行動が遅い息子に時間を意識して行動させるには?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第33回目のお悩みはこちら。

 行動が遅い息子に時間を意識して行動させるには?【小川大介先生の子育てよろず相談室】


【お悩み】


小学2年の長男の、行動がとても遅いことに悩んでいます。周りのことが気になって、自分のすることが遅れることが多いようです。自分ができていないのに人のお世話をして、注意などもしてしまうため、反感を持たれてトラブルになることも。「自分なりに工夫していたら遅くなった」など、息子にも理由はあるようですが、“急ぐ”ということが頭にないようです。注意されて急ぎだしても、すぐにマイペースに戻ってしまいます。例えば、「遅刻するよ」「一人だけできてないよ」という言葉をかけても急ぎません。担任の先生からも「ほんまなんもできひんなぁ~」と言われたそう。どうしたら、時間を意識して動いたり、“早く終わらせたい!”など前向きに行動できるようになるのでしょうか? せめて時間内に終わらせるようになって欲しいのですが、時間や“早くしないといけない”ということを意識させるには、どうしたらいいか教えてください。(匿名さん・40歳)

【小川先生の回答】


■子どもの言動は大人を映す鏡。子どもへの声かけの見直しを

このお子さんは、“何かを成し遂げること”よりも、“何かをしている最中”のほうが好きなタイプなんだと思います。グループ学習や共同制作など、みんなと一緒に何かをすること、その場に一緒にいることが楽しいので、自分自身を外から見る感覚が、まだ少し乏しいのでしょう。でもそれも、この学年だったら特に問題ないレベルです。自分のことを見ていないから、人のことが見えてしまい、ちょっかいをかけちゃう。おそらく本人としては、相手に注意をするつもりなどなく、単に話を聞きにいっているだけなんでしょう。ただそれが反感を持たれるということは、おそらくこの子に投げかけている大人の言葉に問題がある気がします。「ダメ」とか「できてない」という言葉を、お子さんに対してよく使ってしまっていませんか? 担任の先生の言葉も本当にこの通りだとしたら、指導者としての資質を疑います。大人が否定的な言葉をかけていると、お子さんもお友達に対して「何でそんなことしてるの?」「そんなんでいいの?」「まだなの?」というような言葉を使ってしまいます。お子さんはまだボキャブラリーも少なく、おそらく自分の口に出す言葉の意味をわかっていないと思うので、まずは大人たちが使う言葉を変えることが必要です。

■ゴールイメージを設定し、時間を体感させながら行動させる

「自分なりに工夫していたら遅くなった」という発言を聞くと、確かに息子さんはやり続けることのほうに気持ちが向いていて、完了させるということにはあまり関心がないように思われます。このような子に一定の時間で完成をさせる場合は、ゴールイメージを設定し、何を完成させようとしているのかを明確にしてあげることが大切です。例えば漢字の宿題を1ページ埋めるという宿題があったとしたら、埋まっているページを先に見せます。次に1~2行埋まり切っていない完成手前のページを見せ、残りを埋めるのにどのくらい時間がかかりそうなのかを考えさせます。そして実際に時間を計りながらやってみて、2分かかったとしたら、「これで2分かかるってことは、1ページ全部やるのに20分かかりそうだね」というように、完成までの途中経過を実感させながら、実際にやってみた体の動きと時間とを結びつけてあげるのです。そのうえで初めて、もう少し早くできそうか挑戦させ、タイムが短くなったら、「このテンポでやれば1ページ15分で終わりそうだね」というように、時間内に完成させるイメージを創り上げていきます。時間に伴う進捗具合や疲労度などを体感できるステップを踏ませてあげることで、時間の感覚が身についていくのです。子どもなんですからそのくらい段階を踏んであげないと、できるわけがありません。

このような話をすると、「でも言われなくてもできる子いるじゃないですか?」とおっしゃられる方もおられますが、それは大きな誤解。そういう子は小さい頃から日常の育つ過程で段階的に習ってきているだけです。段階を教えずに「早くしなさい」「まだできてないの?」としか言ってこない大人の元では、子どもは戸惑うばかり。いつまでもできるようにはなりません。「こうすればできるよ」「今のができたっていうんだよ」と、できていることや、どのようにすればできるかを教え、それをすぐにやらせてあげる。その繰り返しで成長していくのですね。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。


文=酒詰明子

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