「『成功』を頭に思い描いてから仕事に取りかかる」アルベルト・アインシュタイン 天才の習慣(1)【連載】

#くらし   

古今東西100人の天才たちが実践していた「習慣」から、その成功法則を導き出せ!芸術家やアスリート、学者に起業家など、歴史に名を残す「超一流」の天才たちが実践していた「習慣」から、彼らの人生哲学やマイルールを読み解きます。すぐに真似できる「習慣」で、今日からあなたも目指せ天才!

※この記事は『すぐに真似できる天才たちの習慣』(KADOKAWA)からの抜粋です。

「成功」を頭に思い描いてから仕事をしはじめる


【アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)】

(1879 ~ 1955 )ユダヤ系のアメリカ人。ドイツ南部のウルム生まれ。理論物理学者。1916 年、一般相対性理論を発表、「太陽のそばを通る光線が屈折する」ことを予測し、のちにそれが確かめられた。33 年、ナチス政権が支配していたドイツを離れてアメリカへ渡り、プリンストン高等研究所で研究者として生活を送る。ユダヤ人へのホロコーストや、マンハッタン計画とそれに付随する広島・長崎への原爆投下は彼を大いに悩ませ、戦後、平和運動に尽力するなど、その後の彼の生き方に多大な影響を与えた。

◆この天才の名言◆

「他人のために生きた人生だけが価値を持つ。」

「私は未来のことなど考えない。なぜなら、すぐに来てしまうから。」

「僕には特別な才能があるわけじゃない。ただ情熱的な好奇心を持っているだけさ。」

「本当の知性のしるしは、知識ではなく想像力だ。」

 

なぜアインシュタインは「直感」を大切にしたのか?


ドイツ生まれの理論物理学者アルベルト・アインシュタイン。1905年は「アインシュタイン奇跡の年」といわれますが、それは、この年に彼が「光量子仮説」「ブラウン運動論」「特殊相対性理論」という三大論文を次々に発表したためです(実際には、この年には別の博士論文を含めて合計6つの論文を発表している)。

しかも驚くべきことに、このような重要な論文をまとめた頃のアインシュタインは、大学の教授職には就いておらず、一介の特許局の役人でした。世間的に無名であった役人が物理学の世界に革命を起こしたのですから、その衝撃には計り知れないものがありました。

のちにニュートンと並び称されるほどの世界的な人物となったアインシュタインですが、彼の生活を支えていた習慣にはどのようなものがあったのでしょうか?

彼が仕事を進める上で実践していたのは、「成功」を頭に思い描いてから仕事に取りかかるということ。別の角度からいうと、「小さな成功」をイメージしてから仕事を進めるということです。

それは彼が、頭で色々と考えて「実現ができるかもしれない」と考えるよりも、直感(インスピレーションと言い換えてもいい)によって成功することが予想されることのほうが、実現する可能性は高いと考えていたためです。

アルベルト・アインシュタイン1


アインシュタインは、「真実は美しく単純である」という信念を持ち続けていました。彼は、「物理学的な真実は単純かつ明確なものである」と信じていたのです。そのため、彼は確率や統計が関係してくる量子力学は好きではなく、受け入れることはありませんでした。

このことについてアインシュタインは、こう述べています。

「God does not play dice with the universe.」

訳すと、「神は宇宙相手にサイコロ遊びなどしない」となります。

神が創った単純なはずのパズルは、サイコロのように確率によって解くのではない、という意味がこの言葉には含まれています。[※1]

アインシュタインが、成功を頭に思い描いてから仕事に取りかかるという習慣を持っていたのも、真実は恐ろしく単純であって、複雑なものではない、直感によって成功が見通せないものは成功しない可能性が高いと考えていたからでしょう。

 

意図的に、食事や服装をシンプルにした


「真実は美しく単純である」という信念を持ち続けていたアインシュタイン。そんな彼の考え方は、実生活においても実践されていました。

たとえば、食事。アインシュタインの食事は基本的に質素そのものといえます。大好きな食べ物はチーズとトマトが入ったマカロニスパゲティ。お酒などは飲まず、紅茶かコーヒーがお気に入りだったといいます。

服装に関しても、いたってシンプル。日常的には古ぼけた革製のジャンパーかジャケットで過ごし、ネクタイを付けることもありませんでした。靴下もほとんど履かなかったようです。

