習い事はいくつさせればいい?どう選べばいいの?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第14回目のお悩みはこちら。

 


【お悩み】


年長の息子の習い事についての相談です。今は英語とそろばん教室に通っているのですが、さらに、公文やピアノや体操など、お友達がやっているものすべてを「やってみたい!」と言ってきます。試しに連れて行ってみようとは思っているのですが、このまま「全部やりたい!」となってしまったら、正直どうしたものかと…。本人にやる気があるのはいいことだと思うのですが、実際問題として、仕事もあるので、そんなにたくさん連れて行くことはできません。もし、「どれもやりたい!」となってしまったら、どういう基準で判断すればよいでしょうか?(和歌さん・44歳)

【小川先生の回答】


■子どもはボーっとしている時間に学んだことを体得していく

いろいろなことに興味を持つ、好奇心旺盛なお子さんですね。それはとても素晴らしいことだと思うので、試してみるのは構わないと思います。ただ、習い事を考えるうえで、気をつけなくてはいけないことは、やったらやった分だけ、身につくものではないということです。子どもが習ったことや勉強したことを身につけるには、何もしていないボーっとしている時間というのが絶対に必要です。例えば、リビングでゴロゴロしながら「今日の英語で習った歌はおもしろかったな」と思い返すなど、空白の時間があることで、体験したことを自分のものにしていくことができるのです。つまり、スケジュールを詰め込み過ぎてしまうと、習ったことを思い出しながらボーっとする時間が取れず、習ったことが身に付きません。そう考えると、習い事は多くても4つが限度かと思われます。

■習い事は内容より夢中になれるかに価値がある

そのうえで、習い事をいくつに絞るかは、それぞれのご家庭の事情で決めてしまいましょう。やりたいことが6つあったとしても、「うちでは3つまでしか連れて行ってあげられないよ」でいいと思います。たくさんの習い事をさせているご家庭をみて、やらせないことに対する罪悪感を持っている親御さんも多いようですが、それは違います。ボーっとさせないほうが、よっぽど子どもにとってまずい状況です。“何でもやらせてあげたほうが親としてがんばれている”という発想は捨てましょう。はっきり言ってしまえば、“習い事はさせない”という選択でも、全く問題ありません。そのぶん親子で一緒にいる時間が増えるのであれば、それは子どもにとって大いに実りある時間となるでしょう。

そしてどの習い事を選ぶかは、本人に任せるのが一番です。なぜなら、習い事というのは、その内容に価値があるのではなく、子どもが夢中になる体験そのものに意味があるからです。いくら“教育によい”と言われるものであっても、その子が興味を持って取り組まなければ、得られるものは少なくなります。ですから習い事は、子ども目線で選ばせてあげましょう。

くり返しになりますが、家庭の事情・家庭の判断で習い事の数を絞り込んだからといって、子どもの成長にとって不利になるということはありません。ご自身がお子さんに注ぐ愛情の深さに自信をもって、選んであげましょう。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

この記事に共感したら

おすすめ読みもの(PR)