漫画家清野とおるさん 居酒屋もスナックも飽きたな…じゃあ「怪奇スポットで飲酒しよう」なななんで!?

#くらし 

『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』『その「おこだわり」、俺にもくれよ!』など、問題作を次々と発表し続ける奇才漫画家・清野とおるが友人知人他人から直接聞いた恐るべき「怪談」の数々…。

その怪奇現場に実際に足を運んで「酒」を飲んじゃおう!という「怪奇酒」がいま話題沸騰中!

壇蜜さんとの結婚後初の単行本となる『東京怪奇酒』が発売直後に増刷された清野さんに、「怪奇酒」を始めたきっかけやオバケへの興味などをお聞きしました。そして、「ただ1つ」という今後の野望も教えてくれました。

大反響続々!発売直後に大増刷が決定した『東京怪奇酒』


◆幼少期にあったオカルトブーム。オバケに興味津々なのは子どものころから


--『東京怪奇酒』は、居酒屋でもなくスナックでもなく、「怪奇スポットでお酒を飲む」というテーマが斬新すぎます。そもそもどのような経緯で始まったのですか!?

「昔から心霊モノが好きで、隙あらば自分でも描いてみたいと漠然と思っていました。

そんな時に、ここ最近、長いこと主戦場としていた居酒屋やスナックにいまいち刺激を感じられなくなっている自分がいることに気づいちゃいまして。その上、人と密に関わるスタイルの作風にも若干疲れちゃいまして。

そんなタイミングで『東京ウォーカー』から連載の依頼が来たので、『じゃあいっそ、怪奇スポットに酒を持って飲みに行っちゃえばいいんじゃない?』と思ったんです。ついでにグルメ要素まで入れてみちゃったりして」

--第1話目の「恐怖の303号室」では、オバケが気になって仕方ない清野さんが描かれていましたが、もともと、心霊モノが好きだったのですね。

「興味自体は子どものころから強かったと思います。僕が幼少期を過ごした1980年代には、1970年代から続くオカルトブームの名残がまだ色濃くあって、書店やらオモチャ屋や児童館やらテレビやら、身近なところにオカルトじみたモノが氾濫していました。そんなものに囲まれて育ったことも大きいと思います」

『東京怪奇酒』恐怖の303号室


『東京怪奇酒』恐怖の303号室


◆普通においしかった「全裸の老婆の霊が出る定食屋」


--「怪奇酒」はけっこう頻繁に開催しているんですか?

「この連載を始めるようになってから、だいたい月1回くらいのペース…でしょうか。怪奇情報を耳にして意気揚々と現場に行ってみたものの、特に何も感じなかったり、特に何も起こらなかったりした場合はボツにしちゃいます」

--実際には著書に載っているところ以外にもたくさん行っているんですね!

「提供してもらった怪奇情報も大切ですが、あくまで、怪奇現場で僕自身がどう感じたか、を重視しています。最近ボツにしたエピソードは、『全裸の老婆の霊が出る定食屋』です。怪奇要素が全くない、普通においしい定食屋でした(笑)」

--「怪奇酒」は基本的にお1人で?

「連載当初は、なるべく1人で怪奇現場に臨むように心掛けていましたが、そういえば、最近は誰かしらと一緒に怪奇酒する機会が多い気がします。得られる『恐怖』や『刺激』は半減しますが、1人では気づけないことに気づけたり、お互いが持っている怪談を怪奇現場で披露しあったりと、『楽しさ』に関しては1人よりも倍増するように思えます。

それと、1人でいる時に『今のは怪異かな?』と思うような事象があっても、どうしても確信が持てなくて、気のせいだと思ったり、スルーしてしまいがちなので、そんな時に自分以外の誰かがいてその事象を共有できれば、怪異への信憑性や現実味も高まって、冷静に客観視もできて、漫画にも描きやすくはなります。

まあ、それでもやっぱり、『一人怪奇酒』も率先してヤっていきたいとは思っています。『まんがか』として、『にんげん』として、レベルアップするためにです」

発売直後に大増刷が決定した『東京怪奇酒』恐怖の303号室


◆最近は『ギャーーー!!!!』の叫び声が聞こえる新宿のとあるマンションが気になって…『ギャー酒』狙ってます


--「怪奇酒」をしに行く場所の情報は、居酒屋のお客や知り合いの編集者などから入手されているそうですが、フォロワーさんやファンなどから情報が寄せられることも?

「たまにメールで長文の情報をいただくことはあります。

その場合、メールの段階で気になったことやディテールなどをツンツン突かせていただき、僕の中での現実味が高まってきたら、ご本人に直接お会いして、さらにディテールをツンツンとほじくらせていただきます。それから実際に現地へと足を運びます。あ、もちろん、お酒片手に、ですよ」

 


--ちなみに、まだ行けていないけれど、気になっている怪奇現場はありますか!?

