「母ちゃん、ゲイに生まれてごめんなさい」の衝撃。毒母との確執、飛び込んだゲイ風俗…そして作家へ。もちぎさんの生きる道

#くらし 

Twitterに投稿したノンフィクションマンガ「母ちゃん、ゲイに生まれてごめんなさい」が反響を呼び、書籍化された衝撃作「ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。」。

父は精神障害で自殺。貧乏に耐えられず家族に当たる母との苦しい暮らしの中、高校卒業直前に母にゲイであることを知られたもちぎさんが自由に生きたいと家出し、ゲイ風俗業界へ飛び込みます。そこで様々な人たちと出会って学んだ経験を詰め込んだ一冊です。

現在Twitterフォロワー数約54万人超え、レタスクラブで短期配信したエピソードが100万PV以上、2019年11月に文藝春秋から「あたいと他の愛」も刊行。年齢、男女問わず関心を集める著者・もちぎさんにお話をお聞きしました。

生きづらさを抱える全ての人の心に響くメッセージです!

中卒の母が恥ずかしいのか?高校も行ってほしくない…。日常的に当たり散らす母、そして家出


出典:ゲイ風俗のもちぎさん


 Twitterに投稿した「母ちゃんゲイに生まれてごめんなさい」に大反響が。現在フォロワー数は54万人以上


ーー「ゲイ風俗のもちぎさん」は、携帯電話を見られたことから¨母ちゃん¨にゲイだと知られ、罵られ暴力をふるわれ、高校卒業直前に家出をする、という衝撃のプロローグから始まります。普段から「当てつけか?中卒の母親が恥ずかしいのか?」「ほんとは高校もいってほしくない」などの言葉の暴力や、時には包丁も突き付けられ…。もちぎさんから見たお母さまはどのような言葉が一番当てはまる方なのでしょうか。

「うちの母は少女でした。等身大で、あたいと同じ視点で喧嘩して、好きなものを楽しむ人間でした。こう書くと童心を持つ親のように聞こえますが、そうではなく子どもだということです。まるで子ども時代を奪われてしまったまま大人になってしまった人間の抵抗のようでした。彼女の人生全てを知っているわけじゃないから、なんとも言えないですが」

出典:ゲイ風俗のもちぎさん


ーー家を出ることについては、いつごろからどのように考えていらっしゃったのでしょうか?高校卒業までわずか3か月との記述がありましたが、衝動的だったのか計画的だったのか…?

「ある意味計画はしていましたが、予測しない出来事で時期がずれてしまいました。というより家を出ざるを得なくなって行動に移せたという感じでした」

ーーお友達の家など他の「お母さん」と交流した時に「うちの母親は普通と違うかもしれない」と感じたことはあったのでしょうか。

「他の家と比べても、自分の家とは違うってだけで、そこに優劣は感じませんでした。他の家もそれぞれ複雑な事情を抱えている人もいたので。ただ、家で揚げ物を食べたことがないと言った時に友達から哀れんで見られたり、高校には姉がお金を出してくれないと行けなかったということにはみんなにドン引きされて、自分の家の中にあるおかしさを再確認しました」

男友達の「ホモって気持ち悪りぃ」に、躊躇なく「あたいホモだけど」


ーー小さいころのもちぎさんは、改めて今考えると、どんな性格のお子さんでしたか。

「大胆のように見えて自暴自棄で、人を頼れない子どもでした。自己肯定感も低く、友達には恵まれましたが滅多に相談することもなく、ボーッとしてました。諦めて生きていたので」

ーーそんなもちぎさんが高校生の時、男友達から「ホモって気持ち悪い」と言われた時、躊躇なく「あたいホモだけど」と伝えています。一般的には特に同性の友人には隠す方も多いとは思うのですが、そのような態度や気持ちでいられたのにはどんな理由があったのでしょうか。

出典:ゲイ風俗のもちぎさん


出典:ゲイ風俗のもちぎさん


「ゲイであることに特に後悔や不安を感じなかったのは自分の振る舞いが女性的ではなく、ある種ノンケに擬態できていたからです。よくゲイ友達が子どもの頃に女性的だといじめられたと聞きました。自分にはたまたまそれが無くて、その手の悩みを持つことがなかっただけでした。また、ゲイだと打ち明けられたのも、高3で学校を休みまくってもいい時期だったこと、そしてすでに他の友人にカミングアウトできていたためです」

