えていたというが、その生態は長いあいだ謎に包まれていた。

生まれたばかりのウナギの赤ちゃんも、お腹に卵を持った親ウナギも、見つかっていなかったからである。

かつては、親ウナギが川で獲(と)れることから、ウナギは川辺や河口で一生を過ごすと思われていたが、最近ではそれが誤りであることがわかっている。

ウナギの卵や赤ちゃんを探す研究が日本の近海で始まったのは、1930年頃。そして、ウナギの赤ちゃんである「レプトセファルス」が台湾の沖合で見つかったのは、 30 年以上も経った1967年のことである。

以来、大がかりな調査が進められ、1991年にはフィリピンとマリアナ諸島のあいだの海で、生まれて間もないレプトセファルスを大量に捕獲。2009年、日本から約2500キロメートル離れたマリアナ諸島の西の海域で、東京大学などのチームが、産卵から 1 日後のウナギの受精卵をついに発見するに至った。

卵のサイズは直径約1.6ミリメートル。遺伝子を調べたところ、日本列島の近海を回遊するニホンウナギと断定された。これまでニホンウナギは、毎年5~9月にマリアナ諸島付近で産卵し、成長しながら黒潮に乗って日本近海にやってくることは知られていた。しかし、産卵から孵化まで約1日半と短かったことから、なかなか卵を見つけることができなかったのだ。

少しずつ解き明かされてきたウナギの生態だが、大人になったウナギがどうやって産卵場所へたどり着くのかはいまだ謎のまま。広い大海原で、産卵中の親ウナギを見つけることが、今後の研究発展への課題となっている。

著=雑学総研/「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)

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人類なら知っておきたい 地球の雑学


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著者:雑学総研
珍談奇談の類から、学術的に検証された知識まで、種々雑多な話題をわかりやすい形で世に発表する集団。江戸時代に編まれた『耳袋』のごとく、はたまた松浦静山の『甲子夜話』のごとく、あらゆるジャンルを網羅すべく、日々情報収集に取り組んでいる。

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