その悩み「気にしすぎ」かも! 禅僧に教わる心がスッと休まる生き方

「あのときの失敗、また思い出しちゃった」 「あの人に比べて、私ってだめだな」 「この子たちの将来、大丈夫かなぁ」……。いろいろなことが気になるのは、あなただけではありません。動じないためにはどうしたら……と考えて、思い浮かぶのは、禅。その心の在り方を禅僧の藤田一照さんに伺いました。

禅の教えを分かりやすく語ってくれた藤田一照さん


気にしすぎる人の心配事は自分がつくり出した「物語」にすぎない


「気にしすぎる癖のある人は、自分がつくり出したネガティブな物語、つまり、思い込みに気を取られている場合がほとんどなんです」と語るのは、僧侶の藤田一照さん。

「人間は想像を働かせる生き物。ネガティブな物語をつくってしまうこと自体は、いけないことではありません。問題なのは、自分でつくり出した“物語”と“現実”との区別がつかなくなり、自分が自分に振り回されてしまうことなんですね」

そこで、禅の考え方から“気にしすぎてしまう人”におすすめするのが、立ち止まる時間をつくること。「心配事があると、人はすぐに対処しようとします。しかし、心配の波にのまれているときほど、視野が狭くなって、空回りしてしまうのです。そのため、まずは、一度立ち止まって、心をリセットすることが大切。そうすれば、心配事の全体像がおのずと見えてきて、解決策も探しやすくなるのです」

【写真を見る】気にしすぎて、ついクヨクヨモヤモヤ…


気にしすぎを克服するキホンの3ステップ


【ステップ 1:気にしすぎる自分を否定せずに受け入れる】

まずは、心配事に対して気にしている自分をありのまま受け入れます。「気にしすぎちゃダメ」とか、「早く解決しなきゃ」などと考えず、今ここにいる“気にしすぎている自分”を否定せずに許すことから始めましょう。

【ステップ 2:愛情と好奇心を持って気になる状況と自分を観察する】

今起きている心配事やそれに対して自分がどう気にしているのか観察します。何がよい・悪いという判断で見るのではなく、科学者が自然を観察するように、自分への愛情と好奇心を持って、その状況を充分に感じ取ります。

【ステップ 3:何回失敗してもいいので抜け出す方法を試してみる】

最後には、失敗を恐れずに具体的な行動を起こしましょう。視野を広く持つと、自分が今まで得た情報や、周囲からのサポートの存在に気づくはず。それらを使って、現状を抜け出す方法を試していきます。

気にしすぎる気持ちがラクになる禅のヒント


「禅の教えは“気にしすぎ”なあなたをありのままに受け止め、身も心も調(ととの)えます」と藤田さん。そこで、ありがちな5つの悩みをピックアップ。禅の考え方をヒントに、悩み事に対する向き合い方や行動の移し方を藤田さんに教えていただきます。

【問題に直面したときにゆっくり上手に悩む練習法を禅の考え方をヒントにご紹介します】

気になること、悩みの種は、人によって千差万別。「心配事は生きているかぎり、いろんな形で訪れ、避けて通ることはできません。大切なことは、その心配事にどう向き合い、行動するか。ここでは禅の考え方をヒントに、問題に直面したときのゆっくり上手に悩む練習法を紹介します。今あるあなたの問題が即座に解決するような“解答集”ではありませんが、問題への向き合い方の参考になるはずです」

【悩みを相談した気にしすぎママたち】

自信梨江さん:いつも自信が持てず、他人のささいな言動でも気になる新米ママ。

失敗嫌未さん:失敗することが耐えられず、常に完璧でいたいワーキングウーマン。

未来恐子さん:まだ起きていないことを、ついアレコレ心配してしまう2児のママ。

「ママ会」でのお悩み


「その場は楽しんだ気でいても、家に帰ってきて『いいすぎたかな』とか、『よけいなことをやったかも』とすごく気になることがあります……」(自信梨江さん)

