花粉症の人にとって、春先はつらい症状に悩まされる季節。花粉症は、花粉によって 起こされるアレルギー疾患で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れます。

日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学教授で、花粉症治療、特に舌下免疫療法の研究・治療に当たっている大久保公裕先生に、その原因などをお聞きしました。


 

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(1/7) 「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう

スギに対するアレルギー体質の人が増えている

花粉症の原因になる花粉は何十種類にも及びますが、日本で最も多くみられるのはスギ花粉症で、患者数は年々増加しています。


その理由について、大久保公裕先生は「戦後に植林された大量のスギが成長し、花粉を飛散する樹齢に達しています。その他、加工食品の摂り過ぎなどの食生活、換気の悪い住環境などの変化によって、アレルギー体質になる人が増えていると考えられます」と話します。


同じような環境で生活していても、花粉症になる人とならない人がいるのは、免疫機能(体内に入ってきた病原体や異物から体を守る機能)の反応の差が関係しています。花粉に免疫機能が過剰に反応するアレルギー体質の人もいれば、反応が弱い人もいます。こうした個人差があるため、花粉症の症状の現れ方や重症度も一人一人違います。


 

症状が起こっている原因を調べるのが第一

花粉症で現れる鼻水や鼻づまりの症状は、ハウスダストやダニなどが原因になるアレルギー性鼻炎や、副鼻腔炎(ふくびくうえん)などの鼻の病気でも起こります。


「スギ花粉の時期ではないのに鼻の症状が治まらない場合は、別の植物の花粉症かもしれません。スギ花粉症とダニアレルギーを併発している人もいます。花粉症の人は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎を併せ持つ傾向があることも分かっています。鼻の症状が長引く場合は、耳鼻咽喉科でいろいろな検査を受けて、症状の原因を調べることをおすすめします」。


 

【花粉症の人の体内で起こっていること】

1 花粉が花や口、目から入ってくる。

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(4/7) 花粉症の人の体内で起こっていること-1


2 体の免疫機能が働いて花粉を異物と認識し、体内でIgE(アイジーイー)抗体(抗体とは、異物を感知して捕らえるセンサーのようなもの)がつくられる。IgE抗体は、鼻の粘膜や目の結膜にあるマスト細胞と結合する。

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(10/7) 花粉症の人の体内で起こっていること-2


3 IgE抗体とマスト細胞が結合した状態で、花粉が再び体内に入ってくると、花粉とIgE抗体が結合する。すると、花粉を排除しようとして、マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される。

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(12/7) 花粉症の人の体内で起こっていること-3


4 ヒスタミンなどの化学伝達物質が知覚神経や自律神経、血管、分泌腺などを刺激し、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れる。

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(16/7) 花粉症の人の体内で起こっていること-4

 

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」の違いって何が違うの?

アレルギー反応によって症状が現れる病気をまとめて「アレルギー疾患」といいます。「アレルギー性鼻炎」は、症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)の種類によって「通年性アレルギー性鼻炎」と「季節性アレルギー性鼻炎」に分けられます。花粉症は季節性アレルギー性鼻炎です。

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(23/7) 「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」の違い

 

夏や秋に起こる花粉症もあります

スギ花粉が飛散する時期には、ヒノキやハンノキ、シラカンバという樹木の花粉も飛散しています。ブタクサやヨモギ、カナムグラという草の花粉は、夏から秋に飛散しています。イネ科の雑草も花粉を飛散させ、花粉症を引き起こします。

「花粉症」と「アレルギー性鼻炎」って何が違うの? 花粉症の仕組みを知ろう 画像(28/7) 花粉症の原因になる主な植物と花粉の飛散時期

●花粉症の原因になる主な植物と花粉の飛散時期


※花粉の飛散時期は地域によって異なります。上のカレンダーは全国の標準的な飛散時期を示しています。


監修=大久保公裕 文=髙森千織子

※この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の内容です。