Twitterフォロワー64万人『ゲイ風俗のもちぎさん』LGBT、毒親の呪縛からの解放、初恋の恩師との再会…今だから語れること

#くらし 
もちぎさんと母


ゲイ風俗業界で出会った人々との交流を綴った『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』が大きな反響を呼び、4月に第二弾となるコミックエッセイ『ゲイ風俗のもちぎさん2 セクシュアリティは人生だ。』を発売したもちぎさん。
7月29日にはKADOKAWAから初の小説本となる『繋渡り』を刊行。SNSフォロワー数が64万人を超え、多くの人からの関心を集め続けるもちぎさんに『ゲイ風俗のもちぎさん2』についてお話をお聞きしました。


■性的マイノリティを取り巻く社会の問題に向き合った『ゲイ風俗のもちぎさん2』


 「アウティング」や「カミングアウト」など性的マイノリティを取り巻く社会の問題にも切り込んでいく


――もちぎさんご自身のことやゲイ風俗ボーイの個人的な悩みについて書かれた1巻に対し、2巻は「アウティング」「性的加害」「カミングアウト」といった、性的マイノリティを取り巻く社会の問題にも切り込んでいく内容でしたね。

LGBTの人たちが直面する問題については以前からしっかり書きたい気持ちがあったんですが、いきなり社会問題風に取り上げて、「LGBTってなんか難しいよね」と思われてしまったら誰も耳を傾けてくれないと思ったんです。だから、まずは1巻でゲイ業界ってどんなところなのかとか、もちぎってどんな奴なのかを知ってもらうことにして、満を持しての今作なんです。

――反響はいかがでしたか?

ありがたいことにたくさんの温かい感想をいただきましたし、中には批判もありました。LGBT当事者にもいろいろな考え方があるので、たとえばカミングアウトの問題ひとつとっても「職場でわざわざゲイだと言う必要はあるか?」なんてのは意見が分かれるところなんです。そういう意味でも、あたいの発信が「全て正しい」というわけじゃ絶対ないけれど、問題意識をみんなで共有できたのはよかったなと思ってます。

【画像】お客さんがゲイとして生きるうえでの時代の変化について語る


――第1話ではゲイ風俗に来たお客さんが、ゲイとして生きるうえでの時代の変化について語るシーンがありました。もちぎさんご自身はどのような変化を感じていますか?

あたいが高校生の頃って、ゲイ同士が出会うのも面倒で気軽にはできなかったんですよ。位置情報サービスもなかったし、ネットで顔を晒すこと自体あまりいい方法では無い時代だった。ゲイとかなら尚更です。メールや掲示板でチマチマと探る感じです。それが今はSNSやゲイアプリが広まって簡単に繋がることができるようになりました。テクノロジーの進化の恩恵を受けて、個人的にはすごく生きやすくなったと感じてます。個人的なセックスありきの関係だけじゃなくて、ゲイ同士が友達として気楽にオープンに繋がることのできる時代になったのも嬉しいです。
それと、社会全体の意識もだいぶ変わってきたと思います。ゲイバーで働いていた時、お客の若い子たちは大学とかで「自分はゲイなんだ」って普通にカミングアウトしてるんですよ。ゲイバーにノンケの友達や女の子を連れてくることもよくあって、すごい時代になったなと。ネット上にも自分をゲイだと明かして活動しているインフルエンサーがたくさんいて、ファンもそれをすんなり受け止めてる。そういうのを見て育った若い世代が「隠すようなことでもないのかな」って思いはじめているのかもしれないですね。

■「(性別)らしさ」ってなんだろう? 多様な性について子どもに伝えるには


子どもは親や周りの大人を見て育つ

個人を尊重することは、そのままLGBTやジェンダーの問題と地続きになっていると思う

親への怒りの気持ち


――日本の教育現場ではLGBTについて取りあげる機会はほとんどないのが現状です。多様な性について親として子どもに伝えていくにはどうしたらいいと思いますか?

LGBT当事者であっても意見が分かれることや、時代によって変わることもあるので、多様な性について子どもに「教えよう」というのはハードルが高いと思うんです。まずは日常の些細なことから偏見を捨てていくのが近道なんじゃないでしょうか。たとえば「男らしさ、女らしさ」を子どものうちから押し付けないようにする。お母さんが家事をするのは女だからじゃないよとか、男の子が化粧をしてもいいんだよとか、個人を尊重することは、そのままLGBTやジェンダーの問題と地続きになっていると思うんです。

――確かに、子育てをしていると「(性別)らしさ」ってなんだろう?という疑問に直面することはよくあります。ピンクが好きな男の子が友達に「ピンクは女の色だ」とからかわれて嫌いになってしまったなんて話を聞いたことも…。

うちの母親はいつも姉に「女の子らしくしなさい」と言う人でした。姉がショートカットにしただけで「女なのに髪の毛短くしたらダメ!」と激昂するのを、子どもの頃からずっと見て育ちました。
そんなあたいは19歳そこらの時に、トランスジェンダーの友人に対して「女性になったのに髪の毛短いまんまでいいの? 男性で生きてた時には伸ばせなかっただろうし伸ばせばいいのに」って思ったんです。すぐに、「いや違う。髪の毛を長くしなければ女になれないわけじゃない」と考え直したのですが、自分自身にもそういう偏見が無意識に刷り込まれていたことにハッとさせられました。
子どもは親や周りの大人を見て育つので、「(性別)らしさ」の刷り込みをしていないか、意識してあげられるといいですよね。

次ページ:▶母に包丁を向けられても…(2/2)

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