あぁ、ちょっといいすぎちゃったかしら……


【禅のヒント】その心配事は自分でつくり出したもの。思い切って友達に直接聞いてみましょう。ただの取り越し苦労だと気づくはずですよ。

これは、自分がつくり出している悩みの種。「現実」と「想像」の区別がつかなくなっている可能性があります。このタイプは、自信がなく、逆に心配事をいつも探していたり、物事に“気遣えない自分”でいることが心配、という人。この際、思い切ってママ友に「私、何かやりすぎてなかった?」と聞いたりして、現実に触れてみてはどうでしょうか。

「人から言われたこと」に関するお悩み


「上司に注意されたり、友達から少しキツイことをいわれただけで、クヨクヨと悩んでしまう私。そのあとも気持ちの切り替えができずに何日も引きずってしまいます……」(失敗嫌未さん)

あんなこといわれちゃうなんて、どーして?


【禅のヒント】まずは、クヨクヨしている自分を許すこと。そして、やるべきことをこなしていけば、いつの間にか悩み事も忘れるものです。

無理に気持ちを切り替えようとすると、かえってその問題がいつまでも気にかかるもの。まずは、「クヨクヨしてもいい、気にしてもいい」と、自分を許してあげましょう。すると、悩み事でいっぱいになっていた心に余裕が生まれます。そして、クヨクヨしながらでも、家事や仕事に集中すれば、気づいたら悩み事を忘れていたりするものです。

「仕事」でのお悩み


「クライアントや目上の人にメールをするとき、ことばづかいやいい回しなど、必要以上に考えすぎて疲れてしまいます。また、返信が遅いと、気になってしかたがありません」(失敗嫌未さん)

は~、メールひとつ送るのも気遣


【禅のヒント】他人からの評価が気になっているのでは? 相手はあなたが思うほど気にしていません。自分の価値は自分自身で見いだすものです。

他人に気を遣いすぎるのは、あなた自身が、必要以上に相手を恐れているからではないでしょうか。実際、相手はそれほど、気にしていないものです。あるいは、相手に評価されたい、という思いが根底にあるのかもしれません。自分の存在価値は、他人からではなく、自分自身で見いだすものといい聞かせ、やるべきことを黙々と行なっていきましょう。

「子どものこと」に関するお悩み


「子どものことが心配。いじめられていないか、悪い遊びを覚えていないか、知らない大人が近寄ってきていないか、まだ起きてもいないことが気になってしまいます」(未来恐子さん)

この子たち、大丈夫かしら? 心配だわ


【禅のヒント】未来をつくっているのは、現在です。子どもの将来を心配するなら、今の姿をしっかり見て、気にかけてください。

未来は現在がつくり出すものです。私たちは未来を思い煩って現在をおろそかにしがち。だから、心配していた未来が現実になることがあるのです。まだ起きていない子どもの未来のことを心配するよりも、今の子どもの姿をよく見て、気にかけたほうがいいでしょう。それでもし、よくないことが起きているなら、対処すればよいだけなのです。

「自分のこと」に関するお悩み


「家事や仕事をうまくこなせない自分を受け入れられず、自己嫌悪に陥ってしまいます。理想の自分と現実の自分に差がありすぎて、気になって眠れません」(自信梨江さん)

仕事も家事もうまくこなせない私って…


【禅のヒント】「こうあるべき、こうしなければ」と高い理想に押し潰されていませんか? 自分で自分をほめてあげる癖をつけて。

あなたはもしかすると、「よき妻、よき母でいなければ」と、自分が設定したにすぎない高すぎる理想に押しつぶされている可能性が。理想が高すぎると、自分を否定的に見てしまうもの。それでは自分がかわいそうですよ。できないことではなく、実際にできていることに目を向けて、自分を褒めてあげる癖をつけましょう。

禅のヒントを読んでいるだけで、ザワついていた心がスーッとラクになるから不思議! ああ、どうしよう…と、気にしすぎてしまったら、「キホンの3ステップ」を思い出し、少しでも心をラクにしたいですね。

撮影(藤田さんのみ)=後藤利江 編集協力=オフィス・エール

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Information

教えてくれたのは:藤田一照さん
曹洞宗僧侶。東京大学卒。29歳で僧侶となり、33歳で渡米し、禅指導を行なう。現在は神奈川県葉山にて坐禅の研究、指導に当たる。著書に『「禅トレ」で生きるのがラクになる』(世界文化社)など。


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