「iPS細胞」でいったい何ができるのか 眠れないほど面白い地球の雑学(112)【連載】 画像(1/2) 地球の雑学 その112

地球はどうやって生まれたのか。気になりませんか? 人間の身体の知られざる秘密など、思わずだれかに話したくなる理系のウンチクで、あなたの雑談を‟スケールアップ"!

『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から、第112回目をお送りします。


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「iPS細胞」でいったい何ができるのか

iPS細胞は、それをつくり出した山中伸弥(しんや)教授(京都大学iPS細胞研究所)が2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞したことで広く知られるようになった。iPS細胞は「万能細胞」と呼ばれているが、どのように"万能"なのか。

人間の体は、もとはといえばたった1個の受精卵で、それが細胞分裂を繰り返し、内臓や神経や筋肉などの器官や組織になって形づくられたものである。発生初期の細胞は、すべての細胞になる能力があり、これを「多能性」と呼ぶのだが、一度分化した細胞はほかの細胞になる遺伝子にロックがかかる。たとえば「目」になった細胞は、骨の細胞になることはできないのである。

iPS細胞の日本名は「人工多能性幹細胞」で、このロックを外して細胞を初期化し、すべての器官や組織に分化させることができるようにしたものである。山中教授は、皮膚の細胞に四つの遺伝子を組み込むことで、細胞を未分化の状態にしたiPS細胞をつくり出した。これを用いれば、患者本人の皮膚から、その患者が必要としている体のパーツをつくることができる。病気やケガで損傷したり機能を失ったりした部位を、もとどおりにする再生医療が幅広く可能になるのだ。

たとえば、現在では脳死した人から臓器をもらって行なわれている移植手術も、本人の細胞を使って再生した臓器を用いて行なえるようになる。これなら倫理上の問題もなく、何より拒絶反応の心配がなくなる。ほかにも、糖尿病ならばインスリンをつくる膵臓(すいぞう)細胞をつくり出して治療したり、角膜を損傷して視力を失った際に角膜細胞をつくり出して本人の目に移植するなど、その可能性は無限大で、多くの分野で研究や計画が進められている。

著=雑学総研