本を読まず漫画ばかりの小学校5年生の娘。どうすれば?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

梨花さんもInstagramで大絶賛の子育て本「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第17回目のお悩みはこちら。

 


【お悩み】


小5の娘は自称本好き。学校の休み時間には図書室によく行っているようなのですが、借りてくるものといえば漫画か、動物図鑑ばかりです。もう小学校高学年なので、できれば文学作品とかも読んでもらいたいのですが、娘に言わせると「文章ばかりだと読む気がしない」とのこと。伝記や歴史ものなども、漫画でしか読みません。本くらい好きなものを読ませてあげたい気はするので、今のところ口出しはしていないのですが、内心はそれ以外も読んで欲しいとモヤモヤしています。(悩む母さん・45歳)

【小川先生の回答】


■イヤイヤ読んだものは身につかない

漫画でも図鑑でも、好きなものを自発的に読むことは、立派な読書体験です。お子さんにとって、有意義な時間となるはずで、心配する必要は皆無です。

どちらかといえば、モヤモヤしてしまうお母さんのほうが気になります。そのモヤモヤの原因は、おそらく“高尚な文学作品をたくさん読むことで、国語力につなげたい”というような目的意識を持ってしまっているからではないでしょうか? もしそうであれば、その発想はまず変えたほうがいいですね。なぜなら、同じ本を読んだとしても、読みながら自分で考えたり、感じたり、想像したりする熱量によって、その人にとっての読書体験の意味は変わってくるからです。

たとえ100冊読んだとしても、ただ修行のように読んだだけで心が動かなければ、なんのプラスにもなりません。逆に数は少なくても、1冊1冊をすごく興味を持って読めば、そこから得られるものは大きくなります。大切なのは、本人の気持ちが乗った状態での読書かどうかなのです。

■本を読めば国語力は上がるのか?

巷には、「1年間で300冊読ませました」というような英才児アピールをする親御さんもいらっしゃいますが、そういう話には引きずられないほうが賢明です。人間はパソコンやスマホとは違うので、300冊読んだからといって、300個のアプリを入れたように優秀になるとは限りません。『本をたくさん読ませる=国語力が高くなる』という公式は成り立たないのです。

とはいえ、本好きで自発的にたくさん読む子は、国語力が高くなる傾向にあることは確かです。それは、言葉や、ストーリーや人間の行動パターンを多く知っているため、そのぶん理解力が高くなるからです。

様々な言葉やモノが登場するのは、漫画でも図鑑でも同じこと。要は、本人が夢中になってその世界に浸ることができれば、それは有意義な読書体験になります。ちなみに私は「物知り」と言っていただけることが多いのですが、知識の10%以上は間違いなく漫画とアニメから得ています。そういうものです。

また、“本を読む”という形式にこだわらず、オーディオブックで聞き流したり、テレビを見たりすることでも、自発的な興味さえあれば、同じような体験はできます。本というのは、ひとつの優れたツールではありますが、絶対的なものではない。それを知っておくと、もっと自由に読書を楽しめるようになれるのではないでしょうか。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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