鬼から替わった!?「腹の虫がおさまらない」の“虫”ってどんな虫?

#くらし   
“腹の虫”には63種類もいた!


なにかイヤなことがあって腹が立ったとき、「腹の虫がおさまらない」と表現しますよね。

馴染みのある言葉ですが、そもそも“腹の虫”とはどんな虫なのでしょうか。

今年5月放送の「チコちゃんに叱られる!」では、なぜ腹の虫と言われるようになったのか由来を紹介しています。

西洋医学の登場で“腹の虫”に変化が…


解説を担当したのは南山大学名誉教授の長谷川雅雄先生。

長谷川先生によると大昔は人の体や心を乱すのは“鬼”が原因と考えられていて、平安時代の医学書「医心方」にも病は“鬼のせい”との表記がありました。

当時の医学は立場が弱く、原因が鬼となると治療は宗教に頼らざるを得ません。

そこで医者たちは自らの地位を上げるため、病気の原因は鬼ではなく“別のもの”にしようと判断。

鬼に替わって考え出されたのが「虫」で、小さな虫なら医者にも退治できると考えられた結果「病気や心の変化も虫のせい」という考え方が広まります。

戦国時代になると医者たちは“腹の虫”の種類を想像し、63種にもおよぶ“虫”の姿が描かれることに。

病気のほか慣用句として「腹の虫がおさまらない」「虫の居所が悪い」といった言葉が生まれましたが、江戸末期になると日本に西洋医学が登場。

その影響で“腹の虫”を原因とする考え方は消え、今では慣用句だけが残る形となりました。

ちなみに戦国時代に描かれた“腹の虫”たちは、虫にも妖怪にも見える異様な姿。

視聴者からは「昔の人たちって想像力がすごいよね…」「腹の虫が悪さをするっていう考え方が面白い!」「不気味な虫がうごめいているって想像したら、腹の虫がおさまらないなんてあまり言いたくないね(笑)」といった声が寄せられていました。

「海老で鯛をつる」をドイツのことわざにすると?


【写真】フランスのことわざには“ワイン”が登場!


日本では多くの慣用句やことわざが伝えられていますが、実は日本と同じような意味を持つ文言は世界でも使われているようです。

昨年8月放送の「世界くらべてみたら」(TBS系)では、「世界のことわざ・慣用句をくらべてみよう!」コーナーを展開。

たとえばドイツのことわざには「ベーコンを求めてソーセージを投げる」とあり、「吊るしてあるベーコンのブロック肉に小さなソーセージを投げ当てて手に入れる」という意味があります。

日本で言うところの「海老で鯛を釣る」と同じ意味ですね。

フランスのことわざとして紹介されたのは、「ワインが出されたからには飲まねばならぬ」。

ワインは一度空気に触れると風味が落ちてしまうので、開栓したからにはすぐに飲まなければいけません。

“一度やりかけたら最後までやり遂げる”という意味があり、日本のことわざ「乗りかかった舟」と同様の使われ方になります。

日本の“腹の虫”のように、ことわざ・慣用句にはお国柄がにじみ出るようですね。

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