「新宿区の某マンションです。昼11時30分~12時の間に、若い女性の断末魔の叫び声が聞こえてくる、という知り合いの男性編集さんのエピソードですかね…。飲んでいる席でたまたま聞かせてもらった話なんですけど。

彼の住むマンションの、確実に同じフロアから、数日に1度くらいの頻度で、耳をつんざくような『ギャーーー!!!』が、1日に1度だけ聞こえてくるんですって! 聞こえてくる曜日や頻度はまちまちだけど、時間だけは決まって昼11時30分~12時の間らしいんですよ。

テレビやパソコンなどからの音声ではなく、絶対に生の人間の女性の声らしくて。

けんかやDVなら『ギャー!』の後にも、何かしら悲鳴や叫び声が続くはずなのに、『ギャー!』の後は、いつも決まって無音だそうなんです!同じフロアには自分の部屋以外に2部屋あるらしいのですが、そこに悲鳴をあげそうな若い女性が住んでいる気配もないという…。

『ギャー!』が聞こえた直後、何度か部屋を特定しようとしたものの、毎回異なる方向から聞こえてくるような気がして、結局わからずじまいみたいなんですよね。それだけ大きな悲鳴なら他の住民も何かしらリアクションしてもいいはずなのに、みんな無反応。1度、管理会社に連絡を入れてみたものの、特に対応はしてもらえなかったそうです。

彼は仕事柄、昼過ぎに出社するそうなんですけど、近頃は『ギャー!』が聞こえてきたら、『そろそろ出社時間だな』ってアラーム代わりにしているくらい慣れ始めているらしいですよ。

『ギャー!』の犯人は人か霊かはわからないけど、そのお昼の『ギャー!』を聞きながら男性宅で昼酒をあおりたいなと思っていまして。でも、その男性曰くここ数週間は聞いていないらしく、行ったところでピンポイントで『ギャー酒』をできる可能性も低いので、いまだに行けていません。

あと何より…そこまで積極的に取材をされたくなさそうな雰囲気なんですよね。

まあ出社前の自宅で、僕みたいなカルトサイコパス漫画家に飲酒されるのは、誰だってはた迷惑でしょうけど…(笑)」

--おぉぉ、なかなかの怪奇っぷりですね…!ぜひ読みたいです! 

◆東京ウォーカー編集長が唐突に語ってきた「怪奇酒スポット」ベストスポット


--ちなみに、著書の中で特に印象に残っている「怪奇酒スポット」ベスト1はどこですか?

「どのスポットもたいへん印象深いのですが、強いてひとつ挙げるとすれば…『東京ウォーカー』編集長・加藤さんの『幻の大仏』でしょうか。連載開始前までは『自分には怪奇じみたエピソードは一切ない』と言っていた加藤さんが、ある日一緒に飲んでいる時に『あ、そういえば…』と言って、唐突にすごい怪奇体験を披露してくれたんです。

怪奇現象に懐疑的な加藤さんでさえこんなエピソードを持っているってことは、そのへんにいる人たちもみんな全員、何かしらの怪奇エピソード持っているんじゃないの? と、希望を持たせてもくれました。大仏が出現した公園の歴史を探る作業や、現場での飲酒など、いま振り返ってもワクワクします」

『東京怪奇酒』幻の大仏


◆死んじゃった理由、オバケになってしまった経緯などを全部聞きたい


--東京近郊だけでなく、地方や海外などでも「怪奇酒」の可能性があるのかな!? と、一読者として楽しみにしているのですが、いかがですか?

「そもそもパスポートを持っていないので、海外は行きません。地方は、取材に値する怪談情報があれば、行ってみたいですね。あ、そういえば今年の1月に『怪奇酒』の取材で静岡に行ってきました。なかなか怖い思いをしましたよ!」

ーー結果、オバケには会えたのでしょうか?

「信じたい気持ちはあるのですが、明確にオバケを見た経験がないので、実は、いまだに半信半疑です。100%信じるためにも、やはり一度はオバケを目撃する必要があるんですよね」

--まだ明確にオバケを見たことがないとのことですが、「怪奇酒」をしている真っ最中にオバケと話せることになったとしたら、どうします!?

「直球でいろいろ聞いてみたいですね。死んじゃった経緯とか、そこからオバケになってしまった経緯とか。はたまた、オバケの日々ってどんな感じなのかとか、生前のプライベートな話とか、もういろいろ、たくさん。全部です」

--最後に、「怪奇酒」を楽しむためのメッセージなどをお願いします。また、今後の野望などはありますか? 清野さんが主催する「怪奇酒街コン」なんて楽しそうなんですけど!

「『怪奇酒』を提唱するつもりは毛頭ありませんが、もし読者の方でまねされる方がいらっしゃるなら、近隣住民の迷惑にだけはならないように心掛けてほしいですね。街角で飲酒するケースが多いので、なるべく少人数で。3人以上は避けてもらいたいところですね。『街コン』だなんて、冗談じゃありません(笑)。

今後の野望はただ1つ、『オバケを見ること』だけです!『怪奇酒』連載中にオバケを見られたらうれしいですね」

取材・文=岡田知子(BLOOM)

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●清野とおる/東京都北区赤羽在住の中年漫画家。『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』(双葉社)『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(講談社)、『ゴハンスキー』(扶桑社)など、問題作を次々と発表し続ける。
▶Twitter:@seeeeeeeeeeeeno

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