狭いコミュニティに潜む闇。ママ友社会のダークサイドを描いたコミックエッセイ『ママ友がこわい』著者インタビュー

#育児・子育て   
挨拶しても無視される


子どもができて初めて直面する「ママ友」問題。ママ友は同年齢の子を持つ親として心強い存在ではありますが、ひとたび関係をこじらせると、子どもたちにまで影響を及ぼしかねない、とてもデリケートな存在でもあります。そんなママ友社会の深い闇を描いたコミックエッセイ『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』(野原広子/KADOKAWA)が、「リアル過ぎる!」と子育て世代のママたちに多くの反響を呼んでいます。


【画像を見る】ママたちの共感と恐怖を呼び起こす!「ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望」


本作品は、ほんの些細なことがきっかけで、仲が良かったママ友から陰湿ないじめを受けるようになった1人のママが主人公のコミックエッセイです。ママ友トラブルを描いた話はいろいろありますが、お受験が絡んだり、さまざまな階級が入り乱れたりなど、ドラマのような派手な展開が多く、どこか遠い世界の話に感じてるものが多かったのも事実。でも本作品は、嫌になるくらいにリアルです。誰にでも起こり得そうなエピソードが淡々と描かれ、それがママたちの共感と恐怖を呼び起こしています。そして戦慄のラストには、悲鳴を上げる人が続出!!

そこで今回、著者の野原広子さんに、この作品についてのお話をお伺いしました。

―読者の方からの反響で多かったのは?

「自分も同じような体験があります」といったものや、実際に被害には遭っていなくても「これ、わかるわ~」といった感想を多くいただきました。でも、ママ友から意地悪をされていたり、嫌な思いをしていても、みなさん声を上げることにはとてもためらいがあるようですね。もし子どもにまで何かあったら…など、今後の関係を考えると、声高に「こんな意地悪をされました」とは言えない、複雑な思いがあるように感じています。

いつのまにか挨拶しても無視され


―エピソードはフィクションとのことですが、多くの読者の共感を集めているように、とてもリアルです。リアリティを持たせるために、心がけたことは?

これは『ママ友』という関係に限ったことではないのですが、集団の中でそのトップにいるであろう人物に、一旦“気に食わない”というレッテルを貼られると、その“気に食わない”とされた人物を貶めるために、周りは小さなきっかけを見逃しません。そして“気に入らない”とされた者は、それに常に怯えることになります。

例えば主人公のサキちゃんは、夏祭り用のコップの買い出しの際、「間違ったら嫌味を言われる」とビクビクしながらも、白い紙コップを購入します。すると案の定、「透明じゃないと中身がわからない」と文句を言われてしまいます。

透明のコップじゃなきゃダメだった?


このような“ほんの些細なことでも見逃さずに攻撃対象にする”という構図は、どのコミュニティにもあること。今回は『ママ友』という形で描いていますが、実はよく起こりがちなことを描いています。だから、実際にはママ友いじめに遭っていない方にも、リアルに感じてもらえたのかもしれませんね。

―ママ友の普通の友達と違う難しいところはどこだと思いますか?

ママ友というのは、普通の友達のように“対個人”ではなく、子どもをきっかけに知り合って、ママとして仲良くなりますよね。子ども同士が仲良しで親が仲良くなった場合、子ども同士が仲違いすると、親までギクシャクしてしまうケースが多いように感じます。

子ども同士が仲良しになったから、ママ同士も友達になった


自分自身を振り返ってみても、小さい頃の仲良しでずーっと仲良しでいることなんて、本当にまれで滅多にないこと。それなのに、つい“一生仲良し”みたいなノリでママ友になってしまうから、そのあと変な雰囲気になっている人って結構いると思います。作中のサキちゃんとリエちゃんもまさしくそれ。そもそも子どもがいなければ出会わなかった者同士です。うまくいけばとても貴重な財産にもなりえますが、残念な例ですね。

―気に入っているエピソードはありますか?

いじめの主犯だったリエちゃんの娘のののちゃんを、サキちゃんとその娘のミイちゃんが助けるという場面があるのですが、そこは気に入っています。どんなに親同士がギクシャクしていても、子どもにまでそれを持ち込むのはいけないと思うんです。たまに、大人同士のトラブルに子どもまで巻き込んで仲間外れにするなど、大人気ない態度をとる人っていますよね。そして、それに同調する人たちも。大人同士はいろいろあっても、子どもに対しては大人な態度で接して欲しいと思います。

ののちゃんを助けるサキちゃんとミイちゃん


親同士いざこざがあっても、子どもには関係ない


―野原さんご自身がママ友関係で気をつけていることはなんですか?

『子どもが悪いことをしたら謝る。親切にされたらお礼を言う』。この2つは常に心がけています。保育園に入った当初、子ども同士のトラブルがあり、そのときにコソッと園長先生に教えていただいたことなのですが、子育てをしていく中でこの2つは本当に大切なことだと思います。

実際、大きな問題が起きたときも、この2つをしていたから助けられたことがたくさんありました。

他には、『“子どもの仲良し=親も仲良し”ではなくていい』と割り切ることや、世の中にはいろんな人がいるので、『自分の価値観だけで人を判断しない』ようにも気をつけています。

―最後に、今ママ友関係に悩んでいる人や、ママ友社会デビューしたばかりの方に向けてメッセージをお願いします。

一番大事なのは、『子どもの心身ともに健やかな成長』。それを念頭においてさえいれば、「ママ友作らなきゃー」とか考えなくていいと思います。ママの友達はできるときに自然にできるし、必死に作るものではないと思うので。もしも自然に友達になって、いつの間にか育児の悩みを共有できて、お互いの子どもの成長を見守ることができる仲になっていたらラッキー。そのくらいのテンションで構えていればいいと思います。

◇ ◇ ◇

この『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』で描かれているようなママ友社会は、現実にも確かに存在しています。でも、ママ友は子を育てる親として、悩みを共有できる心強い存在にもなりうるもの。ただ、ちょっとしたボタンの掛け違えで崩壊してしまうことも多々あります。これは、学校や職場など、あらゆる人間関係においても起こりうること。サキちゃんのような状況に陥る可能性は、誰にでもあるといえるでしょう。狭いコミュニティに潜む闇の世界を知っておくことで、もしもトラブルに巻き込まれたときに、そこから抜け出すための一助となってくれるかもしれません。

文=酒詰明子

コミックエッセイ「ママ友がこわい」の結末はいかに?衝撃のラストは▼こちら▼から!

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野原広子
神奈川生まれ。コミックエッセイプチ大賞受賞。出産を機に、フリーのイラストレーターとして活躍。山登りが好き。著作に『娘が学校に行きません』『ママ、今日からパートに出ます!』『離婚してもいいですか?』(KADOKAWA)など。


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