塾を変えたいけど、息子は拒否。強制的に辞めさせていい?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

Amazonでも好評価の書籍『頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第34回目のお悩みはこちら。

塾を変えたいけど、息子は拒否。強制的に辞めさせていい?【小川大介先生の子育てよろず相談室】


【お悩み】


10歳の息子は、中学受験するための塾に通っているのですが、なかなかクラスが上がりません。塾の問題ができないと親も怒ってしまい、子どもにもストレスがかかってやる気を失くしてしまうと思うので、このまま続けていても悪循環な気がしています。私としてはもう塾を辞めさせたいと思っているのですが、子どもは辞めたくないそう。本人が辞めたくないと言っているのを強制的に辞めさせてもよいのでしょうか? 学校の勉強に添った塾に変更したほうがいいのか悩んでいます。(トマトさん・45歳)

【小川先生の回答】


強制的に辞めさせることは絶対NG


まずはお子さんがなぜ塾を続けたがっているのか、できるだけ多くその理由を理解してあげましょう。

お友達が通っているから一緒にいたいのかもしれないし、塾をやめることが“自分がダメな人間”と決定されてしまう気がして怖いのかもしれない。学校の授業よりわかりやすくて楽しいのかもしれないし、“もうちょっとがんばれる自分”というのを確認したい思いがあるのかもしれない。

なぜ通いたいのかを一面的に決めつけるのではなく、いろんな理由を考えて、その気持ちに寄り添ってあげてください。続けたいと願っていることを、親の勝手な考えだけで辞めさせてしまうのは、子どもにとってマイナスにしかなりません。

転塾よりも勉強の技術を身につけさせてあげよう


ひとつ気になったのは、親御さんの“クラスが上がらないから”という考え方。この言葉には、他の子と比べて子どもに対してあれこれ言ってしまっている親御さんのクセが感じられます。お子さん自身の努力や、お子さん自身ができることにちゃんと目を向けられているかを見つめ直してみましょう。

塾に行って勉強している時点で、お子さんなりにがんばっていることは間違いありません。ただ点数がとれるまでのやりきりができていなかったり、やり方を知らなかったりなど、勉強の技術が身についていないのだと思われます。

こういう子は結構多くて、わからないときに「だって習ってないもん」などと平気で言ってしまう子は、まさしくそう。調べたり、聞いたり、今まで習ったものの組み合わせで考えてみたりなど、そういう頭の使い方を知らないからこその発言です。勉強の仕方が身についていなければ、例え学校の勉強に添った塾に変えたとしても、単に扱う内容が簡単になるだけで、本当の意味での解決にはなりません。

肝心なのは、考え方、調べ方など勉強の技術を教えてあげることです。その方法については、拙著『親も子も幸せになるはじめての中学受験』(CCCメディアハウス)にも詳しく書いてありますので、よろしかったら参考にしてください。

家族の会話を増やして、ひとりで抱え込まない


お悩みの文面を拝見していると、お子さんをどう伸ばしてあげればいいのか、一人で悩みモヤモヤしている様子が見受けられます。もしかしたら「クラスが上がらないから」という言葉のチョイスも、お母さんの余裕のなさの表れなのかもしれませんね。

本心としては、受験勉強というのがお子さんの今の状況には合っていないから、もう少しゆったりした塾で、遊びや本人の好きなことをやらせてあげたいとお考えなのかもしれない。そうであれば、「できていないから」「クラスが上がらないから」という言い方ではなく、“どんなことに時間を使うのが一番楽しいか”という会話をお子さんとすればいい。否定ではなく、子どもを応援するための会話であれば、お子さんの拒絶反応もなくなると思います。

また、自分だけで抱え込まず、夫婦の会話も増やすといいでしょう。どんなふうにしたらお子さんの良さが伸びそうか、どんな環境が合っていると思うかなど、お子さんの今後のビジョンについてご夫婦で話し合い、コンセンサスをとっておくと、迷ったときの指針になりますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。


文=酒詰明子

この記事に共感したら

Information

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

LINEお友だち追加バナー

おすすめ読みもの(PR)

プレゼント企画

プレゼント応募

\\ メルマガ登録で毎週プレゼント情報が届く //