答えはいつも「理由はない」。自分の気持ちを言葉で説明できない小2男子【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

梨花さんもInstagramで大絶賛の子育て本「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第20回目のお悩みはこちら。

 


【お悩み】


小学2年生になる長男ですが、自分の気持ちや状況を言葉でうまく説明することができません。先日も学校で、失くした鍵を探していて、体育の授業に遅れてしまったのですが、そのとき先生に「何で遅刻したの?」と聞かれて、「思い出せません」と答えたそうです。「困っているなら先生にちゃんと相談すればいいんだよ」と言ったのですが、「理由を思い出せなかった」の一点張り。また、学校でも家でも、「何でそんなことをするの?」「何でやらないの?」などと怒られると、いつも「理由はない」と答えるか、黙り込んでしまうかのどちらかです。何かしらの気持ちや理由があってやっているとは思うのですが、どうしてもそれを言葉で人に伝えることが難しいようです。どのようにすればいいでしょう?(ゆさん・35歳)

【小川先生の回答】


■「何で?」ではなく「何があったの?」と聞こう

お話を聞いているとなんとなく、学校の先生もお母さんも「何で?」が多いような気がします。子どもに対して「何で?」というのは、責めることにしかならないので、できれば使わないほうがいい。相当に言葉が使えるような年齢になってからでないと、「何で?」に回答するのは正直難しいです。「何で?」と問われても、子どもはうまく説明できないから、止まってしまう。そこで更に「ちゃんと説明してくれないとわからないよ」なんて畳みかけられたら、「じゃあもう、何もなかったことにしておこう」と思ってしまうのも無理はありません。それが、「理由はない」「思い出せない」発言につながっているのではないでしょうか。ですから、大人の聞き方を変えてあげる必要があります。「何で?」ではなく、「何があったの?」。その方が、責め立てられている印象も受けず、子どもは答えやすくなるはずです。

■“感情カード”と数直線で、状況や気持ちを整理する練習を

学校でうまく説明できなかったときは、「本当はどう言いたかったのかな?」と後追いでいいので、おうちでゆっくり話を聞いてあげてください。その際にオススメなのが、『感情カード』。笑顔、泣き顔、怒っている顔などの絵を描き、それぞれに“嬉しい”“悲しい”“腹が立つ・悔しい”などの言葉を併記したカードです。お子さんはまだ、感情と言葉のつなぎ合わせの部分の引き出しが十分ではないようなので、言葉で説明させるより、絵を使うほうがやりやすいと思います。感情カードを並べることで、そのときの気持ちを言葉で確かめていく練習を積んでいくと、気持ちと言葉のつなぎ合わせがスムーズになっていきますよ。また、状況を説明するには、物事を時間の流れ順に整理する力も必要になります。話を聞いてあげるときは数直線を書き、出来事を時系列で書き出しながら、そのときの気持ちを教えてもらうようにしましょう。感情カードと数直線を併用することで、子どもの中でぐちゃぐちゃになっていたものが整理され、明確になります。そのうえで、「じゃあ今度はこう言ってみよう」とか、「忘れ物をしたときはこう言おう」というように、予行演習を重ねていけばいいだけ。今までお子さんは「何で?」に答えられず委縮してしまっていたと思うので、練習通りに答えられれば、きっと自信を取り戻せるはずです。そうすれば、自分の気持ちを伝えることに、もっと前向きになれると思いますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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