空に浮かぶ雲が地上に落ちない不思議 眠れないほど面白い地球の雑学(76)【連載】
地球はどうやって生まれたのか。気になりませんか? 人間の身体の知られざる秘密など、思わずだれかに話したくなる理系のウンチクで、あなたの雑談を‟スケールアップ"!
『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から、第76回目をお送りします。
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空に浮かぶ雲が地上に落ちない不思議
雲は、水や氷の粒といった雲粒からできているはずなのに、なぜ空中に浮かんでいることができるのか。この謎に頭を悩ませていたのは、なにも現代に生きる我々だけではないようだ。
たとえば、ハレー彗星の軌道計算などで知られている、イギリスの天文学者エドモンド・ハレーもその一人。ハレーは1691年に発表した論文で、雲が落ちてこない理由を、「水の原子が熱によって膨張し、泡になることで、空気よりも軽くなることから上昇する」と説明している。
しかし、現在では熱で原子が膨張することはないことは常識になっている。
ハレーの説明は間違っていたわけだが、ハレーが生きていた当時、原子や分子の性質がまだ明らかになっていなかったことを考えると、このように認識したとしても無理はない。事実、その時代の多くの人々にも、ハレーの説明は受け入れられた。
では、なぜ雲が落ちてこないのかというと、じつは雲粒は落下しているのだ。ところが、あまりにもゆっくりと落下しているために、人間の目では観測することができないのである。
雲粒の直径は約0.02ミリメートルで、その落下速度は秒速約1センチメートル。つまり、雲の高さを1000メートルとすると、地上に落下するまでに28時間近くかかる計算になる。
そして、実際に雲粒が地上に落ちてくることはない。あまりにも小さいため、落下するあいだに蒸発してしまうか、あるいは、いちばん小さな雨粒の1000分の1くらいの重さしかないことから、雲の下に発生する上昇気流によって、再び上空へと吹き上げられてしまうのだ。
著=雑学総研/「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)
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人類なら知っておきたい 地球の雑学
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著者:雑学総研
珍談奇談の類から、学術的に検証された知識まで、種々雑多な話題をわかりやすい形で世に発表する集団。江戸時代に編まれた『耳袋』のごとく、はたまた松浦静山の『甲子夜話』のごとく、あらゆるジャンルを網羅すべく、日々情報収集に取り組んでいる。
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