ーーもちぎさんに告白してきたことをきっかけにゲイとカミングアウトしていた同級生の女友達の存在も大きかったのですね。

世の流れがディープな話を発信する後押しに


ーーご自身の体験したことを描こうとしたきっかけを教えてください。

「世の流れと、自分の意見を発信するための土壌が合致したと感じたからです。同性パートナーシップの報道や、おっさんずラブなどの人気ドラマの台頭により、ゲイ業界のディープな世界を伝えるための場所が揃ったと思いました。伝えるなら真剣に見たものを全て伝えたかったので、絵を練習しはじめ、最初はボールペンでメモ帳に漫画を描いて投稿していました」

ーーそれがいまにつながるんですね。いわゆる「毒親」や「父親の自殺」などもちぎさんの生い立ちは一般的に見てかなりハードなものだと思うのですが、作品を通して描かれる「もちぎさん」には悲壮感は感じられません。ものすごく客観的に見ていらっしゃるというか…。

「いまも客観的に見れていないかな、という部分は多いですが、発信をする前以上に、いま現在発信を続け、色んな人からコメントや反応をもらってさらに客観視することができるようになったり、見返す力が養われていると感じます」

さまざまな人との出会い、そして初恋の先生の存在


ーー「ゲイ風俗のもちぎさん」には、さまざまな登場人物とのエピソードが出てきます。ご自身で特に印象的なエピソードを教えてください。

「店長にはよく叱られていたのですが、特に母親に復讐心を持っていることを叱られました。その動機で努力を始めてもいいが、ずっと母親に囚われて生きるなと怒られました。その時の冷静さと自分の人生に向き合う姿勢はいまも忘れないように、時々思い出して気を引き締めています」

出典:ゲイ風俗のもちぎさん


ーー初恋の中学校の先生のエピソードに泣いてしまいました。先生との出会いやかけられた言葉で印象に一番印象に残っていることがあれば教えていただきたいのですが。また、いまのもちぎさんにどのような影響を与えてくれたのでしょうか?

出典:ゲイ風俗のもちぎさん


出典:ゲイ風俗のもちぎさん


「たくさんありすぎて言葉が選べないです。ただあの人が放課後あたいのためにずっと残ってくれて、それでも『教え子はみんな俺を忘れる。でもそれでいい』と言ってるのが一番悲しく覚えています。先生はあたいにとっていまも先生で、忘れられない存在です。文藝春秋社の『あたいと他の愛』にて再会のエピソードを描いています」

もちぎとしてのエッセイの最後の発信は“再会”。もちぎさんのこれから


ーーレタスクラブニュースで配信した時、主婦層からの反響としてあったのが、「自分も¨毒親¨になってしまう可能性があるかもしれない」「子どものセクシュアリティを尊重できるかどうかわからない」という声もありました。

「いますぐ理解したり、完全に対応できるように身構えることもないと思います。人はすぐには変われないし、準備しててもその通りにカラダが動くとは限りません。みんなでのんびりやっていきましょ。失敗も拒否も、すぐには挽回できないし、撤回もする必要が無いと思います」

ーーTwitterや著書の読者からどんな反応をいただくことが多いですか? 心に残ったファンからのメッセージなどもあれば教えてください。

「それは秘密です。あたいにだけ伝える手段で話してくれているみなさまは、みんな赤裸々に心の内を吐露してくれていて、あたいはその信頼と関係がとても誇らしく思っています。全部嬉しく見させてもらっていますが秘密です」

出典:ゲイ風俗のもちぎさん


ーー母ちゃんには10年以上会っていないと描かれていましたが、この先についてはいかがでしょうか?

「もちぎとしてのエッセイの最後の発信は“再会”にしようと思っています。それがどんな結果になろうとも再会したという選択を取ったことを皆さんに伝えたいです」

今後発信していきたいことを伺ったところ「自分の話だけでなく、みんなとこれからの話をしたいと思っています」と語ってくれたもちぎさん。もちぎさんの生き方、活動からますます目が離せません。

文=宇都宮薫

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