息子の字が汚くて読めない! どうしたらきれいに書けるようになる?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第30回目のお悩みはこちら。

 


【お悩み】


小学2年の息子は、字がきれいに書けません。一字ずつ丁寧に書かずに急いで書いていて、読めない字も多々あります。字が汚くなった原因として思い当たるのは、年中から始めた公文。幼少期から常に動き回っている落ち着きのない性格だったので、少しでも座る練習をと思い始めたのですが、公文の“早く正確に問題を解かせる”やり方に、だんだん急いで書くクセがつき、字も汚くなってしまいました。親としては、公文を辞めて、ゆっくり丁寧に勉強する方向へ変えていきたいのですが、本人は楽しいので辞めたくないと言っています。将来、中学受験も検討したいと思っておりますが、あまりの字の汚さにそれどころではない状態です。なんとか直そうと、ひらがなやカタカナのドリルで練習しましたが、効果や変化が見られず…。鉛筆の持ち方を正すため、補助具のようなものも試しましたが、それも効果ありませんでした。学校の先生にも相談して、丁寧に書くよう促してくれるようになったのですが、変化なし。最近では、親からも先生からも字を丁寧に書くように言われ過ぎて、嫌になってきたのか、聞き流しているようにも見えます。どうすればいいのか、もう打つ手が考えられません。何かよい解決法があれば、アドバイスをいただきたいです。(匿名さん・41歳)

【小川先生の回答】


■“丁寧に書く”ことはどういうことかを体験させる

親御さんや先生がおっしゃっている「丁寧に書きましょう」という指示は、低学年の子にはまだ通じません。お子さんは別に、“丁寧じゃなく”書いているつもりはないはず。“丁寧に書く”ということがどういうことか、実感として持っていないため、言われてもどうすればいいかわからないのでしょう。それなのにみんなから「丁寧に」と注意されれば、嫌になってしまいますよね。

ですから教え方としては、言葉ではなく、実体験として“丁寧に書けた”状態を作ってあげることです。本人が書いた文字と、お手本の文字を横並びにして、「形としてどこが違うと思う?」「もうちょっとここの形を変えてみようか」というように、正しく書けるようサポートしてあげましょう。そして実際に書けたら「できたね。丁寧に書けているよね」とほめてください。そうすれば、“丁寧に書くというのはこういうことだ”と、お子さんも実感できるはずです。

■正しい字形が頭に浮かんでいない可能性も

文字を書く際、どのように書いているかというと、頭の中に字形が浮かび、それを紙の上に再現しようとして手が動きます。つまり、そもそも浮かんでいる字形が崩れていれば、正しく書くことは不可能なのです。そのため、視力が急激に落ちると、文字の乱れもすぐに起きます。きちんと見えていないのですから、書けないのは当然ですよね。

このお子さんの場合、“だんだん字が汚くなってきた”というのがポイントでしょう。おそらく、書きなぐった自分の字を見ているうちに、だんだん“その字でいい”というように、頭の中の文字の形がすり替わっていったのではないでしょうか。整った文字自体が頭の中に浮かばなくなっている状態なので、まずは、お手本の字をなぞらせて、正しい字形をインプットしてあげることが効果的です。また、手や指の動かし方を定着させるには、まっすぐな線やキレイな円を描く練習を。横線、縦線、三角形、円の4パターンをしっかり書けるようになれば、字もとても読みやすくなるはずです。

もうひとつ気になったのが、書くときの姿勢です。じっと座っていることが苦手ということなので、書くときもモゾモゾしながら書いていたりしないでしょうか? 体がしょっちゅう動いていると、目の角度もブレてしまうので、正しい字形を認識できません。書くときは正面を向いて書くことが鉄則。「動きたくなったら手を止めて動いていいから、書くときは正面で書こうね」というのを練習させてあげましょう。それだけでも、随分変わる気がしますよ。

■字のキレイさは中学受験にも関係する

中学受験を考えているということですが、字のきれいさと中学受験は確かに関係があります。でもそれは、字が汚くて読んでもらえないという意味ではありません。字が汚い子というのは、文字や形を認識する目から脳に届くところで、何かうまくいっていない可能性があり、そういった点で学力に影響が出やすいのです。観察したものをうまく捉えられないわけですから、図形なども書けない可能性があり、それは算数の力にも直結します。つまり、字が汚いから学力に影響するのではなく、学習上何かつっかかりがあるのが、字の汚さに表れる場合があるということです。そういう可能性を知っておき、字をうまく書けない本人なりの原因を早いうちに理解してあげることで、勉強しやすいお手伝いもできると思います。お子さんの場合は、だんだん汚くなってきたということで、練習すれば元に戻ると思いますが、念のため、一度視力検査をしてもいいかもしれません。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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