YouTubeにドハマりな息子が心配です。上手な付き合い方を学んでもらうには?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第35回目のお悩みはこちら。

YouTubeにドハマりな息子が心配です。上手な付き合い方を学んでもらうには?【小川大介先生の子育てよろず相談室】


【お悩み】


小2の息子は、最近YouTubeにどっぷりハマっています。宿題をやってても「終わったら見ていい?」とか、外出しているときも「早く帰って見たい」というように、常に見たい欲求がある状況です。1日1時間と決めているのですが、時間になっても「あと少しで終わるから」と言ってなかなかやめません。周りのお子さんの話を聞くと、3時間ぶっ続けで見ていたり、休みの日は一日中ついていたりするご家庭もあるようで、今はそういう時代なのかなとも思いますが、やはり私としては“それはおかしい”という気持ちが。一般的なYouTubeとの付き合い方と、自分の気持ちとの折り合いがつかずにモヤモヤしています。

それが子どもにもよくない感情として伝わってしまい、「ママはどうしてわかってくれないの?」「どうして好きにさせてくれないの?」という反感につながっている気もします。今の時代、YouTubeやスマホを触らずに生きていける子はいないと思うので、取り上げるのではなく、うまく付き合っていく方法を学んで欲しいと思っているのですが、そのためにはどうしたらいいのでしょう。(ayaさん・33歳)

【小川先生の回答】


少なくとも小学生の間は、親がコントロールすべき


まず親としての考えの軸として持っておくべきなのは、“YouTubeを使う子に育つのは構わないけど、YouTubeに使われる子にはなって欲しくない”ということです。

多くの生徒さんを見ていての実感として、成績上位層の子たちでYouTubeに振り回されている子はほとんどいません。YouTubeをうまく使って必要な情報のコンテンツを見たり、たまに息抜きすることはあっても、何時間も延々に見続けたりはしていません。YouTubeにものすごくハマっている子ほど、残念ながら学力が伸びていない傾向がみられます。

ですから、YouTubeの見過ぎを親が心配するのは至極まっとうなこと。好きに見させることを子どもの権利や自由と履き違えてはいけません。今の時代、いくらでも流される環境にあるので、やはり親は一定の防波堤になるべき。少なくとも小学生の間など、子どもが自分自身をコントロールできる力を身につけるまでは、親は子どもを守る義務があります。ですから、お子さんが「見たい!」と主張しても、自信を持って制限すべきです。

単に「やめなさい」ではなく、どう育って欲しいのか子育てビジョンを伝える


YouTubeには粗悪なコンテンツも多いですが、中にはいいものもあります。ですから親御さんも少し見てみることをお勧めします。子どもがなぜハマるのか、どんなことに興味を持っているのかをわかってあげたうえで、“でもそこには時間の制約もあるよね”ということを教えてあげたらいいと思います。

もしお子さんが「〇〇君の家ではずっと見せてくれるよ」と言ってきても、「よそはよそ、うちはうち」とはっきり言うことです。どちらが正しいとか間違っているではなく、「お母さんはあなたに、今やるべきことは何かを考えて順番を決められる力を持って欲しいし、何かを始めてもやめる力というのも身につけて欲しいと思っている。だから、そこは譲れない」と、子育てビジョンを言葉にして本人に伝えるのです。

まだ小学校低学年のお子さんには理解できないかもしれませんが、何度でも繰り返し伝えてください。そうすれば親が本気だということはわかります。「いつまで見てるの、やめなさい!」というように現象だけを見て、できているかどうかを言うから、子どもは反発するのです。何の意味があって制限しているのかを、常に真剣に語りかけてください。それは子どもにも確実に響きます。

やめられたら褒めて、その意義の大きさを教える


そしてやめられたときには、ちゃんと褒めてあげることも大切です。

YouTubeを見るのをやめられるということは、例えば勉強でレポートの提出期限があったときでも、見たいテレビを我慢して勉強を優先することができる人になります。それができるかどうかで、レポートを出せるかどうかの結果が左右されるわけですから、“やめられる”ということには大きな意味があります。また仕事においても、期限内にできる人とそうでない人とでは、信頼される度合いは全く違ってきます。

そういったことをすべて話したうえで、「今、YouTubeを見る時間じゃないということで止まれるかどうかは、将来あなたが人から信頼されるか、大事に思ってもらえるかというのに全部つながっているんだよ。だから今YouTubeをやめられたことはホントにえらい!」という褒め方をするといいでしょう。

1つ1つが持つ人生における意味と、愛する我が子の人生を思う親の気持ちというのを伝えていけば、“親はわかってくれない!”と言われることもなくなると思います。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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