髪の毛はいつも長いまま。残された彼の肖像を見ると、髪はボサボサであることが少なくありません。

しかし彼がそのように、食事や服装をできるだけシンプルにしていたのも、すべて先述の「真実は美しく単純である」という信念を具体化したに過ぎないといえます。

髪の毛が長いままだったのは、理髪店へ行くという手間を省いたためですし、靴下を履きたがらなかったのも、穴が開いたら誰かがそれを繕(つくろ)わなくてはならないからという理由だったといいます。

物事が過剰になると、人はその前で「奴隷」に成り下がってしまう、だから、自由を手の中に入れておくためには、なるべく「何も所持しない」ことが大切なのだ。アインシュタインの頭の中にあった信念は、私たちにそのように語りかけているようです。

大正時代の新興出版社「改造社」の招きによって1922(大正11)年11月17日に来日したアインシュタインは、2日後、第1回目の講演を慶応大学にて行なうことにしました。このとき、通訳がアインシュタインに講演の原稿をつくっておいてほしいと打診したところ、彼はこう述べています。

「前もって原稿を書くと思想が固定していけない。聴衆の顔を見てその場で自由な心持ちで講演したい」[※1]

どこまでもシンプルな考え方を実践していたのが、アインシュタインだったのです。

[※1]『図説アインシュタイン』金子務監修、千葉透著(河出書房新社)

 

町中で気さくに声をかけられたアインシュタイン


三大論文の発表によって世界にその名を轟(とどろ)かせたアインシュタインでしたが、彼は有名人の素振りを見せることはなく、慎ましい生活を送っていました。

アインシュタインは1933年、54歳の時、ナチス・ドイツが政権を手に入れたことをきっかけにしてドイツ国籍を放棄し、家族を連れてアメリカに亡命します。

彼はアメリカで45年までプリンストン高等研究所で働いていますが、プリンストンでの彼の日常はシンプル極まりないものでした。午前9時から10時にかけて朝食を食べ、10時半頃までに家を出て研究室へと向かいます。天気がよい日は散歩がてら歩き、雨の日は研究所から車が迎えに来ました。

研究室には午後1時まで滞在し、その後家へ戻り、午後1時半に昼食。それから昼寝をして紅茶を1杯飲むのが日課でした。あとは、自宅でやり残した仕事を済ませたり、人に会ったり、秘書が整理しておいた手紙に目を通すなどしていたといいます。

アルベルト・アインシュタイン2


そんな質素な生活をしていたアインシュタインだったので、町中で気さくに声をかけられることも少なくありませんでした。彼にはいわゆる“ファン”も多く、仕事への行き帰りを待ち伏せされることもしばしばあったといいます。そんな時アインシュタインは彼らと普通に会話をし、時にはユーモアを交えて応対していました。

しかし、それは彼のサービスだったようです。彼は同僚に向かい、「やれやれ、年寄りのゾウが、また一通り芸をしてしまった」と振り返っていたと証言しています。[※2]

自身の振る舞いに対して自分自身ではそのように認識していたようですが、アインシュタインは人付き合いに関しても、「過剰を排する」ことをモットーにしていたとはいえるでしょう。

単純な行動の先に見えてくることがある、アインシュタインはそんなメッセージを伝えてくれているようです。

[※2]『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』メイソン・カリー著、金原瑞人・石田文子訳(フィルムアート社)

 

【プラスα】試合後、寄り道せず帰宅するメジャーリーガーたち

プリンストン高等研究所でのアインシュタインの日常は本文で紹介しましたが、彼と同じように、勤め先と自宅の行き帰りを重要視している職業の1つが、メジャーリーガーです。

たとえば、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手は、登板を終えるとすぐさま家に帰って食事をするといいますし、かつてメジャーでプレーしたことのある上原浩治選手も、球場内の食堂で食事を済ますとそのまま帰宅。体をケアしていたようです。彼ら日本人メジャーリーガーがこのようなストイックな生活を送っているのは、体調管理もあるでしょうが、日常生活のパターンを決めておくことで意思決定に費やす力をも野球に注ぐためではないでしょうか。

ビジネスパーソンがそこまでストイックに日常生活を送る必要はないと思いますが、見習いたい習慣といえます。

著=教育総研

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著者:教養総研(きょういくそうけん)
レアな古説、珍説の類から、広く知られるライフハックまで、「教養」に関わるトピックスをわかりやすく世に発信する小集団。これまでに世に出た優れた教養や自己啓発書を日々研究している。

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