日本食には欠かせない! 代表的な発酵調味料の特徴と栄養

#美容・健康   

○塩麹

日本酒、みそ、しょうゆ、みりんなど多くの調味料造りに用いられ、日本の食文化に欠かせない「麹」。室町時代には、麹菌を供給するための種麹作り(蒸し米などに麹を加えたもの)が始まっていたと考えられています。一大ブームを引き起こし、いまや調味料の定番になりつつある「塩麹」は、米麹に塩と水を加えて糖化(でんぷんを分解すること)させたものです。

麹菌は酵素を作る力が強く、塩麹を調理に用いることで酵素が食材に働きかけることが期待できます。「例えば、塩麹に漬けた肉や魚が柔らかくなり、うま味が増すのもこの酵素の働きのおかげです。塩麹を初めて食べたときは衝撃でした。料理をおいしくする、奥深くする、発酵の味そのものです」(前橋先生)

○酒かす

米に麹菌を加えて糖化(でんぷんを分解すること)したものに酵母菌を加え、アルコール発酵させた"もろみ"を搾ると日本酒になります。もろみを搾った際に残ったものが、「酒かす」です。いわば日本酒造りの残りかすですが、栄養はかすではありません。

「酵母菌はビタミンB群やアミノ酸など栄養成分を豊富に生み出しますが、酒かすには酵母菌が大量に含まれています。いわば"食べる酵母"です。また、酒かすには食物繊維と同じような働きをする、レジスタントプロテインもたっぷり含まれています」(前橋先生)
レジスタントプロテインとは、食物繊維と同様の働きをするたんぱく質で、コレステロールの排泄を促進する働きなどがあります。

○酢

酢は世界的に最も古い発酵調味料の一つと考えられ、紀元前5000年ごろのバビロニアに記録が残っています。酢は酒を原料にし、米酢の場合は日本酒に酢酸菌を加えて酢酸発酵をさせて造られます。

「酒造りが盛んな土地には酢があります。フランス語で酢は"Vinaigre"といいますが、これは酸っぱいワインという意味です。日本なら日本酒があり、米酢がある。ヨーロッパにはワインにワインビネガー、シードル(りんごの酒)にりんご酢などがあります」(前橋先生)
酢はカルシウムを溶かす性質があり、前橋先生は酢めしを作るときに酢に煮干しを直接加え、一晩漬け込むのだそう。
「煮干しのカルシウムとうま味が酢にうつり、とてもおいしくなりますよ」(前橋先生)

○みそ

みその歴史には諸説あり、一説には中国から伝わった「醤(ひしお)」がもとになったといわれます。室町時代にはすでに各地で造られ、戦では兵糧としても用いられたというので、経験からみそに栄養があることを知っていたのかもしれません。みそにはたんぱく質、うま味のもととなるグルタミン酸などのアミノ酸、ビタミン類、イソフラボンなどが含まれています。

「みそは大豆を原料としますが、製法によって大きく3種類に分けられます。大豆に米麹を加えた「米みそ」、麦麹を加えた「麦みそ」、大豆に直接麹菌を混ぜた「豆みそ」です。

「米みそと麦みそは炭水化物の米や麦を原料に加えることで微生物の力で発酵が促されます。発酵の過程で自然界に存在する乳酸菌や酵母菌が加わり(製造過程で添加される場合もある)、深みのある味に変化していきます。豆みそは微生物の力よりも長期熟成による酵素分解と成分間反応で造られます」(前橋先生)

取材・文/ほなみかおり

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※参考資料:『すべてがわかる!「発酵食品」事典』(小泉武夫・金内 誠・舘野真知子監修)、『図解でよくわかる発酵のきほん』(舘博監修)

『発酵食品を徹底解説!』▶一覧はこちら



前橋健二(まえはし・けんじ)先生
1969年生まれ。東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。1994年東京農業大学農学研究科醸造学専攻修士課程修了、1999年博士号取得(農芸化学)。味や香りなど発酵調味料の特性をさまざまな科学的なアプローチにより研究している。著書に『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(共著、東京農業大学出版会)など。テレビや雑誌でも活躍中。

出典:毎日が発見ネット

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