朝起きたとき口の中がネバネバする、歯みがきのとき歯ぐきから血が出るなど、不快な症状の多い「歯周病」。重症化すると歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)などの歯周組織が破壊されていき、最終的に歯が抜け落ちてしまうおそろしい病気です。歯周病治療の最新事情について、日本大学歯学部付属歯科病院病院長の宮崎真至先生に聞きました。


日本人が歯を失う理由第1位!「歯周病」の治療に保険適用の新薬が登場 画像(1/7) 歯周病は日本人の「歯を失う理由」第1位! その原因は?

歯周病は日本人の「歯を失う理由」第1位

歯周病のおもな原因は、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)に潜む歯周病菌です。歯みがきなどのケアを怠ると、歯周病菌が口内で増殖し、歯周組織に炎症を引き起こして「歯周病」になってしまいます。

日本人が歯を失う理由第1位!「歯周病」の治療に保険適用の新薬が登場 画像(3/7) 歯周病1

プラークの他にも、噛み合わせや歯並びなどさまざまな原因によって炎症は引き起こされます。プラークや歯石を除去し、日頃のセルフケアによって炎症を改善していくとともに、炎症を引き起こした原因について診断を受け、それらを根本的に治療していくことも、歯周病治療の重要なポイントです。

日本人が歯を失う理由第1位!「歯周病」の治療に保険適用の新薬が登場 画像(6/7) 歯周病2

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保険適用の新薬「リグロス」が登場

従来の歯周病治療では、歯垢の除去や外科手術によって歯周病の進行をくいとめることはできても、失われた歯周組織を元に戻すことはできませんでした。ところが近年「歯周組織再生治療」として失われた歯周組織の再生をうながす治療の開発が進み、GTR法(歯周組織誘導法)とエムドゲインという2つの治療が外科手術に加えて用いられるようになってきました。


しかしGTR法は患部に人工膜を挿入し、歯肉の侵入を防いで歯槽骨の再生を誘導する治療のため、通常の外科手術よりも難しい手術になってしまいます。エムドゲインは歯槽骨に塗ることで失われた骨の再生をうながす薬剤ですが、保険適用外のため、基本的に自費負担での治療となっていました。


これら「歯周組織再生治療」に新しく登場したのが、日本発の新薬「リグロス」です。もとは床ずれなどの治療に使われていた薬で、血管の新生を促進し、減少した歯槽骨の再生を助ける効果があります。2016年11月に保険適用となり、12月から販売が開始されました。施術はエムドゲインと同様ですが、リグロスは保険適用のため、自己負担は全体の3分の1以下、価格は約2万円からになります。


ただしいずれの治療も、歯周組織の状態によっては行えない場合があります。施術の判断は専門医にゆだねた方が良いでしょう。日本歯周病学会では、歯周病専門医の一覧を公開しています。ホームページや電話で確認してみてください。


 

従来から行われている一般的な歯周病手術

日本人が歯を失う理由第1位!「歯周病」の治療に保険適用の新薬が登場 画像(15/7) 一般的な歯周病手術

炎症組織を取り除いてプラークや歯石を徹底的にきれいにします。病巣を除去できますが、すでに失われた歯周組織を元に戻すことはできず、歯肉を切除するために術後はやや歯茎が下がってしまいます。

 


血管、骨の再生をうながす最新薬

『リグロス/エムドゲイン』

日本人が歯を失う理由第1位!「歯周病」の治療に保険適用の新薬が登場 画像(21/7) リグロス/エムドゲイン

手術後に、歯周組織が失われている部分に直接塗布してから患部を縫合します。エムドゲインは骨の細胞に働きかけ、リグロスは骨に栄養を運ぶ血管の新生をうながし、骨の再生を促進します。

 


歯周組織が再生する環境を整える『GTR法』

日本人が歯を失う理由第1位!「歯周病」の治療に保険適用の新薬が登場 画像(28/7) GTR法

手術で病巣を取り除いた後、歯周組織が失われた部分に人工膜をかぶせて縫合します。歯肉の侵入を防いで歯周組織の再生を誘導する治療です。手術が難しくなるため、リグロスなどの方が一般的。



監修=宮崎真至 文=高橋星羽(デコ) イラスト=矢島慶子

※この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の内容です。